「グランド・マンハッタン」は集合住宅やホテル、レストランなどを備えた39階建ての複合施設開発プロジェクト。国内最高級の物件が含まれ、ニューヨークの最新の生活スタイルが取り入れられるが、マンハッタンのセントラルパークの景観は望めない。建設されるのが、「サイゴンのウォール街」として知られるベトナムのホーチミン市1区だからだ。
ノバランド・グループのブイ・タン・ニョン会長にとっては、最新のプロジェクトとなる。ニョン氏は自身が創設した同社を獣医用医薬品の販売業者からベトナム最大の不動産会社に育て上げた。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同社の大株主でもあるニョン氏は計8億ドル(約885億円)前後の資産を持つ。
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「グランド・マンハッタン」の完成予想図ソース:サヴィルズベトナム
ノバランドが不動産会社に転業した1995年当時、こんな華やかな暮らしは想像もできなかっただろうが、ベトナムはその後、世界有数の急成長国となった。外国投資に市場を開放し、民間企業を束縛から解き放ったことで、同国の過去20年の年平均成長率は6%超を記録。中国南部からの工場移転が追い風となり、昨年の国内総生産(GDP)伸び率は7%を超えた。
こうした状況を受け、不動産取得に熱心な国内の裕福な買い手が急速に増えているだけでなく、同国の不動産を狙う海外投資家の動きに拍車が掛かっている。ロンドンから香港、シドニー、ニューヨークに至る世界の住宅価格が不安定になる中で、ベトナムは魅力的な場所となっている。
世界全体で170億ドルの不動産資産を運用する香港のプライベートエクイティー(PE)投資会社ゴー・キャピタル・パートナーズのグッドウィン・ゴー会長はベトナムについて、「10-15年前の中国南部だ」と語る。ここ1年半にわたり住宅価格が着実に上昇してきたことを踏まえると、確実とはもはや言えないとしながらも、「本腰を入れられるなら、長期的にはなお極めて有望だ」と述べた。
不動産仲介会社CBREグループによると、ホーチミン市の高級マンション価格は2018年に17%上昇し、1平方メートル当たり平均で5518ドル。20年初めまでにあと10%程度値上がりし、6000ドルに達すると同社は予想している。
ニョン氏のプロジェクトで、2ベッドルームと3ベッドルームの物件価格は1平方メートル当たり6000ドルから。ホーチミン市の典型的な高級マンション価格のほぼ2倍の水準だが、シンガポールや東京、香港といった世界で最も高額な市場と比べるとコストは何分の1かにすぎない。
What a Bargain
High-end properties in Vietnam are much cheaper than in other cities
Source: Savills Research & Consultancy, Knight Frank
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「グランド・マンハッタン」の住宅イメージソース:サヴィルズベトナム