えんどうたかし の つぶやきページgooバージョン

このブログは、憲法や法律に関連する事柄を不定期かつ思いつくままに綴るものです。なお、素人ゆえ誤りがあるかもしれません。

「全国学力調査」の結果は公開されるべきか?

2009-03-04 01:05:41 | Weblog
 各自治体で、文科省が実施した「全国学力調査」の結果を情報公開すべきかどうか問題になっているようである。
 下記は、洋々亭掲示板 http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/#13087
で話題になっている表記の問題について投稿したもの。

 全国学力調査の実施を「制度」として(勿論、新たな立法と言う意味ではなく、文科省の現行法解釈による裁量範囲として)決定しようとした時点、つまり、実施の前提として公開・非公開の意思はどうだったであろうか。
 これは、非公開が前提であったといわざるを得ない。

 それから、公開の是非を問題とする場合に、一つの議論の分かれ目として、

 ①当該情報は個人情報に準じた(市町村単位や学校単位など集団の情報)であったとしても、あくまで利害関係人は実施者等内部の者であって、この者の権利・権限(では試された子供の意思はどうなの?)に属する情報であるという考え方に立つ立場。

 ②そうではなく、自治体(執行機関と住民・その他の個人を含む関係者)が政策を決定するための資料としての性質と当事者性を有すのだから公開されるべきである。


 思うに、①が前提で実施されたのだと考える。
 実施の方法・精度・信憑性・試験を受ける子供に与える影響は無視できないが、しかし、「制度意思」としてこの制度管轄者が前提としているのは、このテストの結果は、専門的な研究に属する研究材料としての情報であって、これを一時的にせよ、ある時点での結果として一人歩きする場合の不当性(不都合)を考慮すべきと判断していたのだと考えられる。

 ②の政策決定情報(個人の自己実現のための意思決定のための情報も含まれる)とした場合、それでは当該テストに出題された内容と結果が、執行機関一般と住民らが受け取る一般情報として正確か?という疑問。
 もっと言えば、現場の教育機関関係者と、これの条件整備をすべき執行機関(少なくとも内容については)、それに受験者本人(上記①の“試された子供ら”)の意思と無関係に実施されたテストの合計点(しかも物差の目盛りが不明のまま)だけで、これを政策資料とすることが可能であろうか。

 “いや、調査研究の途中経過でも公開すべき”との反論には、当該テスト結果は、実施者が特定のバイアスを架けていないという保証が無いので、百歩譲って実施者が事後に公開するよう意思変更するとしても、しかるべき教育専門家が立場の利害にとらわれることなく、出題の内容を精査検討してから、なお且つ試験内容(出題者の思想や意図)までも明確にした上で公開すべきか否かを決定すべき資料だと思う。“踏み絵”を踏むべきは、先ずは、実施者とテスト問題の出題者であろう。

 実施者は臨床例としての標本がほしかっただけなのだろう。文科省の意図した成果(調査の結果を今後の政策に利用するという)が多少はあるにせよ、このテストの実施は、子供にとっても自治体にとっても迷惑な話が多すぎるのである。