デイヴ・ペルザー著
田栗 奈美子訳
青山出版刊
★★★
米カリフォルニア州史上ワースト3の児童虐待を
5年以上、体験した作者が、自ら綴った
生還までの闘いの記録。
著者は、小学1年から、警官に救出されるまでの間
実母から、虐待されながらも生きぬきます。
他の兄弟達のその後の消息は、不明です。
かばっていた父親も、家庭が崩壊していく中で
相当辛かったと思います。
完璧に家事をこなし、料理好きで、ご主人を
大事にしていた彼女に、いったい、何が
起きたのでしょう・・・。
私には、わかりませんが。
何かが、あった様な気がしてなりません。
それは、ありがちな事かも知れません・・・。
が、彼女にとっては、耐え難いものだったのでは・・・。
家族が、まだ、幸せだった頃、著者は
『本当の家族が居て、幸せだからよ。』
と、言いながら、涙を流す母親の姿を
見ています。
消防士だった父親は、勤務の都合上
家を留守にする事が多く、その度に著者は
大変、恐い想いをします。
小学校から帰宅し、家に入る前に、
「明日も、あの太陽が見られるだろうか」
と、思った日もあったようです。
ほとんど、食事を与えられない暮らしの中で
食物を入手するために、あらゆる可能性を
考え、綿密に計画して実行する。
この大胆な行動力は、母親ゆずりなのでは・・・。
兄弟の中で、一番聡明だった著者は、
一番、母親似だったのではないでしょうか。
命の危機が迫った時でさえ、冷静に自己を
分析する能力には驚きました。
誰にでもできることではないと思います。
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