薬害と、その保障のされ方について、過去を復習してみました。
【サリドマイド事件】
現在、再発又は難治性の多発性骨髄腫の薬としてサリドマイドは存在しており、妊娠期間中の投与は重篤な胎児奇形又は流産・死産を起こす可能性があるため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には決して投与しないこと、となっています。
しかし、もともとのサリドマイドは、
1957年鎮静催眠剤として発売され、つわり止めにも使われました。
1960年胎児への影響に関するデータがないとし、認可しない国がある一方、世界40か国で使われました。
1961~1962年に胎児への影響についての報告と警告がドイツのDrから発せられ、日本でも販売中止。しかし、行政も、製薬会社も、回収や告知を積極的に対応しなませんでした。そのため、販売中止後も、被害が続きました。対応が後手に回っていた政府や製薬会社に対し、被害者側が国と製薬会社に賠償を求めたところ、国と製薬会社は因果関係と責任を否定。その後、因果関係と責任を認め、損害賠償に応じ、和解が訪れたのは、11年後の1974年。なんと、11年かかったのでした。
【薬害エイズ事件】
1983年 米国で加熱製剤認可
1983年 血友病患者団体が厚生省に安全な血液製剤供給を要望
問題視され、2年が立った1985年、輸入製材で感染した国内の血友病患者に関する初の報道があっても、危険な輸入製剤が使用され続けました。
1985年7月に厚生省より安全な加熱製剤が認可されましたが、それまでに出回っていた危険な非加熱製剤は回収すらされず、在庫がはけるまでという表現がぴったりくるくらい使用され続けたそうです。
結果として、国内の血友病患者の4割である約1800名がHIV感染しました。
(注:2021/9/20追記:初期はHIVについてまだ詳しくわかっていない時期だったので、避けようがなかったようですが、注意喚起がアメリカでなされ始めた後も、日本赤十字が当時まだ加熱製剤をつくる技術がなく、技術のある民間に委託するとなると、「血液を金で買う」という形になり、日本の世論は、「血を売る・買う」ことに対し、批判的であり、民間委託が難しかった、等、いろいろ事情はあったにせよ、世論に対しては、血友病の方々の治療の安全について、詳しく情報を伝えるなり、制度を作って民間委託するなり、やりようは、あっただろうに、と私は思います。)
当時はHIV治療法が確立されておらず(※)、その後の死亡者数は600人にのぼりました。またいわれのない偏見から差別を受けることも多かったのです。
(※現在は、完治はしませんが、しっかり一生、抗HIV約を服薬し続ければ、ほぼ非感染者同じ寿命を全うできるところまで、治療法が確立されました。しかし、現在も、偏見は問題として残っています。)
1988年「HIV薬害被害者の会」結成。国、製薬5社に対する賠償責任を問う
1996年 被告が責任を全面的にに認め和解が成立。国は被害者救済を図るため原告らと協議をしながら各種の恒久対策を実現させることを約束しました。
と、いうわけで、訴えてから8年かかっていますし、被害者が訴えないと何も動いていません。
と、いうわけで、いったん国が「副作用ではない」と表明した場合、問題があっても、それが認められるまで、被害者が裁判をして戦わないと、認められないし、8年10年と時間がかかった、という、日本の歴史があります。
ちなみに、現在の科学力でも、薬の構造や作用機序だけでは、催奇形性や流産死産の可能性を予測することは、出来ていませんし、全ての副作用を予測することも出来ません。
ちなみに、今回の新型コロナワクチンは、製薬会社は、「何が起きても責任を負わない」という約束をして、今回のワクチンを販売しています。(ファイザーもモデルナもアストラゼネカもです。)なので、製薬会社は正直では、あります。
「何が起こるか、まだ、全く自信はないけれど、作用機序的に、効果はあるはずですので、責任は負わないでいいと、約束してくれたら、売りますよ。」と、言って、売っているわけですから。
国は、「接種に伴って健康被害が生じた場合の健康被害救済制度について~迅速、円滑な運用に努めるなど~」と、言っていますが(厚生労働省サイトより)、
「これ、接種のせいかも~」と、上がった重篤な報告例・死亡例を、まだ、1例も、「因果関係を認められない」とのことで、まだ1例も、「健康被害救済制度の対象」となっていません。(2021年6月24日現在)
もちろん、本当に、ワクチンのせいではないかもしれませんが、
ワクチンのせいであっても、今の流れだと、きっと、民間で、騒いだり、集団訴訟を起こしたりしない限り、救済制度や保障の対象には、ならないのではないか、という思いを抱いてしまいます。
もちろん、どういう政治家を選ぶかどうかで、今後変わってくるとは思いますが。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
(2021/9/20加筆あり)