妻の包丁の音を聴きながらブルーライトカット眼鏡をつと外し、ん。と短く一つうなってみる。決まった。
先ほど病院から電話があり、手術の日取りが決まりました。
3/6。まずは左足から。ひざの骨を切り角度を変える。金属プレートを外す手術を含め、計三回予定されている手術のうちの第一回。
ファーストミッションという訳です。全身麻酔の手術になるようです。
私が初めて全身麻酔の手術を受けたのは19歳の時。バイクで転倒し、肩鎖関節の脱臼及び靭帯断裂の重傷を負い、その時の手術の時、全身麻酔をしました。全身麻酔が効く瞬間。あれは、眠る、とは全然違う感覚なんですよ。
眠る、がパソコンで言うところの、文字通りの、スリープ、だとしたら、全身麻酔は強制終了。いきなり主電源を落とすような感覚なんです。
いきなり意識が遠のく。 あの時も手術の少し前に、プレ麻酔の様な注射を打たれ、「このお薬が効くと、頭がぼっとしてくるかもしれないけど、それで普通だから」と言われたものの全く眠くならず、おいおい、酒飲みは麻酔の掛かりが悪いと風のうわさに聞いたけど、ちゃんと効くのか? とややビビりながら手術室に入り、電極やら、照明やら、いろいろセッティングされ、カチャカチャと、金具が当たる音を聴きながら、私はきょろきょろとしていたのです。一人の看護師の前歯に口紅がついていたのもはっきりと覚えている。私は全然、プレ麻酔が効いていなかったのです。
しかしいよいよ準備が整ったらしく、そろそろ始めますか、的な空気になってきた。私は(おいおい、全然効いてない! 麻酔、全然効いてないぞ!)と看護師さんに目で訴えていたら、「これはまだ酸素だから眠くはならないよ」と言われ、あそうか、どうりで眠くならないわけだ。なんて考えていたその数十秒後、「はい、そろそろ眠くなってきますよ」と、いわれたその最後の『すよ』を聞いた記憶がないのです。
恐るべし、全身麻酔。
まあ、あとどれぐらいかかるかわかりませんが、とりあえず新しい一歩を踏み出してみました。 どうです? 見てて、面白い?
これは今日のガルペ。写真で見るよりもずっと、泥はねが汚いので、入院までに洗ってやりたい。