私、水廼舎學人です

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大御心 (民のかまど)

2011年03月27日 | 日本学

【産経抄】

 

3月27日

 

 『日本書紀』に「民のかまど」の話がある。第16代仁徳天皇が難波の高津宮から外を見ると、かまどを炊く煙が見えない。「民は食事を作ることもできないのか」と嘆いた天皇は3年間課役を免除するとともに、自らもぜいたくを絶ち、宮殿は荒れるにまかせた。

 3年後再び高殿に立つと、こんどは多くの煙が見え、天皇は「これで私も豊かになった」と満足する。「宮殿は荒れ放題ですのに」と不満げな皇后に「民が豊かになるのが私が豊かになることだ」と答えた。この「民のかまど」の精神は歴代の天皇に脈々と受け継がれてきたようだ。

 昭和天皇は戦後間もなく全国を巡幸された。着ていかれる洋服がみすぼらしいと、周囲は新調を勧めたが「みな着るものにも不自由しているのだから」と、断られた。学校の板の間にゴザを敷き、黒いカーテンをかけお休みになったこともある。

 今の天皇、皇后両陛下が、大震災の後に「自主停電」されているという話にも鼻のあたりがツーンときた。15日から「第1グループ」の計画停電の時間に合わせ皇居・御所の電気を切っておられる。実際に停電にならない日も、予定通り続けておられるそうだ。

 天皇陛下は77歳のご高齢である。以前には前立腺がんの手術も受けられた。それなのに「寒いのは(服を)着れば大丈夫」と、その間は暖房も使われない。ろうそくや懐中電灯を使いながら、暗い中で夕食をとられたこともあるという。

 それほどまで国民に思いをはせておられる。そのことを知れば、被災地で苦難の生活を強いられたり原発の修復にあたったりしている人々にこれ以上にない励ましとなるだろう。身勝手な買いだめなど決してできないはずだ。



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