関税計画はトランプ氏が示唆していたほど過激なものにはならないとの観測で、米株式市場は週初、堅調なスタートを切っていた。
しかしそうした期待は2日に打ち砕かれた。トランプ氏は米国への全輸出国に基本税率10%を、中国や欧州連合(EU)など対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に上乗せ税率をそれぞれ適用すると発表。国際貿易の拡大は数十年にわたり世界経済を支えてきたが、大きな後退することになる。
米国が世界中のほぼ全ての国と対立することを意味し、膨張し続ける米国債の供給を海外投資家に吸収してもらう必要がある同国にとって重大なリスクとなる。
ウォール街のストラテジストやエコノミストは、これまで驚くほど堅調だった米経済に衝撃を与える可能性があると指摘し、経済成長率などの予測を下方修正。4日発表の米雇用統計では雇用者数が予想を上回る伸びとなったが、こうした好材料も無視された。
かつてはトランプ氏の保護主義政策の恩恵を受けると期待されていた小型株さえも、景気後退懸念が高まる中で売られた。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は急騰し、20年以来の高水準で終了した。
「VIXが示すように市場に恐怖があるときには全てが売られる」とフリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ氏は指摘。「空が落ちてきそうな感覚だ」とし、米政権の「気まぐれに振り回されているため今回は非常に異なるシナリオだ」と述べた。