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こだわりの小市民レビュー~映画・小説・ニュースからダイエット・環境問題まで

レコーディングダイエットでフルマラソン完走。その他サブカルチャー、環境問題もあり。役に立つこだわり記事にご期待を!

傾いた世界

2011年06月21日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社


 筒井康隆自選ホラー・ドタバタ短編集。

 表題のパチンコ玉で埋め立てたという海上都市の話は初めて読みました。
神戸在住の筒井さん、ポートアイランドや六甲アイランドと若い頃の日記に時々でてくる趣味のパチンコを結びつけた着想なのでしょうか

 しかし、昭和50年前後の作品のほうがやはりさえています。

 「表具屋幸吉」「五郎八航空」など最高です。
私の中での最高傑作「最悪の接触」も収録されています。

 お買い得+読むべき1冊のひとつです。





パラドックス13

2011年05月26日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
パラドックス13
東野 圭吾
毎日新聞社


 読み応えがあるSF長編でした

 ここまでの多作になるとさすがに緻密な登場人物とストーリー構成が難しく、類型的な人物しか現れませんが最後まで一気に読ませる馬力はすごい作家です。

 「謎解き」がはっきりせず、SFではないという人もいますが、読者に驚きを与え、異世界への誘いができる体験がSFだと私は考えているので十分この作品はSFといえます。

 映像化を念頭においているかのような本作のビジュアル描写ですが、想像を許す小説だからこそのメリットであり、直接イメージを叩きつける映像ではいかなCG特殊効果を成功させても陳腐なものになってしまうかもしれません。

 近年めっきり少なくなった12回くらいの連続ドラマ化の方が、映画化よりも適しているような気がします。









手塚治虫~恐怖短編集

2011年05月19日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
手塚治虫恐怖短編集(7)千年の孤独編 (講談社漫画文庫)
手塚 治虫
講談社


 過去に読んだこともある作品もありますが、さすがのレベルです。
全く古さを感じさせないし、この種のSFファンにとっては楽しめるものばかりです。

 特に「クレーターの男」は秀逸です。

 現在のSF作品、全般的にアイデアはもうこの巨匠の頭の中で出尽くした感すらあります。







空気人形

2011年05月06日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
空気人形 [DVD]
クリエーター情報なし
バンダイビジュアル


 ダッチワイフが心を持つとどうなのかと言う作品

 子どもの頃、梅図かずおの「ねがい」という人形が意思を持って自分を捨てた少年の家に戻ると言う恐怖漫画を読みました。
かなり衝撃を受けました。しばらくはトラウマになって眠れなかったものです。

 この作品はそんな怖いもの見たさ的な興味とエロス+ファンタジー的な要素に結構期待して見ました

 ちょっと期待はずれでした

 邦画独特の独りよがりなストーリー展開がしんどかったです。
後味の悪いラスト…監督は何が言いたかったのでしょうか

 収穫はペ・デュナという韓国人女優の美しさだけでした。







きのうの世界

2011年04月27日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
きのうの世界
恩田 陸
講談社


 すごく面白い訳ではないけどスッと読める小説でした
速読の私が通勤時間往復2時間半でまる5日かかるほど長い本

 天才が良く見るという「ドッペルゲンガー現象」

 芥川龍之介がそうだったのは有名な話です。

 もう一人の自分が見えるという現象ですが、どんな人がそうなるのかをアプローチしたお話でした。

 筒井ファンとして、「エディプスの恋人」を思い出しました。
筒井ファンというのはすべて筒井作品のフィルターを通す性癖があるので、ちょっと考え物ですね。







黒笑小説

2011年04月19日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
黒笑小説 (集英社文庫)
東野 圭吾
集英社


 ブラックユーモア満載の短編小説集。

 作者がどのようなつもりで書いたのかは全く知りませんが、私は筒井康隆へのオマージュではないかと思います。

 「怪奇たたみ男」や「脱ぐ」のような昭和40年代に連発されていた傑作群を思い出しました。
SF的設定もさることながら娯楽性と人間の浅はかさを描く切れ味も似ています。

 この本を読んだ東野ファンには筒井康隆の以下の作品もお勧めします。

あるいは酒でいっぱいの海 (集英社文庫 79-C)
筒井 康隆
集英社


おれに関する噂 (新潮文庫 つ 4-5)
筒井 康隆
新潮社


メタモルフォセス群島 (新潮文庫 つ 4-12)
筒井 康隆
新潮社









リセット

2011年04月09日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
リセット (双葉文庫)
垣谷 美雨
双葉社


 同名の本がたくさんある「リセット」ですが、この垣谷美雨さんの著作を読みました。

 47歳の女性3人が18歳に戻って人生をやり直すという話。

 新味がある訳ではありませんが、素直に楽しめた1冊でした。
人生をやり直したいというのは誰しもが考える事かもしれませんが、結局自分の本質というものは変わらないものです。

 多分作者はSF小説とする認識など無いでしょうが、この手の話でピカイチなのがこの作品。

 手塚治虫の「ザ・クレーター」
これはお勧めです。

ザ・クレーター (手塚治虫文庫全集 BT 45)
手塚 治虫
講談社








パプリカ

2011年03月07日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
パプリカ (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社


 断筆宣言以前の作品なのでもう18年も前の本ですが、初読です。

 解説にあるように筒井康隆の著作としては「オーソドックスなSF」です。
平成に入ってからの奇をてらったとしか思えない「文学的実験作」とは全く異なるわかり易い登場人物とストーリー、夢と現実の絡み合いは「禁断の惑星」にでてくる「イドの怪物」を思い出します。

禁断の惑星 [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ


 しかし、SFの秀作が数多くでている今の肥えた目で読んでみると、本作はラストが少々甘いですね。
もっと想像だにできない恐ろしいラストを想像していました。







さよならの代わりに

2011年02月22日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
さよならの代わりに (幻冬舎文庫)
貫井 徳郎
幻冬舎


 「慟哭」が面白かったので、貫井徳郎著の本、2冊目を読みました。

 何だか「時をかける少女」のようなSFジョブナイル作品でした

 非常に読みやすくて、それなりのセンスオブワンダーを味あわさせてくれますが、アッサリしすぎてあまり印象が残りません。意図的に軽い作品を書いたと思います。お茶漬けの様な感じで、時間調整用に読むにはちょうど良いでしょう。

 昔のNHKドラマシリーズのような感じでドラマ化すると面白い小品でした。







驚愕の荒野

2011年02月13日 | SFモノ・・・センスオブワンダーを楽しむ
驚愕の曠野―自選ホラー傑作集〈2〉 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社


 筒井康隆のホラー小説自選アンソロジー。

 ほとんど読んだ事がある作品ですが、傑作揃いです。
特に「定年食」「メタモルフォセス群島」は素晴らしい出来です。
前者はブラックでシュールな笑い、後者は本格SFの最高傑作でしょう。

 やはり昭和50年前後の作品は最もさえています。
筒井康隆の著作をあまり知らないファンには是非読んで欲しいです。

 ちなみに著者本人が訴えている北宋社の「満腹亭にようこそ」のように著作権侵害の無断発刊ではなく、正規の出版です。