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このブログは、憲法や法律に関連する事柄を不定期かつ思いつくままに綴るものです。なお、素人ゆえ誤りがあるかもしれません。

新型コロナウイルス対策「全国一斉休校」その2・・・対抗リスク対策(子供の最善の利益の考慮)

2020-03-02 22:08:45 | 労働問題 育休 パワハラ
 本日、国(厚労省)が新たな対策を発表しました。

 「新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)について」と題するものです。以下は厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09869.htmlから引用します。

 ・・・小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度の創設)
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規・非正規を問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金を創設。
●事業主
①又は②の子の世話を行うことが必要となった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給(※))の休暇を取得させた事業主。※ 年次有給休暇の場合と同様
① 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等(※)に通う子
※小学校等:小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
② 風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子
●支給額:休暇中に支払った賃金相当額× 10/10
※ 支給額は8,330円を日額上限とする。
※ 大企業、中小企業ともに同様。
●適用日:令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇
※雇用保険被保険者に対しては、労働保険特会から支給、それ以外は一般会計から支給
・・・
というものです。

 各企業には、就労が困難となった労働者に対して休暇を与えるなどして、是非とも利用してもらいたいものです。子連れ出勤は、子どもの感染予防にならない(寧ろ子供への感染リスクは学校より多いことも考えられます)ばかりか、結果として通常時より子供に肉体的・精神的負担を強いることにもなるので、余り推奨されるべきではありません。医療や福祉関係事業の他、新型コロナ対策とその対抗リスクに対処するために不可欠な重要なインフラ確保のための業種で、且つ他の保育的施設が利用できない場合などに限られるべきでしょう(子供の最善の利益の考慮をすべきです。勿論、親が職場を追われるなどして失業し、家庭が経済的に破たんすることも、子供の最善の利益を考慮したことにはなりません!。だから、国家が介入することを決めたわけです!!)。
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新型コロナウイルス対策「全国一斉休校」・・・ 目標リスク と 対抗リスク

2020-02-28 22:42:09 | 労働問題 育休 パワハラ
 昨日安倍首相は、全国すべての小学校・中学校・高校・特別支援学校等に、3月2日から春休みまでの期間、臨時休業とするよう要請すると発表しました。しかし、言わせてもらえば、もう少し語尾を強める部分を変えた方が良かったでしょう。
 そして、その後の「麻生」発言がこれの冷淡さに拍車をかけたと言わざるを得ません。即ち毎日新聞https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00000054-mai-polによると・・
・・<引用>麻生太郎財務相は28日の閣議後の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた小中高校などの臨時休校を巡り、共働き家庭などで生じる学童保育などの費用負担について質問した記者に対して、「つまんないこと」と発言した。記者は「出費について政府が臨時の支出をすることも具体的に考えているか」などと質問。麻生氏は「(休校などの)要請をして費用がかかる場合は、政府が払うのは当然のことなんじゃないですか」と回答した。麻生氏は次の質問を待つ間、記者に「つまんないこと聞くねえ」とつぶやいた。記者は「国民の関心事ですよ」と返したが、麻生氏は「上から(上司から)言われて聞いているの? 可哀そうにねえ」と述べた。
 安倍晋三首相は27日夕、3月2日から春休みまでの休校を全国の小中高校などに要請する方針を表明した。仕事を休めない共働き家庭などでは、急きょ学童保育など子供の預け先を確保することが必要で、費用が重くのしかかる可能性がある。【古屋敷尚子】
<引用終わり>・・
・・と、記者は真っ当な質問をしたわけです。

 上記のやり取りで麻生さんがおかしくて記者が真っ当なのは、「目標リスク」を取り除こうとして「対抗リスク」が発生する場合にこれにも対処すべきで、それをどうするのか?、という質問をしているわけです。国家が間接の不利益まで保障することは稀ですから、それを心配している質問は多いわけです。況してや、お金持ちでなくても、せめて年次有給休暇を取得できる幸運な労働者ではなく、非正規労働者や自己の労働力を個人事業主として売って生計を立てている『ギグワーカー(注:)』たちのことや、医療・福祉・運輸とその下支えをする業種など、重要な社会インフラを担う人の、家庭生活と労働力提供の両立のことを心配しているわけです。麻生さん、これがつまんないことですかね?。
 注:ギグワーカーhttps://news.yahoo.co.jp/byline/morinobushigeki/20200228-00165050/

 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授の「内田良」さん(金髪のメガネの人です)が下記のような記事https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20200228-00165023/を書いているので参照したいと思います。
・・下記より<引用>

 ・・衝撃的な「要請」だった。
 昨日安倍首相は、全国すべての小学校・中学校・高校・特別支援学校等に、3月2日から春休みまでの期間、臨時休業とするよう要請する考えを表明した。感染症対策として、子どもが集まる学校を休みにすることの効果が見込まれる一方、学校や家庭は突然の知らせに混乱に陥っている。
■いつもと変わらぬ学校に…
 これまで感染症においてはインフルエンザ対策として、局所的(特定の学級や学校)で短期的(長くて一週間)な臨時休業は、たびたび実行されてきた。今回は、全域的(全国すべての小中高校等)で長期的(約3週間)な臨時休業であり、前代未聞の決断と言える。
 さて、私自身は学校安全に関心をもっているが、感染症の専門家ではない。ただ、すでに新型コロナウイルスの感染が拡がっていることを踏まえれば、全国一斉休校もやむなしと評価したくなる。
 私はこの数週間、各地の教員の声を聞く中で、全校での集会等がとりやめになっているとはいうものの、それでも学校はややのんびりしているのではないかという危機感をもっていた。
 学校は年度内に、教科書による指導を確実に終えなければならない[注1]。ところが、臨時休業の可能性が高まっているにもかかわらず、多くの小学校では3月の荘厳な卒業式に向け、例年と変わらず着々と準備が進められているようだった。
 近いうちに休校になるかもしれない。卒業式は規模縮小も避けられない。だが、教科書を優先的に終えようとするわけでもなく、荘厳な卒業式のために時間が費やされていた。
■首相による「要請」の強制力は?
 学校はやるべき業務が多すぎて、目の前のことをこなすのに精一杯だ。迫り来る危機に十分な備えができていない。
 このような状況においては、学校みずからのマネジメントによる感染症対策を待つわけにはいかない。緊急性が高く、かつ安全・安心に関わることについては、行政のリーダーシップに期待したくなる。その意味に限定して言えば、首相がトップダウンで全国一斉休校を要請したことは、よく理解できる。
 だが原則に立ち返るならば、下記のとおり、感染症予防のための臨時休業は、学校保健安全法第20条により、学校の設置者の権限と定められている(通常、実務は同法第31条により、校長に委任されている)。
<学校保健安全法(一部)>
(臨時休業)
第二十条 学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
(学校の設置者の事務の委任)
第三十一条 学校の設置者は、他の法律に特別の定めがある場合のほか、この法律に基づき処理すべき事務を校長に委任することができる。
出典:e-Gov 学校保健安全法
 上記の「学校の設置者」とは公立校の場合には地方公共団体を指し、教育委員会が学校の管理運営について最終的な責任を負っている。つまり、感染症予防のための臨時休業は、けっして首相や文部科学省の権限ではなく(さらには地方公共団体の首長の権限でもなく)、教育委員会の権限である。
 首相からの「要請」という点では、その影響力はとても大きい。だが、臨時休業の実施やその期間を判断する主体は、あくまで教育委員会である。
■感染症患者の都道府県格差
 私が教育委員会の判断を強調する理由は、もう一つある。それは現時点では、感染者数の都道府県格差がきわめて大きいからだ。
 厚生労働省の発表によると、27日12時時点において全国で156名の患者(チャーター便とクルーズ船の患者を除く)が確認されている。多い順に北海道が38名、東京都が33名、愛知県が25名と、計16都道府県で感染者が報告されている。その一方で残り31県では、報告された感染者数はゼロである。
 これは検査をとおして「新型コロナウイルス感染症」と診断された数であって、診断の網にかかっていない感染者がどれだけいるかは、もちろん誰にもわからない。そうは言っても現時点ではまだ、都道府県間で感染の拡がり具合にはそれなりの差があると推測される。
 そうだとすれば、いまのところは各自治体の判断が尊重されたほうがよいように思える。感染のリスクを軽視するという意味ではなく、校内で感染防止の対策を徹底しつつも、全国一斉の休校に急ぎ踏み込むのではなく、各教育委員会でそのタイミングを精査してもよいのではないだろうか。
■家庭の体制は万全か?
 リスク研究の分野には、「目標リスク」と「対抗リスク」という言葉がある。前者は、低減されるべきリスクで、後者はその低減によって増大してしまう新たなリスクを指す[注2]。たとえば、頭痛(=目標リスク)を減らすためにアスピリンを服用したとき、胃痛や潰瘍(=対抗リスク)が引き起こされるような事態を考えるとよい。
 全国一斉休校は、感染症(=目標リスク)の対策としてはそれなりの効果があるのだろう。だが、学校関係だけが動いて、事態が落ち着くものではない。
 なぜなら、学校を休めば、子どもは自宅にとどまることになるからだ。はたして、家庭の受け入れ体制は万全なのだろうか。
 インフルエンザの感染症予防のように局所的で短期的な臨時休業であれば、個々の家庭が臨機に尽力してなんとか乗り切りうるのだろう。だが今回は、全域的かつ長期的な休業である。家庭への負荷(=対抗リスク)は、インフルエンザのときと比較にならない。
 とりわけ、保護者が一人の家庭あるいは非正規雇用の家庭にとっては、子どもの面倒をみるために連日仕事を休むこと自体が難しかったり、それによってもたらされる不利益がとても大きかったりする。しかもその役割が母親に課せられることで、女性が多い職場に負の影響が偏って生じうるという懸念も聞かれる(2/27:AERAdot)。
 また保護者側の負荷だけでなく、そもそも家にいることがしんどいと感じている子どもたちにも目を向けなければならない(拙稿「夏休みがつらい 家庭に居場所がない子どもたち」)。とくに今回の休校の場合には、部活動も中止になるはずだ。学校という居場所はなくなり、家庭という場に子どもたちは長期間にわたって身を置かざるをえない。家庭からの逃げ場(かつ感染のリスクが低い場)も考慮したい。
■学校を超えた関わりで臨時休業を支えていけるか
 新型コロナウイルスへの対応は、学校関係だけが動けばよいということではないはずだ。企業(保護者)の働き方改革や、子どもの居場所づくりなど、多面的な対応を同時に進めなければ、対抗リスクが増幅していくことになる。日本社会全体での取り組みが不可欠だ。
 最後に念のため、私はけっして臨時休業を取りやめるべきと主張しているのではないことを確認しておきたい。
 学校はそもそも、感染症や自然災害等の不測の事態に備えて、多めに登校日数を設定している。しかも卒業式(や卒業生を送る会)とその練習は、取りやめたところでひとまず制度的な問題が生じるわけではない(拙稿「卒業式の練習 必要か?」)。
 だから、臨時休業という選択は大いにありうる。対抗リスクを見極め、また企業の協力も得ながら、各自治体が限られた時間のなかで有効な答えを出していくことを期待したい。
•注1:ただし授業内容だけは、消化しなければならない。学校は国が定めた年間の標準授業時数にしたがって、年度内に授業をおこなう必要がある。2019年度についていうと、たとえば小学校5・6年生は年間995時間(2020年度は1015時間)、中学校では各学年1015時間(2020年度も同じ)である。なおここには、学校行事の時数は含まれていない。つまり、卒業式を含む行事に充てるべき時数が決まっているわけではない。
•注2:Graham, John. D. and Jonathan B. Wiener eds., 1995, Risk vs. Risk, Harvard University Press. (=1998、菅原努監訳『リスク対リスク』昭和堂。)
・・
・・<引用終わり>・・

 大変参考になります。
 報道を見る限り、政府や首長さんの発言がことさらに強調され、肝心の教育委員会や校長の存在がどうも薄いようです。もっと頑張って発信していただきたいと思います。

 あと、総理の安倍さんの言い回し(あくまで発音・発声の仕方です・・)で言うと、子供を養育する保護者が就労している職場や企業に対しての語尾をもっと強めてもらいたかったと思います。昨日の要請は、学校・保護者・家庭に対しての語尾が強かったように聞こえました。
 この非常事態、当に「内田良」さんの言うところの”学校を超えた関わりで臨時休業を支えていけるか”に懸かっているわけです。

 麻生さん、もっと丁寧にね!、あと無駄口はたたかない方がいいでしょう。
 要は、休校要請に対応して企業が有給休暇だけではなく、それ以外の策を練らなければならないこと、具体的には子どもを持つ労働者の労働不能・若しくは困難時の出勤免除をするように要請していいと思います。あくまで要請なんですから。つまり政府のメッセージの宛先の問題です。で、具体的な策を例示しないと、中小企業とか男性中心職場は動きません。
 今の政府のメッセージのままでは、多く見積もっても子供の母親の職場に限られ、父親が勤務する職場に対してはほぼ届いていないように思います(まあ~、聞こえないふりをしているのかもしれませんが・・)。
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憲法とPTA保護者会役員決め・・くじ引き??

2020-02-23 10:55:48 | 憲法・人権
 役員就任を拒むにはそれなりの理由があると思います。負担の大きさとPTAや保護者会の存在意義への疑問があるからです。
 また、純然たる私的団体ではない場合が多いわけで、それなりに、学校や保育園なども、その活動内容に一定程度関与(もちろん教員の教育内容を支配してはならないが、意見具申や地域を巻き込んだ活動への関与など)する場合があるからです。公共的な役割を一定程度担っているわけである。ゆえに憲法の人権規定が概ね適用されると考えるべきです。 

 PTAなどの役員決めに関し、すでに役員についている人と、そうでない人の温度差、ないし活動の理解の程度が問題となります。とくに活動や役員の必要性について十分理解している人などはフリーライダー(タダ乗り)をさせないことに躍起になりがちです。
 そこで水を差すわけではないが、下記のような記事を読んで、今一度、冷静になっていただければと思います。下手をすれば強要罪(3年以下の懲役)の構成要件にも該当してしまうこともあるでしょう。

以下は弁護士ドットコムから引用・・・

PTAの役員は「クジ引き」で決定!? もし選ばれたら「拒否」できないのか?
この春、息子が小学校に入学したSさんは、PTAに対してちょっとした不信感を抱いた。入学式が終わった後、各クラスの教室で行なわれた保護者ミーティングで、PTA副会長が「PTAの役員はクジ引きで決定します」と宣言したからだ。
副会長の口ぶりや、クジ引きに至るまでの流れには、有無をいわさぬ強制力があった。Sさんは、その場では異議を申し立てず、黙ってクジを引いた。幸か不幸かクジは外れたが、複雑な感情を消せないまま帰路についたという。
そもそも、PTAは任意加入の団体のはずだ。その活動に参加するかどうかは、保護者の判断に委ねられているのではないか。はたして、この問題、どう考えたらいいのだろうか。小池拓也弁護士に聞いた。
●役員の決定には「民主的な手続き」が必要
「まず、PTA役員の就任を強制することについての法的問題を考えてみましょう。その学校のPTAの規約で、役員への就任義務が定められているなら、理屈の上では、会員が役員に選任された場合は役員になる必要がある、ともいえそうです」
もしそうだとしたら、病気で動けない保護者などはどうすればいいのか・・・。PTAの規定約に役員就任義務があった場合、必ず従わないといけないのだろうか。
「PTAは純然たる私的団体ではありません。広く保護者全体を加入対象とし、学校教育にも関与する公的性格をもっています。ですから、憲法の人権規定がおおむね適用されるでしょうし、民主的制度や適正な手続も要求されるでしょう。
したがって、PTAのルールとして、個別的な事情を一切無視した、相当に負担の大きい役員就任義務が定められていた場合、その規約が有効なのかというと疑問です」
つまり、PTAの規定で役員への就任義務があったとしても、それは無効になりうるということだろうか。
「はい。規約が公序良俗違反(民法90条)などとして、無効と判断される可能性はあるでしょう」
それでは、PTAの会合で「今年の役員はクジ引きで決める」と決議された場合はどうだろうか。
「PTAの決議は、規約同様に民主的制度や適正な手続が要求されるでしょうから、くじに当たった人は絶対に断れないというような決議であれば、これも有効とはいえないでしょう。ましてや、議長が一方的にくじ引きを宣言したのでは、決議すらないのですから、義務づけはできません」
そうなると、どうなるのか。
「規約や決議による義務づけができないとなると、役員の就任は、委任契約によるしかないということになります。したがって、ある人をクジで役員として選出したとしても、その人が承諾しない限り、役員にすることはできません。なり手がいないのであれば、誰かを説得して、承諾を得るしかありません」
つまり、クジで役員に当選した人も、就任を拒否することは可能のようだ。やりたい人が誰もいない場合は、クジの堂々巡りになりそうだが・・・。役員になる可能性があるなら、PTAには最初から加入しないという保護者もいるだろう。PTAに加入しないと、何か影響があるのか。
「もしかすると、PTA主催行事に、その親の子どもが参加することを拒絶するという団体もあるかもしれません。しかし、その行事が学校教育の一環として行われている場合、子どもの参加を拒絶することは、教育を受ける権利の侵害として許されないでしょう」
●PTAの「新しいあり方」の模索を
こうなると、PTAに加入しないで、子どもだけ行事に参加させる「フリーライダー」の保護者も出てきそうだ。PTAの存在意義が危ぶまれてしまう。
「PTA役員の選任が問題となるのは、負担の大きさとPTAの存在意義への疑問があるからでしょう。PTAの新しいあり方を模索する必要がありますね。子どものための活動は学校や地域ボランティアに委ねるなどして、恒例行事などを根本的に見直してはどうでしょうか。
主催行事を減らして役員の負担が減ったところで、『学級崩壊・いじめを防ぎたい』『スマホの利用を考えたい』『学校給食を実現したい』といった保護者の願いを話し合い、実行していくのがよいと思います」
そもそもPTAは、戦後に始まったもの。保護者と教員が手を取り合って、子どもたちが育つ環境を整えるために行ってきた活動だが、時代とともに変化するのは仕方のないことかもしれない。
【情報募集!】弁護士ドットコムニュースでは「PTAでのトラブル」に関する取材を続けています。「PTAで嫌がらせにあった」「役員をやる余裕がないのに、強制的に役員にされた」「子供に関するトラブルが起きた」などの体験がありましたら、以下からLINE友だち登録をして、ぜひご連絡ください。
https://www.bengo4.com/c_18/n_1528/

・・・引用終わり。

「役員をやる余裕がないのに、強制的に役員にされた」、、、ぜひご連絡ください・・・だそうです!

 役員になるよう強制できないのは自明の理でしょう。
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新型コロナ、企業が講ずべき労働者への対応‥

2020-02-23 10:55:48 | 労働問題 育休 パワハラ
 ここにきて、企業も新型コロナウイルスによる感染防止に動き出しています。以下は従業員に休業させる場合の会社としての措置について、所管の省庁からの制度利用について掲示されているモノを紹介したい。なお、全て網羅しているわけではないことを予めお断りしておきます。

先ず「労基法」の規定
労働基準法26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 休業を余儀なくされた労働者の最低生活の保障を図り、働けなかったことにより貧困に陥ってしまうということがないよう、余程のことがない限り休業手当が保障されます。輸送手段・資金・資材の獲得困難なども「使用者の責に帰すべき事由」に該当するものとされています。
 なお、使用者の責めに帰する場合以外とは、例えば東日本大震災で甚大な被害があったような場合です。

雇用助成金による企業の救済
厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/000596026.pdf より引用・・・
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を実施します。
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上
である事業主が対象です。
<「影響を受ける」事業主の例>
・中国人観光客の宿泊が無くなった旅館・ホテル
・中国からのツアーがキャンセルとなった観光バス会社等
・中国向けツアーの取扱いができなくなった旅行会社
※総売上高等に占める中国(人)関係売上高等の割合は、前年度または直近1年間(前年度が12か月ない場合)の事業実績により確認しますので、初回の手続の際に、中国(人)関係売上高等の割合を確認できる書類をご用意ください。
【特例措置の内容】
【特例の対象となる事業主】
休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用します。
① 休業等計画届の事後提出を可能とします。
通常、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要ですが、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年3月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとします。
② 生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮します。
最近1か月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。
③ 最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とします。
通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件を撤廃します。
④ 事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。
令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を令和元年12月の指標と比較し、中国(人)関係売上高等の割合を、事業所設置から初回の計画届前月までの実績で確認します。
・・・引用終わり。

労働者が自主的に休んだ場合
労働者が自主的に休んだ場合には休業手当の支払いを求めることはできませんが、下記のような制度が利用できるとされております。
全国協会けんぽ協会https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/ より引用・・・
支給される条件
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。また、自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外です。
(2)仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算されます。
「待期3日間」の考え方
待期3日間の考え方は会社を休んだ日が連続して3日間なければ成立しません。
連続して2日間会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合には、「待期3日間」は成立しません。
・・・引用終わり。

 企業(経営者)も、労働者も、現在有る制度を活用するなどして、社会全体で何とかこの困難を乗り越えたいと思います。国家・国民(自然人)だけでなく、法人(法人格たる私人の団体も含め)・企業・団体の社会的責任に期待したいと思います。
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以前,私もこんなことを書いていました・・「マタハラに関して」・・

2019-06-27 21:54:05 | 労働問題 育休 パワハラ
 カネカの炎上で思い出しましたが、以前マタハラに関するニュースを目にして以下のようなことをいておりました。(当時、私だいぶ頭に来ていたようです。💦)
 

 妊娠を理由に女性職員を解雇し是正勧告に従わなかった茨城県牛久市のクリニックの実名を、厚労省が公表


 前回のエントリで、労働局の調停に出てこないとは、日航、大したツワモノだと思うが、これよりも、さらにツワモノが居たようだ。

 以下は産経(産経新聞 9月4日(金)16時17分配信 )より引用・・・

・・・妊娠を理由に女性職員を解雇し、国の是正勧告に従わなかったとして、厚生労働省は4日、茨城県牛久市のクリニックの実名を公表した。男女雇用機会均等法に基づきマタニティーハラスメント(マタハラ)をした事業主の実名を公表するのは初めて。
 厚労省によると、是正勧告に従わなかったのは、牛久市のクリニック「牛久皮膚科医院」(安良岡勇院長)。安良岡院長は2月、正職員の20代の看護助手が妊娠したと報告したところ、約2週間後に突然、「明日から来なくていい。妊婦はいらない」と退職を迫ったという。看護助手は「妊娠したばかりで、まだ働きたい」と訴えたが、院長が認めなかったため、茨城労働局に相談。
 労働局は妊娠や出産を理由に解雇することは男女雇用機会均等法に違反するとして、口頭や文書で3回にわたって是正勧告したが、院長は解雇を撤回しなかった。7月には塩崎恭久厚労相が大臣による初の勧告を行ったが、「妊婦はいらない」「(男女雇用機会)均等法を守るつもりはない」などと応じなかった。
 男女雇用機会均等法は、妊娠を理由に女性労働者を解雇や降格などの不利益な扱いをすることを禁止している。違反した場合は労働局長や厚労大臣による勧告などの行政指導が行われるが、罰則はない。
 同クリニックは「院長の体調不良により休診中」などとして、取材に応じていない。・・・

・・・というもの。

 で、その厚労省の公表とは下記のもの。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000096409.html
報道関係者各位

男女雇用機会均等法第30条に基づく公表について
~初めての公表事案、妊娠を理由とする解雇~
 男女雇用機会均等法(以下「法」という)第30条において、法第29条第1項に基づく厚生労働大臣による勧告に従わない場合、その旨を公表できる制度が設けられていますが、このほど、初の事案が生じましたので、下記のとおり公表します。

事業所名 : 医療法人医心会 牛久皮膚科医院

代表者 : 理事長 安良岡 勇

所在地 : 茨城県牛久市牛久280 エスカード牛久4階

違反条項 : 法第9条第3項

法違反に係る事実: 妊娠を理由に女性労働者を解雇し、解雇を撤回 しない。

指導経緯 : 平成27年3月19日 茨城労働局長による助言
        平成27年3月25日 茨城労働局長による指導
        平成27年5月13日 茨城労働局長による勧告
        平成27年7月9日 厚生労働大臣による勧告

【参考:男女雇用機会均等法第9条第3項について】

法第9条第3項では、妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止しています。

○妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの例

1 解雇すること。

2 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。

3 あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。

4 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。

5 降格させること。

6 就業環境を害すること。

7 不利益な自宅待機を命ずること。

8 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。

9 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。

10 不利益な配置の変更を行うこと。

11 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。

・・・以上、厚労省HPより引用。


 下記のような議論を同紙(産経デジタル)では掲載しているので引用させていただく・・・

・・・ 【日本の議論】http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/150421/lif15042110000001-n1.html

 妊娠や出産を理由に職場で不利益な取り扱いを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)が社会問題化する中、被害者支援団体に女性から賛否両論が寄せられている。「女性が安心して働ける社会になってほしい」といった激励がある一方、「同性としていい迷惑」という声や、企業の女性採用への影響を懸念する意見も。団体が3月に公表した調査結果では、マタハラを受けた相手として「女性上司」が22%に上っており、「同性の無理解」という一面が浮かび上がった。(滝口亜希)

■「権利ばかり主張」…被害者団体に厳しい意見

 「妊娠したら今まで通りの仕事ができなくなるのが目に見えてるんだから、異動も降格も当たり前」

 「妊娠したら問答無用で特別扱いすべきだ、と思う人を理解できません」

 「私の夫の部下は妊娠して突然欠勤し、大変な目に遭いました」

 「出産に対して理解のある企業に入る努力もせず、女性であることを利用して権利ばかりを主張するのは、同じ女性として恥ずかしい限りです」

 マタハラ被害者らでつくる「マタハラNet」には女性からの厳しい意見が相次いで寄せられている。

 きっかけは昨年10月に最高裁が判決で「妊娠による降格などの不利益な扱いは原則として違法」との初判断を示した訴訟だ。昨年7月の団体発足から約5カ月間で、女性を名乗り、活動を批判する声が少なくとも10件以上寄せられた。

 マタハラ問題が注目されることで、企業が女性の採用を控えることを心配する意見もある。
 性別は明記されていなかったが、娘を持つ親から寄せられたのは「今後の女性の働く場所や就職活動などに影響するのではありませんか」というコメント。娘が就職活動中という男性は最高裁判決について「正直言えば、それほど優秀ではない娘を持つ父親としては、こんなに大騒ぎしてほしくなかったというのが本音です」とつづった。

 また、性別は不明だが「私の会社ではあなた方の活動が原因で女子社員の募集を当面打ち切ることになりました。本気で働きたいという女性にとっても迷惑千万な話だとは思いませんか?」という意見もあった。

■問題の根深さは「女性が一枚岩でない」

 「女性が一枚岩でないところがマタハラ問題の根深さ」と指摘するのは、マタハラNetの小酒部(おさかべ)さやか代表(37)。小酒部さん自身も、マタハラ被害に遭った経験を持つ。

 「契約社員は時短勤務ができない」

 「時短勤務ができないわけだから、どうしても仕事したい場合はアルバイトで来るしかないんじゃないの」

 契約社員として雑誌の編集に関わっていた小酒部さんは、2度目の妊娠中、上司から退職勧奨を受けた。

 「また何かがあって、穴空けられたり、現に今回も迷惑掛けていることは掛けているわけよ。実際に」

 約4時間に及んだ自宅での上司とのやり取りでは、当時、小酒部さんが切迫流産と診断され、約1週間、自宅静養していたことを「迷惑」と受け止めているかのような発言もあった。
 1度目の妊娠は、担当業務が忙しく、周囲に妊娠していることを言い出せないまま、深夜0時近くまでの長時間勤務を続けるうちに流産。2度目の妊娠でも、「おなかの赤ちゃんがどうなるか分からない中、仕事か妊娠かの選択を迫られ、非常に酷だった」(小酒部さん)という。結局、契約を更新してもらうために無理をして通常出社を続けたところ、再び流産した。

■マタハラドミノ倒し

 小酒部さんが立ち上げたマタハラNetでは、寄せられた被害体験を共有するため、ホームページ上などに公開。さらに、マタハラを(1)昭和の価値観押し付け型(2)いじめ型(3)パワハラ型(4)追い出し型-の4類型に分類し、被害実態を発信している。

 中でも小酒部さんが強調するのが、マタハラに端を発した悪循環である「マタハラドミノ倒し」だ。

 妊娠・出産を理由に職場を解雇されると、子供を保育園に入れることができなくなり、子供に手がかからなくなるまで10年近く働けない。収入が絶たれ、経済的にも困窮する…。

 「マタハラを受けることで、生活基盤が揺らぐ。1人の女性社員にマタハラをすると、それを見た他の女性たちは『自分もやられる』と感じるため、晩婚・晩産・少子化につながっていく」とマタハラの“伝染”にも警鐘を鳴らす。

■批判は「葛藤の裏返し」

 一方、マタハラは必ずしも「男性対女性」という構図ばかりではない。

 マタハラNetが被害女性186人を対象に調査を実施し、3月に公表した結果では、被害を受けた相手(複数回答)として「直属の男性上司」が53%で最多だったのに対し、「直属の女性上司」が22%、「女性の同僚」が18%だった。

 労働問題に詳しく、調査に携わった圷(あくつ)由美子弁護士(40)は「産休や育休をとるときに女性から心ない言葉をかけられるケースは多い。『自分にしわ寄せが来る』という同僚らの怒りの矛先は、本来対応を講ずべき主体である企業でなく、休む本人に向きがち」と指摘する。

 その上で、同性からの批判的な意見は「これまで、仕事と子育ての二者択一を迫られてきた女性たちの葛藤の裏返し」とみる。

 こうした厳しい見方とは対照的に、米国務省からはマタハラNetの活動が評価され、3月に小酒部さんが「世界の勇気ある女性」賞を受賞した。 受賞後、批判的な意見は減りつつあるというが「高齢化が進み、今後、男性上司も含めて介護休暇を取る人が増えていく中、妊娠したというだけで女性を切っていては企業は立ちゆかなくなる」と小酒部さん。「マタハラ問題を解決することが、女性のみならず労働者全体の選択肢を広げることにつながると訴えたい」と話している。

・・・引用終わり。

 「マタハラドミノ倒し」とは穏やかではないが、・・・「米国務省からはマタハラNetの活動が評価され、3月に小酒部さんが「世界の勇気ある女性」賞を受賞した」・・・というのは、皮肉なものだ。このような厳しい見方(同性や同僚からの批判)は、「葛藤の裏返し」というのは本当だろう。ただ、立法に際し、既に議論されたこと、当然その前には研究や調査、将来の労働力の問題、人口構成の問題など、あらゆる観点から立法の準備をして国会で成立したわけであって、このような事情を知らずに、批判の矛先を妊娠した当人に向けることは、幼稚で考えが浅い行為だと言える。
 個々の労働者自身も、普段から既に様々な労働法制度と社会福祉制度の恩恵を受けているのであって、これを維持するためにも少子化問題や、稼げる者は稼いでその資源を少しでも生産すべきは誰でもわかる自明の課題なのである。要するに、世の中、各人全てが、自分の食べるパンだけを得るために稼ぐのではだめなのであって、絶えず剰余の利益を富として生み出さなければならないわけだ。これが、各人のうちの誰かが病気やその他の都合で一時的に労働に従事できないとき、場合によっては身体の重大な損傷により労働できなくなっても、この剰余があれば生きてゆけるわけである。
 これを、単なる所得移転(ゼロサムゲーム)だとして足を引っ張る議論をするのか?、それとも、この相互の社会補完制度こそが社会全体の「富の増大」であるとして祝福されるべきなのかは、少し考えればわかると思う。そして、これは既に立法の際に織り込み済みなのである。

 そして、これに反するような事業主や経済活動の責任者には批判の矛先が向けられずに、休んだり、時短を利用する本人に向くのは、見当違いも甚だしいし、不幸なことだと思う。
 この点、・・・圷(あくつ)由美子弁護士(40)は「産休や育休をとるときに女性から心ない言葉をかけられるケースは多い。『自分にしわ寄せが来る』という同僚らの怒りの矛先は、本来対応を講ずべき主体である企業でなく、休む本人に向きがち」・・・と指摘している通りである。

 妊娠・出産・子育てを経験することになる労働者と、その労働者が持つスキルを利用しないことは大きな損失だと思う。だから、先ず企業が支える。その企業を消費を通じて社会全体で支えることが必要だと思う。この逆は、まさに「共有地のジレンマ(コモンズの悲劇ともいう)」というべきで、自分の事業だけ種まきをぜず、他人がまいた種と水と肥料で育った田畑で収穫だけをやっていることになる。よって破たんは目に見えている。
 このようなフリーライダーを許すべきではないと思う。種と水と肥料代、それに労賃を支払え!。
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カネカの炎上に関して少々・・・いい記事を発見しました!

2019-06-08 22:45:37 | 労働問題 育休 パワハラ
カネカの炎上に関する記事で判りやすい記事を見つけたので、下記に引用して紹介したいと思います。

 「ライブドアニュース」の経済  永江一石さんによる記事で、2019年06月07日 17:10とありました。

 以下引用させていただきます。

はしょりますと
1 カネカは育休をアピールして専用ページもあった
2 夫が4週間の育休を取得した。家を建てて引っ越した直後。
3 育休から復帰した翌日に関西に転勤を命じられた
4 労働基準監督署や都労働局に相談してもだめで結果として退職

これを奥さんがtweetしたことで炎上。という流れです。育休をアピールしていたページは炎上しはじめた日曜に突然削除されたということだが会社側は否定。キャッシュはあるのだが、どうもステージングサーバのようで正式には公開していないものらしい。

 <中略させていただきます>
妻の出産で夫を転勤対象から外すのが19.4%、妻が働いていると外してくれるのが24.5%、持ち家の購入だと21.2%です。今回はこの3つが重なっていたわけね。
カネカはもともと転勤が多い企業らしいし、「酷い」という反応とは別に「サラリーマンなら当たり前」「嫌なら辞めろ」という声もけっこう上がっている。新聞社や全国に営業所が点在する企業ではかつては転勤はごく普通であった。今回は持ち家を買った直後というが、記事にもあるが家を買うと会社を辞めづらいので転勤の辞令を出しやすいというのはよく言われた。しかし転勤してローンと家賃を二重に払うことになるのでかなり負担が大きく、持ち家の借り手を見つけたりも大変だ。

現在の価値観だと地方転勤は「故郷へのUターン希望者を募る」か、現地採用するという企業が増えていると思う。残業なんかより小さい子供を連れての転勤の方がよほどキツいし、今回は奥さんも働いているから奥さんのキャリアもそこで終えろということになります。法律的なことより人道的にどうかという話です。

今回のケースでは事前の打診もなく、他の企業なら考慮する「持ち家」「育児」「共働き」も一切考慮せず、いきなりの辞令だから、カネカさんの転勤辞令はかなり荒っぽい感じがするんですよ。

そして・・・・違法性の部分だが

結局、夫は上司や人事部、労働組合を交えた幾度かの話し合いの末、5月末に退職することになった。退職前には30日ほどある有給休暇を取得したいとも訴えたが「きちんと引き継ぎをして5月末で退職するように」と言われ、4日間しか取ることができなかったという。

これは違法じゃないの??

法律では「年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定することによって決まり使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければなりません。ただし、労働者の指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利(時季変更権が認められています」 厚労省
となっておりまして、労働者が取得したい有給を会社は拒否できません。4日間しか取らせなかったらこの点は違法ですわね。

そして

「育休前に異動が必要と判断していた」が、「内示前に育休に入ったため育休明け直後に内示することとなった」

電話でも文書でも知らせる手立てはいくらでもあったろうに、育休終わって出社したら「転勤だから」では育休取る社員を見せしめにしたと言われても仕方ない。小さい子供が2人いて奥さんもキャリアをもっているわけだから、単身赴任では無理。転勤させるなら奥さんに退職しろということだから、そもそも「女性が働く」ってことを軽んじている会社と言わざるを得ない。「女性が活躍し、多様性を更に活かせる職場をつくりあげるために」と採用ページで謳ってるのは自社の女性に限るって事になる。

でね。カネカのリリースは「違法じゃないから良いだろ」感が満載なのであるが

調べてみました。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
第二十六条 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。(再雇用特別措置等)

罰則規定がないから守らなくていいということはないよね? 遵法意識の問題だよね。でもって平成29年3月30日に厚労省から出たという資料も読んでみました。

[a] 個別の調整
33. 転居を必要とする異動の計画を作成するにあたり、上記①[b]で把握した状況を参照し、個々の労働者について必要に応じて転勤の時期や場所に関する調整を行うことを検討する。調整の具体的内容としては、転勤対象の候補者を変更すること、転勤の時期をずらすこと、通勤可能な範囲の異動で代替することなどが考えられる。

[b] 転勤対象の候補者への打診
34. 労働者が転勤の対象として候補となった時点において、労働者の事情に変更がないか等を確認し、この段階で労働者の事情が判明した場合には、個別に対応することが可能か検討することが考えられる

[c] 転勤対象者への告知・説明
35. 上記②[a]・[b]を経て、最終的に決定された転勤については、当該転勤の対象となる労働者にできる限り時間的余裕をもって告知することが重要である。

36. その際、上司や人事部門から、上記②[a]・[b]の調整結果を含め、当該転勤の趣旨や転勤後に期待される役割などとともに、赴任旅費・単身赴任手当等の諸条件について説明を行うことが望ましいと考えられる。

要約すると、社員を転勤させるのであれば、その転勤が会社と社員にとって必須なものかどうか、そして将来につながるかどうかをよく判断して、事前によく話し合うこと、そして時間的な猶予を持って告知するべしとされていますな。

要するに、上の調査などでも転勤の負担が非常に多いと言うことが↑の調査でも明らかになり、厚労省としては
転勤は社員にとって負担だから充分配慮するように
というのをリリースしているわけです。

で、「転勤は会社と本人にとってどうしても必要な場合にしましょう」とありますが、今回のケースでは無理だから退職に至ってしまった。ということは退職してもいいから辞令出したっていうことになり、やはり見せしめと言われても仕方ない・・・・あくまで個人の感想です。

とまあ、いくら
カガクデ
ネガイヲ
カネエルカイシャ
をアピールしても

カゾクノ
ネガイヲ
カナエナイカイシャ

の認知をドカンと上げてしまったわけで、いまの新卒募集ではかなり苦い水を飲むことになると思われます。応募してくるのは他を落ちまくった子とか、そもそもリテラシー低くて今回のニュースも知らないとかそんなんばっかりになりそう。
リリースもあんな上目線ではなくて、もっと「今後は改善します」にしておいたほうがよかったのに後の祭です。
・・・引用終了

 中略のところは、国など公的な資料を紹介したうえで解説されています。とても勉強になります。原文を是非読んでていただけたらと思います。https://blogos.com/article/382817/
コメント

カネカの炎上に関して少々・・・

2019-06-06 14:52:10 | 労働問題 育休 パワハラ
 カネカが「育休明け転勤」問題に公式見解「当社の対応に問題は無いことを確認」・・・だそうです。
 へえ~

 以下は(株)カネカHPより引用・・・
 http://www.kaneka.co.jp/
当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて

2019年6月6日

当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みに関し、当社の考えを申し上げます。
1. 6月2日に弁護士を含めた調査委員会を立ち上げて調査して参りました。6月3日には社員に向けて、社長からのメッセージを発信致しました。更に、6月5日に、社内監査役及び社外監査役が調査委員会からの報告を受け、事実関係の再調査を行い、当社の対応に問題は無いことを確認致しました。
2. 元社員のご家族は、転勤の内示が育児休業休職(以下、育休とします)取得に対する見せしめである、とされていますが、転勤の内示は、育休に対する見せしめではありません。また、元社員から5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出され、そのとおり退職されております。当社が退職を強制したり、退職日を指定したという事実は一切ございません。
3. 当社においては、会社全体の人員とそれぞれの社員のなすべき仕事の観点から転勤制度を運用しています。 育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません。
4. 社員の転勤は、日常的コミュニケーション等を通じて上司が把握している社員の事情にも配慮しますが、最終的には事業上の要請に基づいて決定されます。 手続きとしては、ルール上、内示から発令まで最低1週間が必要です。発令から着任までの期間は、一般的には1~2週間程度です。転勤休暇や単身赴任の場合の帰宅旅費の支給といった制度に加え、社員の家庭的事情等に応じて、着任の前後は、出張を柔軟に認めて転勤前の自宅に帰って対応することを容易にするなどの配慮をしております。
5. 本件では、育休前に、元社員の勤務状況に照らし異動させることが必要であると判断しておりましたが、本人へ内示する前に育休に入られたために育休明け直後に内示することとなってしまいました。 なお、本件での内示から発令までの期間は4月23日から5月16日までの3週間であり、通常よりも長いものでした。 また、着任日を延ばして欲しいとの希望がありましたが、元社員の勤務状況に照らし希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れませんでした。 着任後に出張を認めるなど柔軟に対応しようと元社員の上司は考えていましたが、連休明けの5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出されたため、この後は、転勤についてはやり取りがなされませんでした。このため元社員は転勤に関しての種々の配慮について誤解したままとなってしまったものと思います。

元社員の転勤及び退職に関して、当社の対応は適切であったと考えます。当社は、今後とも、従前と変わらず、会社の要請と社員の事情を考慮して社員のワークライフバランスを実現して参ります。


 「1.」・・・調査の結果会社の対応には問題がないと
 「2.」・・・見せしめでも退職強要でもないと
 「3.」・・・転勤の内示が育休明け直後になっても問題ない
 「4.」・・・着任の前後は、出張を柔軟に認めて転勤前の自宅に帰って対応することを容易にするなどの配慮があると(いやこれ、ちょっとおかしいですよ、後述しますが・・・)
 「5.」・・・育休取得の前に移動が必要だと会社は判断していたが、育休の期間は本人に通知をしていなかった。また移動内示後、本人から着任日を伸ばしてほしいと言われたが、認めなかった。また、転勤のやり取りはしなかった。・・・それで「1.」の通り問題はない、ということだそうです。
 

 以下は、あくまで私個人の見解です。何の参考にもなりませんが。

 まあ「1~3.」のところまでは、就業規則上の問題がないということと、会社の利益上正当であると言っているだけで、会社の危機管理上はかなり問題です。
 つまり、就業者の感情と会社内部の人間関係、そして、社会通念(事実、世間の批判はあるわけで)やこれからの労働環境(今や、官民挙げて働き方改革とやらもあるわけです)、労働力不足が言われている昨今の労働市場事情を踏まえたみんなから選ばれようとする会社としての見解であるとは到底思えません。

 「4.」ですが、会社の出張と自宅に帰ることとの因果関係が全く分かりません。ひょっとしてカラ出張を認めるとか、出張先でついでに観光やら私用を認めるということなんでしょうか?、ずいぶんとバブリーな会社ですね。

 あと、育休に入ったことを、移動の内示の遅れや通知しなかったこと(不作為)の言い訳にしていますが、郵送でもメールのやり取りでもできますし、第一、従業員が休職期間中でも、社保間系やその他の手続きなど雇い主としてやらなければならない人事の仕事はあるわけで、本人と連絡が取れなかったとする見解には相当無理があります。
 さらに、前掲のバブリーな方法で「着任後に出張を認めるなど柔軟に対応しようと元社員の上司は考えていましたが」・・とありますが、考えていただけでは配慮したことにはなりませんし、反対ににパワハラすることを考えていたとしても罪にはなりません。

 さて、これまでの判例を少し見てみましょう(と言っても下記からの引用ですが・・・)
 
 
 権利濫用法理による制約(「独立行政法人労働政策研究・研修機構」より)

 使用者に配転命令権が認められる場合も、①配転命令に業務上の必要性が存しない場合、②配転命令が不当な動機・目的に基づく場合、③労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を及ぼす場合には、配転命令は権利濫用として無効になる(労契法3条5項)。

①配転命令の業務上の必要性については、余人をもっては替え難いという高度の必要性は要求されず、労働者の適正配置や業務運営の円滑化の事情があれば肯定される(モデル裁判例)。業務上の必要性自体が否定されることは稀であるが、最近の事案では、企業の構造改革に伴い既に一定の業務に就いていた従業員に新たに新幹線通勤や単身赴任の負担を負わせる配転(NTT西日本(大阪・名古屋配転)事件 大阪高判 平21.1.15 労判977-5)、使用者の解雇撤回後に職場復帰する労働者に対する大阪から名古屋への配転(C株式会社事件 大阪地判平23.12.16 労判1043-15)で業務上の必要性が否定されている。

②不当な動機・目的は、退職に追い込むための転勤(フジシール事件 大阪地判平12.8.28 労判793-13)、社長の経営方針に批判的言動をとった報復としての転勤(マリンクロットメディカル事件 東京地決平7.3.31 労判680-75、朝日火災海上保険事件 東京地決平4.6.23 労判613-31、アールエフ事件 長野地判平24.12.21 労判1071-26)などで認定されている。

③労働者の不利益については、配転に応じると単身赴任せざるをえないという事情だけでは、「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」とは認められない(モデル裁判例、帝国臓器製薬事件 最二小判平11.9.17 労判768-16等)。配転によって通勤時間が片道約1時間長くなり、保育園に預けている子供の送迎等で支障が生じる場合でも、同様の判断がなされている(ケンウッド事件 最三小判平12.1.28 労判774-7)。これまで労働者に著しい不利益を負わせると判断されたのは、当該労働者が病気の家族を複数人、一人で看ていた場合(日本電気事件 東京地判昭43.8.31 判時539-15、北海道コカ・コーラボトリング事件 札幌地決平9.7.23 労判723-62)、重度の病気の家族を自らまたは配偶者らと看護していた場合(明治図書出版事件 東京地決平14.12.27 労判861-69、日本レストランシステム事件 大阪高判平17.1.25 労判890-27、ネスレ日本(配転本訴)事件 大阪高判平18.4.14 労判915-60)、障害をもつ両親を妻や妹らと介護していた場合(NTT東日本(北海道・配転)事件 札幌高判平21.3.26 労判982-44)など、極めて特殊なケースである。


 と、なるほど労働者にはかなり厳しい内容です。ただ、上記引用のまとめの解説には下記のような記述もあります。
・・・平成13年に育児介護休業法が改正され、子の養育または家族の介護状況に関する使用者の配慮義務が導入された(26条)ほか、平成19年制定の労契法でも使用者が仕事と生活の調和に配慮すべきことが規定されている(3条3項)。近年の裁判例では、配転命令の権利濫用の判断においてこれらの規定を参照し、労働者の私生活上の不利益をより慎重に検討するものがある(上記明治図書出版事件、ネスレ日本(配転本訴)事件)。・・・ということだそうです。

 またも私見にはなりますが、2001年に育児介護休業法の改正もあり、養育や介護への使用者の配慮義務(同法26条)や、2007年の労働契約法では、仕事と生活の調和(3条3項)所謂ワークライフバランスというやつですが、これを同法制定の基本理念として掲げています。
 ま、邦人企業(日本の企業だったら)の価値観としては家族の一体性を少なくとも重視すべきです。

 (株)カネカのHPでの同社の反論では、「育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまる」としながらこれを「育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません」と一蹴しております。また、これらへの事情への配慮についての言及はありませんでした。当に”おっさん”的見解でしょうか。

 結果としてこの企業では(図ったか図らずもかは格別)、これからの男性社員の育児・介護休暇取得を思いとどまる、ないし躊躇させることを惹起してしまったように思います。何せ、育児や介護を担っている者が、そのような事情を配慮されずに配転されるかもしれないのですから。勿論、男性社員だけではなく授乳中の女性社員も同じ扱いだということです。
 これらの配慮を欠いているということは、強行規定には違反していなくても、法の趣旨には反しているように思われます。また、絶対多数ではないかもしれませんが、一定数の人を敵に回すというリスクは負ってしまったように思います。味方は”おっさん”だけです、きっと。
 社長さんや人事の方、担当弁護士さんも、このようなことにもう少し気を使った方が良かったのではないでしょうか。人(労働者)を選ぶ前に、会社も社会から選ばれます(選ばれないこともあります)。

 【追記】
 ちょっと気になるのは、そういえばこの会社では、これまで子供の保育所入所がやっとが決まったばかりなのに別のところに飛ばされてしまう女性社員もいたのでしょうか?。それとも男性が育休を取ったからだったのでしょうか?。
 もし後者だとすると、扱いが平等とは言えないので、育休を取った男性社員への嫌がらせではないとは言えないことになります。
 あと、カネカのHPでの反論では執拗に法律的な手続きに問題ないと(まるで裁判官に答弁する如く・・です)言っているので、少し突っ込ませていただくと、そもそも法的には子どもの保護者(制度管轄者)は第一義的には子を持つ親ですが、しかし職業生活上では時間的空間的に拘束したり、保護すべき子どもから物理的に遠ざけるなど、外形的には業務命令という形でその行為を支配し得るのが雇用主ということもあるわけです(だから政府はワークライフバランスなどと言っているわけです)。この辺、本当に権利乱用がないとカネカは胸を張って言えるのでしょうか。
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期間の定めのある労働契約の無期転換は骨抜き/あと裁量労働制もうさん臭い・・・

2017-12-28 00:35:04 | Weblog
 以下は新聞記事の引用だが、法の趣旨を踏まえた運用というよりも、寧ろ脱法のように思う。

 以下、毎日新聞https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171227-00000112-mai-sociより引用・・・厚労省調査 契約通算期間を5年に満たないうちにリセットも
 厚生労働省は27日、有期契約の従業員が通算5年を超えて働くと無期契約への切り替えを求められる「無期転換ルール」について、大手自動車メーカー10社を対象に制度の運用状況を調査した結果を公表した。無期転換が可能なのは2社のみで、7社は契約の通算期間が5年に満たないうちにリセットするルールを設け、無期契約への切り替えができないようにしていた。他の1社は再契約そのものをしていなかった。
 厚労省は「企業の内部情報が含まれる調査」として企業名を公表していない。
 2013年施行の改正労働契約法では、契約終了後から再契約までの空白期間(クーリング期間)が6カ月以上であれば、以前の契約期間は通算しないというルールがある。7社は空白期間を6カ月としていた。厚労省は「法に照らして現時点で直ちに問題であると判断できる事例は確認できなかった」としている。
・・・引用終わり。

 まあ、自動車製造というのはその時々により製造の増減はあると思うが、2013年施行の改正労働契約法では、契約終了後から再契約までの空白期間(クーリング期間)が6カ月以上であれば、以前の契約期間は通算しないというルールを逆手にとっているようである。
 調査によると、更新の上限は10社全てが5年未満で、うち9社は3年以下だった。2社は空白期間が6カ月未満で、再契約をすれば将来的に無期契約に切り替わる可能性があったそうである。空白期間を6カ月としている7社は労働契約法の改正を踏まえて期間を定めたという。

 関連して、当事者である労働者が無期転換のルールを知らないことも問題だと思う。(以下も毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20170517/ddm/016/040/028000c?inb=ysより引用)・・・『非正規労働者 5年超で「無期」に転換 当事者58%「知らない」 安定雇用目的に来春導入』
 非正規労働者が5年を超えて勤務すると正社員と同様に定年まで働けるようになる「無期転換ルール」について、非正規の58・6%が制度の存在を知らないことが、人材サービス会社アイデム(東京)の調査で分かった。このルールは非正規の雇用安定を目的に来年4月に始まるが、当事者に十分浸透していない実態が浮き彫りになった。
 ルールは2013年4月施行の改正労働契約法に盛り込まれた。非正規労働者は同じ会社で契約更新が繰り返されて通算5年を超えた場合、本人の申し込みに基づき、正社員と同じように契約更新の必要がない「無期雇用」として働けるようになる。一般的には企業の中核を担う正社員ではなく職種や勤務地を定めた限定正社員となるケースが先行導入した企業では多い。
 調査は3月、同じ勤務先で6カ月以上働く20~40代のパートやアルバイト、契約社員の男女679人と、従業員30人以上の企業の経営者、人事総務担当者554人にインターネットで実施した。ルールを「知らない」と答えた非正規は58・6%で、「内容はよく分からない」は27・1%。「内容を理解している」はわずか14・3%だった。
 一方、企業側は71・7%が「内容も理解している」と回答。「内容はよく分からない」は21・5%で、残りは「知らない」と理解不足の企業も目立った。
 雇用している非正規への周知・説明を「すでにした」のは48・2%にとどまり、「これからする予定」は38・6%、「予定はない」も13・2%に上った。
 アイデムの担当者は「企業が周知に取り組むことも大事だが、働く人は自ら申し込まないと権利を行使できない。積極的に情報収集すべきだ」と指摘した。
・・・引用終わり。

 企業が雇用する労働者への制度適用を説明しないのも問題だが、労働者も権利を知らないのは問題だと思う。ただ、使用者が行うべき労働者への周知義務については、上記の「無期転換ルール」についての義務は無い。国の政策の意図的な法の穴のように思える。ザル法だ。
 例えば、下記の国(厚労省)のパンフ
 http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/entrepreneur/yuki_keiyaku/guideline.pdf


 あともう2つ
 
 時事ドットコムニュースhttps://www.jiji.com/jc/article?k=2017122600609&g=ecoより引用・・・
 東京労働局などは26日、野村不動産(新宿区)に対し、数百人の社員に不当な裁量労働制を適用したとして、是正勧告を出したことを明らかにした。勧告は25日付で、同社の宮嶋誠一社長に特別指導もした。同社は今後、未払いだった残業代についても対応するとしている。
 東京労働局や同社によると、対象となったのは本社と関西、福岡など4事業所で働く数百人の社員。主に営業を担当していたが、企画や調査に従事する労働者が対象の「企画業務型裁量労働制」が適用されていた。このため、違法な長時間労働や残業代の未払いが発生していたという。
(2017/12/26-16:12)・・・引用終わり。

 裁量労働制に関しての違法取り締まりや指導の所管は管轄地域の労働基準監督署(の監督官)が担当だが、東京労働局が同社社長を読んで特別指導したとはかなり異例の対応だろう。
各支社ごとの違反ではない、組織的・全社的に違法な運用をしていたということだ。
 本来企業というのは、違法な事業を行う意思を持っていないもの(やくざなら格別)だが、この野村不動産という会社は、その事業活動が労働法において違法な意志をもって行われていたということではないかと思う。

 最後に、(これも時事ドットコムニュース)より引用・・・NHKは26日、今年4月から記者職を対象に導入した専門業務型の裁量労働制について、渋谷労働基準監督署から指導を受けたことを明らかにした。指導を重く受け止め、見直しを行う方針。取材に応じた石原進経営委員長によると、渋谷労基署から「勤務実態を踏まえ、適切な水準となるよう制度内容を見直すように」との指導が14日付であったという。
 NHKは2013年に死亡した女性記者が過労死と認定されていたと今年10月に公表。再発防止策の一環として、記者職を対象に専門業務型裁量労働制を導入した。(2017/12/27-01:52)
・・・引用終わり。まあ、これは野村不動産とは異なり、意図的なのか法の不知なのかは不明。


 ついでに、大きなお世話だが・・・連合会長の神津さんは枝野さんに文句を言う暇があったら、こういう労働問題に取り組んでもらいたいものだ。足元がもうたっていられないくらい地面が減っているだろう。
 安倍さんにも・・・この裁量労働制の拡大は行うべきではない。過労死がもっと増えるだろう。

 
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政府は本当に長時間労働の是正をする気はあるのか?

2017-03-06 20:41:06 | Weblog
 ニュースの焼き直しとなるが、疑問に思っていることがあるので以下にそれを述べたいと思う。

 即ち、安倍総理は、今年の施政方針演説で、次のように述べていた。
 「一年余り前、入社一年目の女性が、長時間労働による過酷な状況の中、自ら命を絶ちました。御冥福を改めてお祈りするとともに、二度と悲劇を繰り返さないとの強い決意で、長時間労働の是正に取り組みます。いわゆる三六協定でも超えることができない、罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正に向けて、作業を加速します。」首相官邸HP・・・

 ところが、報道などによれば「長時間労働規制 労使トップが10日にも2回目の会談」<テレビ朝日系(ANN) 3/5(日) 16:02配信><より引用>・・・長時間労働の規制を巡る2回目の労使のトップ会談が10日にも開かれる方向で調整が進められていることが分かりました。
 罰則付きの残業規制は、繁忙期や一定の業種などについて1カ月の上限を100時間程度まで認めるかどうかが労使間での最大の争点です。先月27日の経団連の榊原会長と連合の神津会長との会談では溝は埋まりませんでしたが、例外措置として1カ月100時間程度まで認める方向で調整が行われていて、10日にも再び会談を開いて合意を目指します。また、経団連が導入に反対している勤務終了から次の始業まで一定の時間を空ける「インターバル規制」についても一致点を見いだしたい考えです。
・・・<引用終わり>

 上記の報道などによれば、連合と経団連の合意がないと規制法案が通らないということになりそうなのである。これでは、連合(一応は労働側である)が100時間まで残業を認めないと、残業時間の上限の規制法すらできないということになってしまう。
 これでは安倍首相が提唱していた「働き方改革」が発端となり、政府主導で始められたにもかかわらずである。
 とにかくこの発言がおかしい。2月14日の「働き方改革実現会議」 で、時事通信より<引用>・・・安倍晋三首相は席上、残業時間の上限規制について「多数決で議決するものではない。労使で合意形成してもらわなくては法案は出せない」と指摘。「胸襟を開いた責任ある議論を労使双方にお願いしたい」と述べた・・・とのこと。<引き続き時事通信の記事>・・・労働基準法は、労働時間を原則1日8時間、週40時間と定めているが、36条に基づく「三六協定」を結ぶと、事実上無制限で残業させることができる。事務局案では、三六協定を見直し、残業時間の上限を定め、年720時間、月平均60時間に制限する。違反企業には罰則も科す。・・・<引用終わり>

 連合(一応労働側)が100時間まで認めないと、この話がチャラ(振り出し)になるというのはおかしい。
 なぜなら1ヵ月100時間は過労死ラインであろう。法定外労働時間が月間100時間を超えた場合の精神疾患(とそれを原因とする自死)との間に因果関係を認めるというのは、医学的見地や経験則などから導かれた合理的数字(通説・多くの判例も支持している)である。

 〝本末転倒〟というのはこういうことだ。

 あと、念のためだが、目指すのは、〝残業代ゼロ〟なのか?、そうではなく〝残業ゼロ〟なのか?、ということも議論がすり替わりそうである。
 即ち、先ず残業代をゼロにすることでインセンティブとして残業を減らすという議論が行われかねない。

 画して我が国では、譲れない権利を譲り渡さなければ、元の権利が取り戻せないというジレンマに陥ることにもなる。


 ≪追記≫

 あと、上記とは直接関係はないが、こちらも医療を受ける権利と引き換えに、生命の安全を奪われかねないニュース。<パーキンソン病患者>病院に配車断られ…男性遺体で発見(毎日新聞 3/7(火) 21:53配信)

 <引用>・・・千葉県柏市内の老人ホームに入居していたパーキンソン病患者の男性(72)が昨年12月、市立柏病院で介護タクシーを呼ぶよう頼んだところ断られ、約1カ月後に別の場所で遺体で発見されていたことが病院関係者らへの取材で分かった。男性は要介護3で歩行にはつえが必要だったが、直線距離で約3キロあるホームまで歩いて帰ろうとした可能性があるという。
 病院関係者らによると、男性は昨年12月下旬に同病院で診察を受けた後、介護タクシーを呼んでホームに帰ろうとした。電話をかけるのに必要な現金を持ち合わせていなかったため、病院案内窓口で電話を依頼したが看護師から「対応は難しい」と断られたという。
 男性は「そうですよね」と言って立ち去ったがその後行方が分からなくなり、ホーム側はその日のうちに病院と警察に連絡。1月下旬になって病院から約1.5キロ離れた川の近くで遺体で見つかった。
 死因は凍死で、行方不明になった日が死亡日とされたという。現場は空き地や草むらが広がる道路からは少し離れた場所だった。
 病院の対応と男性の死亡の因果関係はわからないものの、6日にあった市議会一般質問では病院の対応を疑問視する声が上がった。市保健福祉部の佐藤靖理事は「男性には個々の患者の要望に応えるのは困難と伝え、理解もいただいた」と説明。質問に立った末永康文市議(護憲市民会議)は取材に「1人で帰るのが無理と気づかないのは問題。丁寧に対応すれば命は奪われなかった」と批判した。
 病院は取材に「外来患者は1日500人以上おり、対応には限界がある」と話している
。【橋本利昭】
・・・<引用終わり>

 そもそも福祉ニーズが何であるかがわかっていないという問題だと思う。「500人の患者が来るから個別の対応が無理」というのが病院側の見解のようである(せめて『魔が差した、今後は気を付ける』というべきであったろう)。しかしこれは、病院職員の業務=医療機関がが行うべき業務と、そこから牽連・接続した、一般の傷病者や高齢者に接する人間としての平衡感覚(社会的妥当性)との接続の問題である。
 帰路につくべき患者が抱える諸問題について、それを次の担当すべきプロ(事業者に引き継ぐという)事業者意識に欠ける病院とは果たして如何なる存在なのであろう。
 医療機関は、事業者である前に社会性がなければならない。それが福祉国家というものだ(勿論自治体もである)。

 取材の回答を見る限り、柏市立病院にはその社会性がない。

 病院職員が、労働する事業場(医療現場)に入る前に、人間としての感覚を置き去りにしていかなければならないとすれば、やはり前の労働時間(100時間云々)の問題と同じようにも思える。
 
 連想ゲームのような記述となるが、人間としての感覚、とりわけ人権感覚を置き去りにして労働する現場としては自治体もそのようである。弁護士ドットコムが伝えたニュースに下記のようなものがある。
 
 <引用>・・・首都圏のある市の福祉事務所で今年1月、生活保護を申請しに来た40代の妊婦に対し、職員が「産むの?」など堕胎をほのめかす発言をしていたことが分かった。女性の支援団体が3月8日、記者会見で明らかにした。
 市は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「確認をしただけで、中絶を求める意図はなかったが、そのように受け止められてしまった点については配慮が足りなかった」と回答。女性に対してはすでに謝罪しているという。
 支援団体「POSSE」スタッフの今岡直之氏によると、行政が対応の不備を認め、謝罪する例は珍しいという。
 ●生活保護受けずに5年間頑張ったが…
 「POSSE」によると、女性は日本の永住権を持つフィリピン人のシングルマザーで、高校生の息子が1人いる。約5年前、日本人の夫と離婚し、スーパーの深夜パートなどをしながら、生計を立てていたという。しかし、今年に入って妊娠が発覚。腹部に痛みがあり、品出しなどの作業が困難になったとして1月中旬、生活保護を申請しに福祉事務所を訪れた。
 職員から「産むの?」などの言葉をかけられた女性はショックを受けて、そのまま帰宅。2月に入って再度、申請に行ったときも、長男のアルバイトを増やすことなどを勧められ、申請できなかったという。しかし、同日中に「POSSE」のスタッフと再訪したところ、市は申請を受理した。
 今岡氏によると、生活保護をめぐり、妊婦と行政との間でトラブルが起こることは珍しくないという。今回の事例を受けて、POSSEは3月12日午前11時〜午後3時まで、妊婦を対象にした生活保護関連の無料電話相談を実施する。電話番号は、0120-987-215。
・・・<引用終わり>
 (弁護士ドットコムニュース)よりhttps://www.bengo4.com/internet/n_5812/

 自己のために社会を潰そうとする組織も恐ろしいが、その意を汲んで労働する労働者もかなり恐ろしい。

 
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相対的弱者に配慮している記事・・ヤフーニュース「熊本地震 女性が安心できる避難所を!」

2016-04-23 00:59:51 | Weblog
 避難生活で配慮が必要だとする記事があったので、参考までに掲載したいと思う。

 先ず、参照したい資料は下記の通り。
・男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針http://www.gender.go.jp/policy/saigai/shishin/index.html
・避難所チェックシートhttp://www.gender.go.jp/policy/saigai/shishin/pdf/shishin_hinanjyo_checksheet.pdf

 あと、ヤフーニュースで下記のものがある。http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20160422-00056920/

 引用開始・・・今月14日から続いている熊本地震でこれまでに48人の死亡が確認され、2人の行方が分からなくなっています。避難者は約9万人にのぼっています。
・死者48人
・地震の影響で亡くなったとみられる人11人
・行方不明2人
・重傷214人、軽傷891人
・住宅被害は9千棟以上の恐れ
・11万人余に避難指示や勧告
・避難者約9万人
・断水2万2100世帯
・震度1以上の地震は799回
(NHK、22日午後まとめ)

英BBC放送では、熊本地震の被災地でパニックを起こさず避難生活を送る日本人の態度について「ストイシズム(克己禁欲主義)」という言葉を使って報じています。しかし我慢のし過ぎは禁物です。問題を見えなくしてしまう恐れがあるからです。
東日本大震災では、被災地で強盗や強姦などが多発しているという流言飛語が飛び交い、被災者の不安をあおる状況がみられました。このため警察がチラシやポスター、ホームページを通じて正確な犯罪情勢を発信して、対策に努めました。
警察の目から見た治安とは別に、被災地で女性の権利やプライバシーが完全に守られているかと言えば、生活環境が不安定になることで女性が置かれている立場はさらに弱いものになっているのではないでしょうか。
東日本大震災女性支援ネットワーク(2014年3月解散)が11年10月~12年12月にかけて行った「災害・復興時における女性と子供への暴力」に関する事例調査(82件)http://oxfam.jp/gbvreport.pdfがあります。

被災地では女性がさらに弱い立場に置かれていることが分かります。国連開発計画(UNDP)、セーブ・ザ・チルドレンなどを通じ中東・北アフリカで子供の支援活動に携わってきた田邑恵子さんは「女性が安心できる避難所を!」と提言しています。

「皆、大変なんだから、文句は言えない」
[田邑恵子]普段は当たり前だと思っていることが配慮されない状態となってしまうのが、避難所です。そして、避難所生活をしていると「皆、大変なんだから、文句は言えない」という雰囲気が生まれてしまうこともあります。
本来だったらしなくてもいい不快な思いや、危険な思いをしなくてもいいように、いくつかのアイデアをご紹介したいと思います。さて、ここで、ひとつ質問です。下の4つに共通していることは何でしょうか?
・フェリー
・電車
・カプセルホテル
・ホテル
答えが思い浮かびましたか?「旅でお世話になるもの?」。いいえ、違います。正解は「女性専用のスペース(フロア)がある」。当りましたか?
就寝を伴うフェリーやカプセルホテルでは、女性専用のスペースがあると安心して眠ることができますよね。カプセルホテルは、そもそも、男女別しか存在しないのではと思います。
ビジネスホテルでも、女性専用フロアを設けているホテルが多いですね。スタッフの客室フロアへの立ち入りが極めて少なく、目が行き届かないビジネスホテルでは、特に安心に感じます。ところが、避難所ではどうでしょうか?
最近は、徐々に授乳室などを設けている避難所も多くなってきましたが、女性だけで眠ることのできるスペースを設けている避難所は極めてまれでしょう。
避難所では、通常、家族単位で固まって居場所を作り、そこでご飯も食べ、眠りにつきます。家族でいる方が安心するという方もいるでしょうし、高齢者の親についていなくてはならないという人もいるでしょう。
それでも、避難所内のスペースをやりくりし、昼間は家族と一緒に過ごし、希望する人は、夜だけでもいいので「女性専用スペース」で眠ることができるようにすると安心です。夜間、そこに近づく男性は目立ちますから、性暴力の危険を抑制することができます。

「女性専用スペース」があれば、着替え、授乳、下着の乾燥にも活用することができます。また、生理用品、下着などの置き場としても使えます。
子供さんがいる家族、高齢者を抱える家族が集まるというように区画割りにすることを検討してもいいでしょう。複数の家族で協力し合って、気兼ねを少なくしたり、交代で自宅に戻ったり、避難所での仕事をすることができます。

性暴力の被害にあわないために
自然災害は性暴力のリスクを著しく増加させます。残念なことに、急ごしらえで作られた避難所には、数々の危険な場所ができてしまいます。男女別に分かれていないトイレやシャワー、物資の置いてある部屋、階段の下の暗がり、物置、屋外で寝ている校庭など。
暗がりができないように照明を設置できると良いのですが、停電が頻発する可能性もあります。防犯ブザーがない場合、できるだけ一人で行動することを避け、懐中電灯や笛を携帯するようにしましょう。特に家の片付けなどでは、どこからでも侵入できる状態となっていることもあるため、特別に注意が必要です。
そして、性暴力は女性だけの問題ではありません。子供や男性にも危険はあります。

性暴力の被害にあってしまったら
望まない妊娠を避けるためには72~120時間内に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することを防ぐためには72時間以内に処置を受ける必要があります。大変なショックの中で混乱していたとしても、すぐに処置を受ける事が必要です。
難民キャンプなどには、そのための処置キットが常備されていますが、日本の避難所にはない可能性が高いでしょう。性暴力被害者への対応は、日本であれば医療関係者が一番知識を持っている可能性が高いです。まずは、医療関係者に助けを求めるようにしましょう。
また、性暴力の連鎖を断ち切るためにも、被害を受けた方がさらなる嫌がらせを受けないためにも、避難所を運営する人たちが、正しく対応することが必要です。性暴力は許さないという断固とした姿勢を表明し、それを実施することが求められます(巡回の実施、被害報告した人を守る仕組みなど)

生理用品の置き場所と捨てる場所
生理用品は配布だけではなく、それがきちんと処理できる環境が整っていることが大切です。トイレ個室内に捨てる場所がなくてはなりません。男性から手渡されるのに抵抗がある人のために、トイレに備え付けたり、女性専用スペースに置いたりするのでもいいですね。
また、個室内にウェットティッシュ/デリケートゾーン用ウェットティッシュを常備しておき、汚れた手指を拭くことができると、さっぱりするし、人目を気にする心配が減るでしょう。

なぜか改善されないトイレの問題
自動的に便器のフタが上がる、水が流れる、音楽がなる、照明の色が変わるなど、日常生活では、あれだけハイテクかつ快適な、世界に誇る日本のトイレ。
それなのに、災害発生時のトイレ問題がこれほど長い間改善されていないのは、なぜなんだろうと不思議です。どの大災害でも、トイレ問題はベスト3にのぼるくらいの課題とされてきました。そして、トイレの不足/不衛生さは、エコノミークラス症候群などの様々な健康問題を引き起こしてきました。
水がなくても快適に使用できる「バイオトイレ」をご存知でしょうか。微生物が排泄物を分解してくれて、汲み出しの必要もなく、悪臭も発生しません。
「ホント?」と思うかもしれませんが、本当です!
私は、おがくずを撒くタイプのバイオトイレを何度も使用したことがありますが、臭いも全然なく、快適でした。使い方も簡単です。内装も木目で統一され、とてもおしゃれで、にわかにはそれが仮設トイレであるとは信じ難いくらいでした。
こういったバイオトイレを製造している会社は複数あります。かつ、それが自走式(車と一体化している)であり、必要なところに簡単に移動もすることもできます。台所のコンポストを転用したユニークなバイオトイレを開発している会社もあります。
しかし、全然普及していません。東日本大震災でも、ほんの一部の避難所にしか設置されませんでした。使用者の感想は「汲み取り式の仮設トイレよりも臭くない!」でした。
自走式バイオトイレを避難所に設置する、あるいは、地域の指定避難所には、最初からバイオトイレを設置しておき、人々が普段から使用することに抵抗がなく、正しい使い方を知っているのが望ましいかもしれません。

「声なき声」を届けるには避難所運営に参加するしかない
避難所では、様々な担当グループが結成されます。食料配布、清掃、物資配布、ボランティアの受け入れ、安全のための見回りなどです。こういった避難所運営は、被災された方の自治組織が支援に入った市町村職員などと共同で活動するのが一番望ましいです。
そして、避難所で女性が安心して過ごせるようにするためには、この運営組織に女性が参加することが求められます。乳幼児のお母さん、学齢期の子供を持つお母さん、介護が必要な親と避難されている女性など、それぞれ、気づく点は異なります。
こういった方々がバランス良く、適切な人数で避難所運営に参加することで、隠れたニーズ、語られないニーズが初めて議論の場にのぼります。
また、同じ状況にある方と相談することで、思ってもみなかった解決策が見つかる可能性もあります。そのためにも、一人で参加するのではなく、複数の女性が参加することが望ましいです。

内閣府でも指針を出しています。残念なことに、この指針は、男女共同参画局のサイト内にあり、防災担当のサイトには掲載されていないため、なかなか今、避難所運営をしている人たちの目には留まりづらいでしょう。
少しでも女性が安心して過ごせるように。まずは「何に困っているか」を近くにいる方と話し合うことが最初の一歩になります。

(おわり)

熊本地震に関連した緊急エントリー
報道とボランティアの皆さんも「心理的応急措置(PFA)」を忘れずに
非常用持ち出し袋には「心の栄養になるものを!」
「賢い」支援をするために 善意を届ける前に考えてほしいこと
なぜ日本の防災計画は「子供に優しくない」のか

田邑恵子(たむら・けいこ)
北海道生まれ。北海道大学法学部、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院卒。国際協力の仕事に従事。開発援助や復興支援の仕事に15年ほど従事し、日本のNPO事務局、国際協力機構(JICA)、国連開発計画(UNDP)、セーブ・ザ・チルドレンなどで勤務。現在はフリーランスとして活動している。中東・北アフリカ地域で過ごした年数が多い。ブログ「シリアの食卓から」

・・・引用終わり。

 上記の発言者は、私と同郷らしいので、何か親近感があるというわけではないが、合理的に考えても、人命救助、食糧確保など、避難所で今より少しでも余裕が出て来たら、上記意見の通り、被災・避難当事者の意見を聞くなどして、子ども、高齢者、女性などへの配慮がより良い方向に向かうことを願う。少数派とか、声の小さい者の意見を、うまく吸い上げる工夫が必要だと思うし、外側から支援する我らの側にも、そうした配慮が必要であると自戒したい。そのような声が多数派になれば、また、別な事情によって埋もれる弱者が出てくる可能性すらも考えたいと思う。
 
 多数や大声にに紛れたり、埋もれることのない、即ちニーズを掘り起こす支援とは如何なるかを不断に考えながら行動したい。ただ、現場で救助支援に当たっている人には頭が下がる。ただ、我ら被災地に行けない外の人間も、その分、事故を起こさないように注意するなど、既存の公共インフラや災害対応機関への負荷を少しでも少なくすることも支援につながるであろう。

 あと、男女共同参画局http://www.gender.go.jp/は、その権限によってどんどん支援に取り組み、関係機関にも助言すべきだ。
・男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針http://www.gender.go.jp/policy/saigai/shishin/index.html
・避難所チェックシートhttp://www.gender.go.jp/policy/saigai/shishin/pdf/shishin_hinanjyo_checksheet.pdf

 ILO勧告ではないが、女性リーダーを避難所の機関として設置すべきだと思う。
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劇場(公の施設)における被災建築物応急危険度判定とその後の使用について/再掲載

2016-04-21 23:15:49 | Weblog
 この数日、以前東日本大震災後に書いた表記エントリの閲覧が多いので、再掲載するもの。
 但し、フリーの音響エンジニアである小生が調べた素人程度のものであるので、以下を読まれた方に、もし劇場関係者がおられた場合には、自治体担当者や専門家等に確認されてほしいことをお断りしておく。あくまで、安全調査や法的整理、その後の改修などのきっかけとしてほしいための投稿である。


被災建築物応急危険度判定制度と劇場のその後の運用については、自治体(直営施設)や個々の指定管理者によっては誤った制度理解に基づく施設運営がなされる懸念もあると思われるので、下記に資料を提示したいと思う。なお、特に今回の震災において比較的軽微な被災か、若しくは被災していないように見える施設において、一日も早い通常運営を行おうとしている場合に特に注意が必要だと考えられる。
 
 さて、知立市のHP(http://www.city.chiryu.aichi.jp/0000004872.html)に掲載されている整理が判り易いので、引用させていただこう。(追記・・なお、知立市のHPはリニューアルされ、現在はまとまった形での文章は掲載されていない・・因みに検索するとhttp://www.city.chiryu.aichi.jp/material/template/result.htmlとなっており、いくつかの記事にわけて夫々掲載されているようだ・・)

○応急危険度判定とは
応急危険度判定とは、大地震により被災した建築物を応急危険度判定士(下記参照)が調査して、その後に発生する余震などによる建物の倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下、エアコンの室外機などの付属設備の転倒などの危険性を判定することにより、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的としています。
 判定した結果は、建築物の見えやすい場所に、「危険」(赤紙)、「要注意」(黄紙)、「調査済」(緑紙)の三種類の判定ステッカーのいずれかを、見やすい場所に掲示し、居住者はもとより付近を通行する歩行者などに対してもその建築物の危険性について情報提供することとしています。
また、これらの判定は建築の専門家が個々の建築物を直接見て回るため、被災建築物に対する不安を抱いている被災者の精神的安定にもつながります。

○応急危険度判定士とは
応急危険度判定は、市町村が地震発生後の様々な応急対策の一つとして行うべきものですが、阪神・淡路大震災のような大規模災害の場合には、判定を必要とする建築物の量的な問題や被災地域の広域性から行政職員だけでは対応が難しいと考えられます。  そこで、ボランティアとして協力していただける民間の建築士等の方々に、応急危険度判定に関する講習を受講していただくことなどにより、「応急危険度判定士」として都道府県が養成、登録を行っています。応急危険度判定士は、活動時には、ヘルメットシール、腕章、判定士登録証等により身分を明らかにします。平成21年度は知立市では27名の応急危険度判定士が登録されています。

○応急危険度判定と罹災証明のための被害調査は意味合いが違います
応急危険度判定士は、地震後の余震等による二次災害を未然に防止するため、応急的に建物の安全性をチェックするものであり、被害調査は、建築物の資産価値的な面(損傷の程度)を調査するので、応急危険度判定とは、視点・内容が異なります。建築士には、応急危険度判定は、罹災証明のための被害調査ではない旨の周知も行います。また、この判定についての責任は判定実施主体の地方自治体にあります。

★震災後に行われる被災建築物の調査や判定には、主に次の三つがあります。

●被災建築物応急危険度判定
応急危険度判定とは、余震による建物の倒壊や落下物などから人的被害を防止するために、建物の安全性を応急的に判定し、建物への立ち入りの可否を住民に情報提供するものです。判定は、被災市町村の要請により資格を持った判定士が行いますが、緊急を要するため震災直後から速やかに実施されます。

●被災建築物の被災度区分判定
被災度区分判定とは、地震により損傷を受けた建物が修理により恒久的に継続使用が可能かどうか、また、どの程度の修理が必要か等、構造的視点から建物の復旧の要否について判定するものです。判定は、基本的に、建物の所有者が建築構造技術者等に依頼して行われることになります。

●罹災証明のための被害調査
被害調査とは市町村に提出された「罹災届」に基づき、被災した建物の損傷の度合いを資産価値的な視点から調査し、「罹災証明」として認定するために行われます。調査は、主として市町村職員が行います。

 ・・・引用終わり。

 これらを要約すると・・・

 「被災建築物応急危険度判定」は、被災した建物が二次災害を引き起こす危険度について判定するものであって、その目的は、建物への立ち入りや建物付近の危険の有無を判定しようとする制度だといえよう。したがって、建物がその施設の目的を果たす機能が失われていないかという判定を行うことではないことになる。

 したがって、例え上記の応急危険度判定が安全であるとされたとしても、施設の使用に際しての安全性やその機能(の一部)について判断しようとする場合には、少なくとも、その次の段階である「被災建築物の被災度区分判定」を待つ他はないということである。
 その上、劇場の場合には、少なくとも、①舞台機構、②照明装置、③音響装置、④反響板や、その他の付属設備・特別な電気設備やその他の機構などについて安全性の判断を行うことが必要なのである。
 なお、「罹災証明のための被害調査」については主に財産価値としての調査になるので、ここでは省略する。

 具体的な手順としては、

 1・被災後の復旧の第1段階・・・被災建築物応急危険度判定

 2.その次に・・・・・・・・・・被災建築物の被災度区分判定

 3.そして・・・・・・・・・・・舞台機構・照明と音響・その他の付属設備等

 ・・・となろう。

 上記をクリヤーしてはじめて施設の運用が可能になると考えられる。
 劇場の機構を持つ施設は、平時でさえかなり特殊であるので、施設運用の開始には慎重を期すべきだと思う。

 《追記》

 応急危険度判定と、その後の被災度区分判定のフローについては以下の東京都の資料が参考に意なると思われるので、是非参照されたい。なお、詳しくは都道府県建築担当課または特定行政庁(建築指導)に問い合わせていただきたい。くれぐれも運用には慎重を期すべきだと思う。

 http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/bousai/kn_t08_01.htm

 大変な困難に直面している関係自治体の職員の方、公の施設の指定管理者の関係者には、心からエールを送りたいと思う。
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指定管理者はみなし公務員か?ではないか? いくつかの論点

2016-04-15 19:43:18 | Weblog
 第一の論点として、先ず、指定管理者の法的性格についてであるが、国の解釈によれば(というか、既に総務省HPから削除されており、国会図書館で検索したがなかなか出てこないので、洋々亭さんの過去ログ「指定管理業務は請負業務では無い?」http://yoyotei.opal.ne.jp/cgi-yybbs/yoyybbs.cgi?mode=past&pno=36&subno=3993の自分の投稿から引用・・)、総務省の地方公共団体における民間委託の推進に関する研究会報告書(平成19年3月)P.25でも、「指定管理者の「指定」という行為自体は「契約」ではなく行政行為とされている」と記載されている。指定管理者の「指定」という行為自体は「契約」ではなく行政行為とされているが、「指定」に伴い地方公共団体と指定管理者の間で合意された事項を確認する「協定」の法的性質について整理を行う必要がある。「協定」の法的性質については、「行政行為の附款」とする考え方と「契約としての法的性質を有する協定」とする考え方がある。ここで、協定を「行政行為の附款」ととらえると、行政行為の条件として地方公共団体が一方的に決めていることになるが、協定締結の過程及び協定に含まれる内容を考慮すると、法的拘束力のある契約条項的な規定部分を含むことから、「契約としての法的性質を有する協定」とするほうが適当であると考えられる・・・と言う理論である。

 また、上記所論によれば、「行政行為の附款」と「契約」としての規定部分を含むと言うのである。これはこれで一つの見解だとしておこう。
 また、“附款”にも、「法定附款」と「裁量的な附款」が考えられるが、“附款”自体が、何らかの合意による場合もあると考えられよう(なお、付款が交渉の結果として付されることがあり得ることについては、塩野宏『行政法Ⅰ(第3版)』有斐閣、2003年161頁を参照)。
同所論では『「協定」が契約としての法的性格を有するとした場合、地方自治法第234 条の契約に関する規定や第142 条等の兼業禁止の規定との関係が問題となるが、これらは契約相手先を決定する際の規定であることから、これと対応関係にある「指定」という行政行為には適用されないものである。』
 『“兼業禁止”については「指定」という行政行為には適用されない』と結論づけてはいる。これも一つの見解だとしておこう。

 しかしながら、この所論をもって「民法」とこれを修正する「経済法」・「労働法」をさらに修正するものとはならないであろう。
 例としては、行政権限の下級庁への委任の場合には、一般に、委任した上級庁が受任庁に対し、指揮監督権を有していると考えられているが、指定管理者の場合には、これを「協定書」に委ねているものと考えられるからである。もし、指定管理者に対する指揮監督権を委任庁(指定する側)に認めれば、職業安定法や労働者派遣法との整合性が問題となってくる。

 所論は、労働法(労働者派遣法)について一部のみ触れてはいるが、しかしながら従来の上級庁・下級庁のような関係に対し、法人格の異なる機関(自治体と民間法人)間の私法関係(とこれを修正する経済法・労働法)についての検討がなされているとは言いがたい。
 また、個人情報の保護についても、従来の管理委託制度における実施機関(行政機関)からの委任と同等の取り扱いとなっており、指定管理者から再委託された場合には罰則の適用はない規定になっているのである。
 これは指定管理者(私人)と行政機関(公務員)の決定的な違いだと思われる。
 個別に判断すれば刑法7条の“みなし公務員”の可能性は排除はされない。しかしこれが結論ではない。

 
 第二として、先ずは、刑法7条の規定に関して、自治体が独自に公務員的用罪の範囲を広げることは、罪刑法定主義に反し、憲法(デュープロセス)条項にも反すると解すべきであろう。念のため、刑法の規定は「第七条 この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。
2  この法律において「公務所」とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいう。」となっている。

 なお、法律(法令)の規定に基づく「みなし公務員」は、デュープロセスの原則により、明文の根拠が必要なところ、例えば、国の指定機関については、行政庁から委任を受けた民間人が「公権力の行使である公務を行う」とする明文規定が「みなし公務員」の法源となっている(ただし明文により“みなし公務員”とは書いてないものが多い)。
 これを援用すると、地方自治法の法任意規定(244条の2の3)である指定管理者は、これを採用する自治体の条例(使用許可等の公権力の行使が長から委任された場合)によって、公務を行う者となることから、「みなし公務員」だと言い得る法源である余地はあることとなる。
 つまり「法任意(出来る規定)」でもって民間人に委任が可能な公権力行使(自治体に留保されている)は、これを条例により規定した場合に限り、条例が個別法となり「みなし公務員」であると解することも一応可能ではある、ということだ。

 ところで、よく対比されるというか、類似の構造を持つ、公共サービス改革法の「みなし公務員規定」については、解釈が少し厄介である。

 即ち、
 第二十五条 公共サービス実施民間事業者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員その他の前条の公共サービスに従事する者又はこれらの者であった者は、当該公共サービスの実施に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
2 前条の公共サービスに従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 この規定では「公共サービス実施民間事業者若しくはその他の前条の公共サービスに(1)」に従事する者は「法令により公務に従事する職員とみなす(2)」となる。
 しかし、公共サービス実施民間事業者で括ったすべての者が“みなし公務員である”と解すには、なお疑問があるのである(同条が「前条の~」と名指しした者は、個別化するとされる刑法責任論においては、どの個人なのか?が得に疑問である)。

 ここで確認しておきたいが、刑法は根拠法ではないから、法源はあくまで該当「法令(の明文規定)により公務を行う者」であって、この者に対する料罰規定として刑法7条が適用され「~公務員とみな~」されるわけである。
 そうすると、公共サービス改革法が規定する「みなし公務員」と言い得るような法源は、同法の34条以降条文に列挙された業務(公務)に求められるものであろう。つまり、法令により公務に従事すればみなし公務員なのだから、公共サービス25条2項は得に必要ないことになる。ダメ押し規定である。

 また、(やぶ蛇だが)同法54条の料罰規定については、刑法に規定される料罰規定と競合した場合には、これは択一関係により「公共サービス改革法二十五条第一項違反罪」になると思う。

 結局のところ、指定管理者は、みなし公務員である可能性はあるが、確定的ではない、ということである。また、刑法の公務員適用罪を適用するだけの責任については、身分保障(例えば失われた権利に対する対価)という点でも疑問はあるわけである。
 しかしながら、私の意図としては、刑罰に威嚇されて護られる法益の価値については無視できないわけであって、指定管理者に与えられた施設利用の許可不許可の行政処分に対しては、職権乱用罪や贈収賄罪の威嚇がある(=刑法7条に言う「みなし公務員」たる身分である)、という前提に立たないとすれば、自治体や個別の施設によっては自治体が直営でやっているわけであり、また少数ではあるが利用の許可を自治体(の公務員)に留保している場合もあるのであるから、地方自治法244条に言う『公の施設』の平等利用と公共性を担保するには足りないわけである。
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派遣法違反?職安法44条違反?・・・どっち?

2016-03-30 21:53:53 | Weblog
 このお題、記事とも焼き直しであるが、訪問数が多い(お読みいただきありがとうございます)ので、再掲載するもの。

 かねてより疑問に思うことがある。派遣法と職安法44条の違反は、条文を見る限り、競合していないように思われるが、そうであろうか。私見によれば、構成要件的行為において相当に重なっているように思われる。素人ゆえ誤りかもしれないが、下記を読んでいただきたいと思う。


 その1.

 請負・委任契約のなかで、偽装請負が行われていた場合、国(労働局需給調整担当)の法解釈によれば、派遣法2条1項(「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないもののする。」)を法源に、職安法を適用せず、派遣法違反とし、主に派遣元について是正指導を行っている。勿論、派遣先にも指導はあるのだが、この点、私の見聞きした実態では、派遣元にはある程度しっかり指導(親分・子分関係など封建的な取り扱いをやめるよう促したり、労災保険や雇用保険に加入するよう指導したり)してはいるが、どうも派遣先(派遣元にとっては顧客であるためか)やや緩やかだと思う。
 どうも国(労働行政)は、派遣法に当たらないものを抜き出して職業安定法違反、即ち、一方が成立すれば他方は論理的に成立しえない排他(排除)関係としているようである。尤も、職安法の条文には確かに文理上そう書いてはある(故に、2重派遣のみを職安法44条違反として告発するなど)が、しかし、私は、職安法と派遣法との関係は、一般法と個別法の関係にあると解すべき場合があるのではないか、と理解している。即ち、立法過程上や、派遣法と職業安定法との役割分担上で、下記の様な事情からそのように解せる余地があるということである。

 さて、よく考えてみれば、労働者派遣、労働者供給とは法的にどういうものであろうか。
「労働者派遣法第2条第1号・自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないもののする。」
 これに対し「職業安定法第4条第6項・労働者供給とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣法第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。
 これは文理解釈すれば、「労働者派遣」も「労働者供給」も他人の指揮命令を受けて労働に従事させることではおなじである。使用については派遣先、供給先ということであろう。
 また、雇用については、派遣元、雇用を含む事実上の支配関係がある先は、供給元となろう。
 さらに、労働者派遣では、「当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないもののする」といっており、出向は含まない。

 結局、“雇用”ということと、事実上の“支配関係”の違いでしかない。これは、どちらも労働力の処分権限を他人に委ねるという点では同じである。いわば行為無価値論的考え方である。これは、例えば、結果無価値の立場であれば、被害者(違法派遣や違法挙給される労働者)の同意によって保護すべき法益は存在しなくなるから、違法性が阻却されるという話にもなり得よう。
 これに対し、行為無価値の立場なら、同意を得た動機・目的等も考慮して、法秩序全体の立場から社会的相当性が認められるか否かで条文を読み、違法性を検討することとなる。

 そうすると、形式上、雇用(例えば派遣)に見せかけておいて、実質的労働関係では派遣元・派遣先双方が事実上の支配を行って、このうちの派遣先に指揮命令権があるような労働者派遣(請負・委任契約での偽装請負など)の場合、どう考えても「職安法44条違反(職安則4条各号に照らせば)」というように考えられるが、。

 もっと、労働関係の様態・性質・強弱などを勘案して実質的に如何なる法規範・規律に服せしめるかの基準が問われるべきだと思う。


 その2.

 試論だが、違法な1次派遣をすべて職安法44条違反ではない派遣法違反とすることは不当だと思う。
 
 理由の1つは、労働局でも「契約類型の判断は当事者が用いた用語に拘束されることなく、実質的な内容の判断による」と言っているのである。
 されば、1次の雇用関係について判断する際にも、労働者との契約関係において「意思の合致(所属認識,認容の態度等)」を根拠にすべきと考えられる。
 民法の権利の乱用法理も適用されるから、1次派遣元とその労働者の雇用契約自体が問疑され、揺らぐこととなる。例えば、雇用主ではない他人の指揮命令を受けて労働することを条件に雇用契約を結ぶ場合や、雇用主とその労務提供先である他人の双方の支配を受けることを約さなければ雇用が実現されない場合などである。このような場合、労働条件等が不明なため雇用契約自体が揺らぐこととなるであろう。
 そうすると、ここで職安法44条違反の可能性が問疑されなければならない。

 理由の2つ目は、既に雇用している労働者を違法に派遣した場合と、新たな顧客(事業場所等)へ偽装請負を行うことを目的として労働者を形式的に雇用することとは、故意責任(構成要件的故意)において区別されるだろう。労務提供先(顧客)が行為支配していれば、そちらが正犯だと評価される。
 始めから他人に貸し出しすることを約して労働者と契約することを“雇用”とは呼ばないだろう。画して、ここでも職安法44条違反の可能性が問疑されなければならない。

 蓋然性として、偽装させようと立ち上げた子会社や中小零細な請負事業者の故意責任よりも、派遣先・供給先が正犯(主犯格)であることが多いのではないだろうか。

 刑罰規定のある「労働法違反」は、刑法総則(1条~8条)の適用がある“罪”であるから、“行為は連帯し責任は個別化する”である。派遣法違反も職安法44条違反も必要的共犯であるわけであるし、派遣労働者保護法といっても、違法派遣の被害労働者の雇用継続は実際には無理なのであるから、そのようなお題目(派遣法の正式名称=「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」というもの)だけの法益均衡を計るべきではなく、主観的違法要素を相当取り入れて検討されるべきだと思う。

 端的に言えば、派遣先・供給先の故意責任を問うべきなのである。
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この国の、一部の指導者と教育者について

2016-03-15 22:21:58 | Weblog
 ひとつ前のお題「男女平等を求める公開状に著名な歌手・女優陣らが署名」を書いたばかりのところ、この国の一部の指導者と教育者があまりにも低レベルなので、揚げ足を取るつもりはなかったが、忘却緑として、下記の2例の発言を付記したい。

 1例目・・・「俳優の福山雅治さんと吹石一恵さん結婚の感想として、菅義偉官房長官が「ママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』という形で国家に貢献してくれれば」と発言したそうだ。ーー毎日新聞2015年10月8日 東京朝刊ーー

 2例目・・・大阪市立中の男性校長(61)が2月29日、全校集会で「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むこと。仕事でキャリアを積む以上に価値がある。子育てをした後に大学で学べばよい」と発言していたことが、市教委関係者への取材で分かった。市教委は「不適切な発言」として処分を検討している。
 今月初め、市教委への匿名の電話で発覚した。市教委の聞き取りに、校長は発言を認める一方、間違ったことは言っていないとの認識を示したという。校長は2015年3月に定年退職したが、再任用されていた。【大久保昂】毎日新聞 3月11日(金)22時46分配信

 さて、何が問題なのかというと、「間違ったことは言っていない」と悪ぶれないことだろう。
 全校集会(生徒の前)での発言だということが問題なわけで、これは個人の思想良心(内心の自由)の問題ではない。公人、それも教育者として言い放った事実を理解していない点において間違っている。自分の考えを述べる機会が欲しければ、自費で街宣車でも買った上で、私的な時間に行うべきだろう。それでもなお、教育者や公務員(大阪市立なのでこの人は公務員だろうから)の政治的基本権や表現の自由といった外形的・啓示的行為は、その職務に内在する制約が課されているわけである。よって、このような考えを自己の思想として他者に表示するには、校長を辞してからでないと認められないと考えられる。発言の濃淡はあるが、同趣旨に受け取れるから、官房長官も同様だと思う。
 教員の職務における国旗国歌の取り扱いも、当にそのような筈(公務員の内部解釈)であった。尤も、この職務内在制約(説)を拡大解釈することには反対だが、最小限度でこの考え方は妥当であろう。そして、この考え方で教員らを規制し得る校長(校長の権限は主として校務であるから、その教育権能にはなおさら控えめさが要求される)の職務権限もある。これを悪用して児童生徒に自説を説くのは行為として卑しい。
 校長も、官房長官も、これでは、自己矛盾も甚だしい。彼らはいつから全体の奉仕者という認識や認容の態度がなくなったのだろう。〝能ありて識なし〟だ。


 ≪追記≫

 問題発言の校長が答弁(発言趣旨説明)をしたので、不平等になるといけないの紹介しておくこととしたい。

 大阪市立中学校の校長が全校集会で「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むこと」などと発言したとして、市教育委員会が処分を検討している問題で、校長が14日、産経新聞の取材に応じ「出産が義務と言っているわけではない。子供たちに将来、親や保護者、社会への恩返しを考えないといけないよ、という観点から話した」と発言の趣旨を説明した。
 発言したのは市立茨田(まった)北中学校(鶴見区)の寺井寿男校長(61)。寺井校長はさらに、「子育てが煩わしいもの、損なもの、という考えもある現状を変えたい、それだけではないということを、子供たちに伝えたかった」と話した。
 寺井校長は「一部を切り取られ誤解を招かないように」として、2月29日の全校集会での発言要旨を同校のホームページで12日朝から公開したが、同日夜、市教委の削除依頼があり、13日朝に掲載を取り下げた。
・・・とのこと。

 ただ、自分のHPではない、学校のHPで、趣旨説明をすべきではなかったと思う。
 持論を展開するのなら、例えば、自費で新聞広告を出すとか、自分で作ったビラでも駅前で配って、説明をすべきであったように思う。紙を丸めたメガホンでもよいと思う。弁明であっても、公費や公共施設の器具を用いタダで弁明を公表するのは、他人のフンドシであって、過のソクラテスの弁明も、民衆の雑踏にかき消されて効果がなかった(当然だが、古代にはマイクやスピーカーのような電気音響装置はなかった。そのうえ、雑巾のようなぼろをまとい裸足で弁明したという)わけで、この校長のように、自分だけ効果的な方法を使うのは、卑怯の誹りを受けるわけである。

 この学校のHPという〝効果的な弁明〟の、削除を要請した教委の判断は妥当だと思う。
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男女平等を求める公開状に著名な歌手・女優陣らが署名

2016-03-08 23:51:28 | Weblog
 本日3月8日は国際女性デーだが、これを前に、テレビ司会者のオプラ・ウィンフリー、歌手のメアリー・J. ブライジ、女優のシャーリーズ・セロン、メリル・ストリープほか多数の著名芸能人たちが、世界の指導者たちに向けた全世界の男女平等を求める公開状に署名した。との報道があったので以下に照会したい。
 なお、記事は Billboard Japan 3月8日(火)20時10分配信 ヤフーニュースから引用させていただく。
 元URLは http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160308-00035930-exp-musi

 引用開始・・・
3月6日に発表されたこの公開状では、世界で6,200万人の少女たちに教育を受ける権利が認められていないことや、5億人の女性が文字を読めず、155か国に女性を差別する法律があることに言及している。「女性が男性と同等の機会を有する場所は地球上のどこにもありません。どこにもです。男女平等の闘いは世界規模なのです」と述べている。
 署名している著名人にはこの他、エルトン・ジョン、女優のティナ・フェイ、アシュレイ・ジャッド、エイミー・ポーラー、ダナイ・グリラ、コニー・ブリットン、パトリシア・アークエット、俳優のロバート・レッドフォード、コリン・ファレルに、ションダ・ライムズ(脚本家)、モハメド・アリ(元プロボクサー)、シェリル・サンドバーグ(Facebookの最高執行責任者)、ショーン・パーカー(Facebookの初代CEOで実業家)などがいる。この活動は、U2のボノが共同設立者となり極貧と病気の撲滅のために設立したONE Campaign(ワン・キャンペーン)が企画したものだ。
 ブロードウェイの舞台『Eclipsed』の脚本を務めたダナイ・グリラはインタビューで、「この時代においても、世界でもっとも貧しく恵まれないのは、明らかに女性や少女たちです。世界の女性や少女たちの光と可能性は閉ざされているのです」とコメントしている。
 8日の“国際女性デー”を前にして発表されたこの公開状では、少女たちと女性のエイズや栄養不良との闘いや、女性が経済的権限を持つことを支援するよう指導者たちに呼びかけている。
 長年、女性を擁護してきたグリラは、8日に連邦議会に赴いて議員たちと面会する予定だ。
 グリラは、「もうたくさんです。このギャップを埋めなくてはなりませんし、我々は一丸となって集中的に取り組まなくてはならず、それには、変化をもたらす力のある世界のリーダーたちと直接話す必要があるのです。性別による抑圧構造の中にいる人々に発言権を与え、できる限りのことをして闘うことは私自身の延長線上にあるものなのです」と話す。
 なお、一緒に添えられた“Poverty Is Sexist 2016(貧困は性差別)”と題するレポートでは、「あまりにも多くの国で、女性および貧しく生まれることは不平等・抑圧・貧困の終身刑を意味しており、多くの場合は死刑宣告をも意味します」と述べている。

・・・引用終わり。

 関連して、あらためて「女性差別撤廃条約」を読んでみたいと思う(なお、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効し、日本は1985年に締結)。なお前文が大事なので、そこも紹介したい。直訳に近いため句点がないので、適当に段組みをしてみた。

 
 この条約の締約国は、国際連合憲章が基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の権利の平等に関する信念を改めて確認していることに留意し、
世界人権宣言が、差別は容認することができないものであるとの原則を確認していること、並びにすべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳及び権利について平等であること並びにすべての人は性による差別その他のいかなる差別もなしに同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明していることに留意し、
 人権に関する国際規約の締約国がすべての経済的、社会的、文化的、市民的及び政治的権利の享有について男女に平等の権利を確保する義務を負つていることに留意し、国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し、
 更に、国際連合及び専門機関が採択した男女の権利の平等を促進するための決議、宣言及び勧告に留意し、
 しかしながら、これらの種々の文書にもかかわらず女子に対する差別が依然として広範に存在していることを憂慮し、女子に対する差別は、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものであり、女子が男子と平等の条件で自国の政治的、社会的、経済的及び文化的活動に参加する上で障害となるものであり、社会及び家族の繁栄の増進を阻害するものであり、
 また、女子の潜在能力を自国及び人類に役立てるために完全に開発することを一層困難にするものであることを想起し、窮乏の状況においては、女子が食糧、健康、教育、雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするものを享受する機会が最も少ないことを憂慮し、衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し、
 アパルトヘイト、あらゆる形態の人種主義、人種差別、植民地主義、新植民地主義、侵略、外国による占領及び支配並びに内政干渉の根絶が男女の権利の完全な享有に不可欠であることを強調し、国際の平和及び安全を強化し、国際緊張を緩和し、すべての国(社会体制及び経済体制のいかんを問わない。)の間で相互に協力し、
 全面的かつ完全な軍備縮小を達成し、特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核軍備の縮小を達成し、諸国間の関係における正義、平等及び互恵の原則を確認し、外国の支配の下、植民地支配の下又は外国の占領の下にある人民の自決の権利及び人民の独立の権利を実現し並びに国の主権及び領土保全を尊重することが、社会の進歩及び発展を促進し、ひいては、男女の完全な平等の達成に貢献することを確認し、国の完全な発展、世界の福祉及び理想とする平和は、あらゆる分野において女子が男子と平等の条件で最大限に参加することを必要としていることを確信し、
 家族の福祉及び社会の発展に対する従来完全には認められていなかつた女子の大きな貢献、母性の社会的重要性並びに家庭及び子の養育における両親の役割に留意し、
 また、出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し、
 社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、
 女子に対する差別の撤廃に関する宣言に掲げられている諸原則を実施すること及びこのために女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための必要な措置をとることを決意して、次のとおり協定した。

第一部

第一条
 この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

第二条
 締約国は、女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びこのため次のことを約束する。
  (a)  男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、かつ、男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
  (b)  女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。
  (c)  女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。
  (d)  女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従つて行動することを確保すること。
  (e)  個人、団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
  (f)  女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
  (g)  女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。

第三条
 締約国は、あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

第四条
  1  締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない。ただし、その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなつてはならず、これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。
  2  締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは、差別と解してはならない。

第五条
 締約国は、次の目的のためのすべての適当な措置をとる。
  (a)  両性のいずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。
  (b)  家庭についての教育に、社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。あらゆる場合において、子の利益は最初に考慮するものとする。

第六条
 締約国は、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

第二部

第七条
 締約国は、自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、女子に対して男子と平等の条件で次の権利を確保する。
  (a)  あらゆる選挙及び国民投票において投票する権利並びにすべての公選による機関に選挙される資格を有する権利
  (b)  政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利
  (c)  自国の公的又は政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加する権利

第八条
 締約国は、国際的に自国政府を代表し及び国際機関の活動に参加する機会を、女子に対して男子と平等の条件でかついかなる差別もなく確保するためのすべての適当な措置をとる。

第九条
  1  締約国は、国籍の取得、変更及び保持に関し、女子に対して男子と平等の権利を与える。締約国は、特に、外国人との婚姻又は婚姻中の夫の国籍の変更が、自動的に妻の国籍を変更し、妻を無国籍にし又は夫の国籍を妻に強制することとならないことを確保する。
  2  締約国は、子の国籍に関し、女子に対して男子と平等の権利を与える。

第三部

第十条
 締約国は、教育の分野において、女子に対して男子と平等の権利を確保することを目的として、特に、男女の平等を基礎として次のことを確保することを目的として、女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
  (a)  農村及び都市のあらゆる種類の教育施設における職業指導、修学の機会及び資格証書の取得のための同一の条件。このような平等は、就学前教育、普通教育、技術教育、専門教育及び高等技術教育並びにあらゆる種類の職業訓練において確保されなければならない。
  (b)  同一の教育課程、同一の試験、同一の水準の資格を有する教育職員並びに同一の質の学校施設及び設備を享受する機会
  (c)  すべての段階及びあらゆる形態の教育における男女の役割についての定型化された概念の撤廃を、この目的の達成を助長する男女共学その他の種類の教育を奨励することにより、また、特に、教材用図書及び指導計画を改訂すること並びに指導方法を調整することにより行うこと。
  (d)  奨学金その他の修学援助を享受する同一の機会
  (e)  継続教育計画(成人向けの及び実用的な識字計画を含む。)、特に、男女間に存在する教育上の格差をできる限り早期に減少させることを目的とした継続教育計画を利用する同一の機会
  (f)  女子の中途退学率を減少させること及び早期に退学した女子のための計画を策定すること。
  (g)  スポ-ツ及び体育に積極的に参加する同一の機会
  (h)  家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の教育的情報(家族計画に関する情報及び助言を含む。)を享受する機会

第十一条
  1  締約国は、男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することを目的として、雇用の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
  (a)  すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利
  (b)  同一の雇用機会(雇用に関する同一の選考基準の適用を含む。)についての権利
  (c)  職業を自由に選択する権利、昇進、雇用の保障ならびに労働に係るすべての給付及び条件についての権利並びに職業訓練及び再訓練(見習、上級職業訓練及び継続的訓練を含む。)を受ける権利
  (d)  同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む。)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利
  (e)  社会保障(特に、退職、失業、傷病、障害、老齢その他の労働不能の場合における社会保障)についての権利及び有給休暇についての権利
  (f)  作業条件に係る健康の保護及び安全(生殖機能の保護を含む。)についての権利
  2  締約国は、婚姻又は母性を理由とする女子に対する差別を防止し、かつ、女子に対して実効的な労働の権利を確保するため、次のことを目的とする適当な措置をとる。
  (a)  妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。
  (b)  給料又はこれに準ずる社会的給付を伴い、かつ、従前の雇用関係、先任及び社会保障上の利益の喪失を伴わない母性休暇を導入すること。
  (c)  親が家庭責任と職業上の責務及び社会的活動への参加とを両立させることを可能とするために必要な補助的な社会的サ-ビスの提供を、特に保育施設網の設置及び充実を促進することにより奨励すること。
  (d)  妊娠中の女子に有害であることが証明されている種類の作業においては、当該女子に対して特別の保護を与えること。
  3  この条に規定する事項に関する保護法令は、科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討するものとし、必要に応じて、修正し、廃止し、又はその適用を拡大する。

第十二条

  1  締約国は、男女の平等を基礎として保健サ-ビス(家族計画に関連するものを含む。)を享受する機会を確保することを目的として、保健の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
  2  1の規定にかかわらず、締約国は、女子に対し、妊娠、分娩及び産後の期間中の適当なサ-ビス(必要な場合には無料にする。)並びに妊娠及び授乳の期間中の適当な栄養を確保する。

第十三条
 締約国は、男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することを目的として、他の経済的及び社会的活動の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
  (a)  家族給付についての権利
  (b)  銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用についての権利
  (c)  レクリエ-ション、スポ-ツ及びあらゆる側面における文化的活動に参加する権利

第十四条
  1  締約国は、農村の女子が直面する特別の問題及び家族の経済的生存のために果たしている重要な役割(貨幣化されていない経済の部門における労働を含む。)を考慮に入れるものとし、農村の女子に対するこの条約の適用を確保するためのすべての適当な措置をとる。
  2  締約国は、男女の平等を基礎として農村の女子が農村の開発に参加すること及びその開発から生ずる利益を受けることを確保することを目的として、農村の女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、これらの女子に対して次の権利を確保する。
  (a)  すべての段階における開発計画の作成及び実施に参加する権利
  (b)  適当な保健サ-ビス(家族計画に関する情報、カウンセリング及びサ-ビスを含む。)を享受する権利
  (c)  社会保障制度から直接に利益を享受する権利
  (d)  技術的な能力を高めるために、あらゆる種類(正規であるかないかを問わない。)の訓練及び教育(実用的な識字に関するものを含む。)並びに、特に、すべての地域サ-ビス及び普及サ-ビスからの利益を享受する権利
  (e)  経済分野における平等な機会を雇用又は自営を通じて得るために、自助的集団及び協同組合を組織する権利
  (f)  あらゆる地域活動に参加する権利
  (g)  農業信用及び貸付け、流通機構並びに適当な技術を利用する権利並びに土地及び農地の改革並びに入植計画において平等な待遇を享受する権利
  (h)  適当な生活条件(特に、住居、衛生、電力及び水の供給、運輸並びに通信に関する条件)を享受する権利

第四部

第十五条
  1  締約国は、女子に対し、法律の前の男子との平等を認める。
  2  締約国は、女子に対し、民事に関して男子と同一の法的能力を与えるものとし、また、この能力を行使する同一の機会を与える。特に、締約国は、契約を締結し及び財産を管理することにつき女子に対して男子と平等の権利を与えるものとし、裁判所における手続のすべての段階において女子を男子と平等に取り扱う。
  3  締約国は、女子の法的能力を制限するような法的効果を有するすべての契約及び他のすべての私的文書(種類のいかんを問わない。)を無効とすることに同意する。
  4  締約国は、個人の移動並びに居所及び住所の選択の自由に関する法律において男女に同一の権利を与える。

第十六条
  1  締約国は、婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、男女の平等を基礎として次のことを確保する。
  (a)  婚姻をする同一の権利
  (b)  自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利
  (c)  婚姻中及び婚姻の解消の際の同一の権利及び責任
  (d)  子に関する事項についての親(婚姻をしているかいないかを問わない。)としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において、子の利益は至上である。
  (e)  子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する同一の権利並びにこれらの権利の行使を可能にする情報、教育及び手段を享受する同一の権利
  (f)  子の後見及び養子縁組又は国内法令にこれらに類する制度が存在する場合にはその制度に係る同一の権利及び責任。あらゆる場合において、子の利益は至上である。
  (g)  夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)
  (h)  無償であるか有償であるかを問わず、財産を所有し、取得し、運用し、管理し、利用し及び処分することに関する配偶者双方の同一の権利
  2  児童の婚約及び婚姻は、法的効果を有しないものとし、また、婚姻最低年齢を定め及び公の登録所への婚姻の登録を義務付けるためのすべての必要な措置(立法を含む。)がとられなければならない。

第五部

第十七条
1  この条約の実施に関する進捗状況を検討するために、女子に対する差別の撤廃に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この条約の効力発生の時は十八人の、三十五番目の締約国による批准又は加入の後は二十三人の徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において十分な能力を有する専門家で構成する。委員は、締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。
  2  委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は、自国民の中から一人を指名することができる。
  3  委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後六箇月を経過した時に行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも三箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を二箇月以内に提出するよう書簡で要請する。同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、締約国に送付する。
  4  委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。この会合は、締約国の三分の二をもって定足数とする。この会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得て指名された者をもって委員会に選出された委員とする。
  5  委員会の委員は、四年の任期で選出される。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち九人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの九人の委員は、最初の選挙の後直ちに、委員会の委員長によりくじ引きで選ばれる。
  6  委員会の五人の追加的な委員の選挙は、三十五番目の批准又は加入の後、2から4までの規定に従って行う。この時に選出された追加的な委員のうち二人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの二人の委員は、委員会の委員長によりくじ引で選ばれる。
  7  締約国は、自国の専門家が委員会の委員としての職務を遂行することができなくなった場合には、その空席を補充するため、委員会の承認を条件として自国民の中から他の専門家を任命する。
  8  委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。
  9  国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。

第十八条
  1  締約国は、次の場合に、この条約の実施のためにとった立法上、司法上、行政上その他の措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する報告を、委員会による検討のため、国際連合事務総長に提出することを約束する。
  (a)  当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から一年以内
  (b)  その後は少なくとも四年ごと、更には委員会が要請するとき。
  2  報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。

第十九条
  1  委員会は、手続規則を採択する。
  2  委員会は、役員を二年の任期で選出する。

第二十条
  1  委員会は、第十八条の規定により提出される報告を検討するために原則として毎年二週間を超えない期間会合する。
  2  委員会の会合は、原則として、国際連合本部又は委員会が決定する他の適当な場所において開催する。

第二十一条
  1  委員会は、その活動につき経済社会理事会を通じて毎年国際連合総会に報告するものとし、また、締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、締約国から意見がある場合にはその意見とともに、委員会の報告に記載する。
  2  国際連合事務総長は、委員会の報告を、情報用として、婦人の地位委員会に送付する。

第二十二条
 専門機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、専門機関に対し、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。

第六部

第二十三条
 この条約のいかなる規定も、次のものに含まれる規定であって男女の平等の達成に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。
  (a)  締約国の法令
  (b)  締約国について効力を有する他の国際条約又は国際協定

第二十四条
 締約国は、自国においてこの条約の認める権利の完全な実現を達成するためのすべての必要な措置をとることを約束する。

第二十五条
  1  この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。
  2  国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指定される。
  3  この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
  4  この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。

第二十六条
  1  いずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告により、いつでもこの条約の改正を要請することができる。
  2  国際連合総会は、1の要請に関してとるべき措置があるときは、その措置を決定する。

第二十七条
  1  この条約は、二十番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三十日目の日に効力を生ずる。
  2  この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後三十日目の日に効力を生ずる。

第二十八条
  1  国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し、かつ、すべての国に送付する。
  2  この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
  3  留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、受領された日に効力を生ずる。

第二十九条
  1  この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争で交渉によって解決されないものは、いずれかの紛争当事国の要請により、仲裁に付される。仲裁の要請の日から六箇月以内に仲裁の組織について紛争当事国が合意に達しない場合には、いずれの紛争当事国も、国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に紛争を付託することができる。
  2  各締約国は、この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に、1の規定に拘束されない旨を宣言することができる。他の締約国は、そのような留保を付した締約国との関係において1の規定に拘束されない。
  3  2の規定に基づいて留保を付した締約国は、国際連合事務総長にあてた通告により、いつでもその留保を撤回することができる。

第三十条
 この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合事務総長に寄託する。

 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。



 外務省で条約ができるまでの経緯を紹介しているので、これも参照されたい。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/3a_001.html

 女性差別撤廃を目的としている条約だが、女子・妻・母親・親・子という単語をすべて「人間」と言い代えて読むこともできる。そうすると、当に、人間の尊厳と社会正義実現のことを言っているように思われる。


 ≪追記≫ 揚げ足を取るつもりはなかったが、この国の指導者と教育者があまりにも低レベル(尤も、ブログを書く自分のことは棚に上げ??・・)なので、忘却緑として、下記の2例の発言を付記したい。

 1例目・・・「俳優の福山雅治さんと吹石一恵さん結婚の感想として、菅義偉官房長官が「ママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』という形で国家に貢献してくれれば」と発言したそうだ。ーー毎日新聞2015年10月8日 東京朝刊ーー

 2例目・・・大阪市立中の男性校長(61)が2月29日、全校集会で「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むこと。仕事でキャリアを積む以上に価値がある。子育てをした後に大学で学べばよい」と発言していたことが、市教委関係者への取材で分かった。市教委は「不適切な発言」として処分を検討している。
 今月初め、市教委への匿名の電話で発覚した。市教委の聞き取りに、校長は発言を認める一方、間違ったことは言っていないとの認識を示したという。校長は2015年3月に定年退職したが、再任用されていた。【大久保昂】毎日新聞 3月11日(金)22時46分配信

 さて、何が問題なのかというと、「間違ったことは言っていない」と悪ぶれないことだろう。
 全校集会(生徒の前)での発言だということが問題なわけで、これは個人の思想良心(内心の自由)の問題ではない。公人、それも教育者として言い放った事実を理解していない点において間違っている。自分の考えを述べる機会が欲しければ、自費で街宣車でも買った上で、私的な時間に行うべきだろう。それでもなお、教育者や公務員(大阪市立なのでこの人は公務員だろうから)の政治的基本権や表現の自由といった外形的・啓示的行為は、その職務に内在する制約が課されているわけである。よって、このような考えを自己の思想として他者に表示するには、校長を辞してからでないと認められないと考えられる。発言の濃淡はあるが、同趣旨に受け取れるから、官房長官も同様だと思う。
 教員の職務における国旗国歌の取り扱いも、当にそのような筈(公務員の内部解釈)であった。尤も、この職務内在制約(説)を拡大解釈することには反対だが、最小限度でこの考え方は妥当であろう。そして、この考え方で教員らを規制し得る校長(校長の権限は主として校務であるから、その教育権能にはなおさら控えめさが要求される)の職務権限もある。これを悪用して児童生徒に自説を説くのは行為として卑しい。
 校長も、官房長官も、これでは、自己矛盾も甚だしい。彼らはいつから全体の奉仕者という認識や認容の態度がなくなったのだろう。〝能ありて識なし〟だ。
 
 
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