
連休半ばの夜、テレビ映画「象の背中」(原作秋元康)をカミサンと見入る。
末期ガンで余命半年と宣告されたら・・・。「あなただったらどうする?」「オレだったらこうする」などと、自分たちに置き換えて言ってはみたものの、人間そのときにならないとどう考えるか、どういう行動に出るかわかりゃしない。
この映画見ていて、なぜか涙が出てこなかった。こういう番組を見ていると、いつも泣いてしまうのに・・・。ちょっとドラマの環境設定が欲張りすぎているような気がした。
主人公はデベロッパーの部長で、自身率いる一大プロジェクトを成功させ、一方、家庭では美しい妻と大学生の息子と高校生の娘に囲まれながら、不倫の女がいる。
そういう中で、延命治療を拒否して残りの人生を壮絶に生きる。数十年ぶりに会いに行った初恋の女性や、同級生、疎遠になっていた兄貴などに、末期ガンで余命半年だと告白、遺言していく。ドラマや小説とは、フィクションであり、設定、筋書きにいろいろあっていいのだけれど、今日はちょっと覚めた目で見てしまっていた。なぜだかわからない。不倫相手が美人でカッコ良すぎるのも出来すぎの感じ。
ガンに纏わる著作、映画、ドラマは多い。ノンフィクションも随分読んだ。自宅の
本棚にもたくさん並んでいる。殆どが昭和50年前後の発行で、昭和47年に妻をガンで亡くしたころの私の心情を物語っている。
闘病中は、日本橋の丸善書店の隣に勤めていたこともあって、ガンに関する本を随分探した。今でも強烈に残っているのは、「丸山ワクチン」の発見である。私の妻は余命1ケ月と言われた。病名は「原発性肝臓ガン」。下の息子が生まれて10日ほどのことである。当時、必死の思いで紹介状もなく日本医大の丸山先生を訪ね、川崎の付属病院に入院して丸山ワクチンによる延命治療を続けた。
4ケ月後妻は亡くなったが、丸山ワクチンのおかげで、1ケ月の命が4ケ月まで延びた。当時、ガンに効く効かないと騒がれていたが、今でも延命効果はあったと信じている。
我が家の書棚には、「ガン回廊の朝」「ガン回廊の炎」「死の医学への序章」「最新医学の現場」など、柳田邦男の本が多い。そのほか、アメリカ精神医学者の書いた「妻ガンに死す」、加藤隆「ガンを追って」、水野肇「ガンの征服される日」、川越厚「家で死にたい」などなど・・・。しかし、こういう本を読み返さなくてもいい余生を送りたいと思う。
いま、余命半年と言われたら?
少しでも長く、家族と言葉を交わしたいと思います。決してあきらめずに・・・。
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