私、水廼舎學人です

久保憲一のプライベートな世界。なんでもありです。

同人誌が届けられました

2009年12月18日 | 

 

飯田博氏より津高等学校昭和32年卒業生の方達の同人誌「えん」(会員数200名)が送られてきた。

飯田氏は今年は二度も水屋神社へ訪れられているという。今回の「えん」第43号 秋号には櫛田川の水をテーマに書かれ、「水屋神社」にもかなり紙幅を割いて下さっている。抜粋して紹介致しましょう。

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七栗村覚書(十六)   飯田博


  櫛田川の水


 水で健やか

 八月の暑い盛り、新聞のコラムに〈水で健やか〉として、次のような記事が載っていた。
「暑い夏の巳、渇いたのどを潤す1杯の冷たい水ほどおいしいものはない。まさに心身共に生き返るようなさわやかさを覚える。朝起き抜けにコップー杯の水を飲んでみよう。 その水がおいしく飲める限り、私たちは健康な生き方をしていると思ってよいだろう。」(人間総合大学教授 藤田紘一郎)

 あまり暑すぎるとアイスクリームも売れ行きがわるくなり、売れ筋は氷のカチ割りになるそうだ。ビール、清涼飲料水、冷えたお茶、ジュース、スポーツドリンク…、いろいろ夏の飲物はあるが、藤田教授のいわれるように、究極の飲物は一杯の水につきる。

 清水、湧水を汲んできて飲む。まさに甘露である。
七栗村覚書の第一回は「雲出の水扁であった。筆者の住む土地の川、雲出川流域の名水をたずねた。それから、ちようど五年後の今号では、雲出川から山並みをひとつ南に越した櫛田州流域の水を訪ねてみたい。

 櫛田川

大和と伊勢の国境にそびえる高見山(千二百四八米)水源とし、飯高町、飯南町をつらぬき、松阪で伊勢湾に注ぐ全長八十五キロメートルの一級河川。地質的には日本列島を縦断する中央構造線沿いとなる。文化的、歴史的なルートとしては、紀州の殿様の参勤交代路であった和歌由と松阪を結ぶ漁歌山街道が櫛田川に沿って走っている。清流と巨岩、奇岩がおりなす櫛田川の渓谷美は香肌峡(かはだきょう)、奥香肌峡として県立公園となっている。

                                              中略

 水屋神社

 櫛田川沿いに和歌山街道(国道一六六号線)をさかのぼり、中高一貫のモデル校、飯南高校をすぎるとまもなく飯南から飯高町に入る。
 さらにすすむとやがて道の駅「飯高駅」にくる。温泉「いいたかの湯」もある。ここから車では五分ぐらいで、水屋(みずや)神社につく。道路に面している。そのあいだに国道をすこしはいったところに織田信長に殺された北畠具教(とものり)の首塚がある。山を北に越えると北畠氏の根拠地であった雲出川城流の多気(たげ)、山を南に越えると宮川である。宮川には、具教が多気を織田勢に引き渡した後の隠棲地、そしてついに暗殺されたところ、三瀬谷(みせだに)の地がある。その間にある櫛田川流域にも戦国の争乱は押寄せたようである。

 水屋神社はその名のとおり水の神様で、主神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)であるが、祭神の中に水の神である龍神姫命がある。古記録に貞観元年(八五九)にこの地の「閼伽桶の井」の水を奈良の春日神社に納めた、とあるという。
閼伽桶(あかおけ)は、いまは神社のある地名、赤桶となっている。この春日大社への水送りの神事は、復活され、毎年六月十一日におこなわれる。
また夏祭りの宵宮祭りはお水祭りとなっている。水に縁があるというので、水商売には霊験あらたかな神様でもある。

 春日大社との関係がおもしろい。
春日の神が常陸の鹿島から大和へ向われる途中に一時この地に鎮座されていたとき、天照大神が巡幸されてきて、両神で協議して川中の巨石伊勢と大和の国境としたとの伝えがある。この地が興福寺領であり、隣接する土地が神宮内宮領であったこともそれを物語っているという。

 もともと春日大社の系統であったことは、明治中期までは社殿は春日造であったことで明らかである。その後に天照大神も祭られ建物も神明造に変えられてしまった。そもそもは春日大社を奉じ、伊勢の地にあって大和の国の勢力の東端として頑張っていた神社ということだ。

 さて、水であるが、神社から西方七百メートルにある「閼伽桶の水」は年に三回しか汲めない神水であり、一般は、境内にある水道蛇口から水をもらう。これは山から引いた水であるが、「波動の水」と呼ばれている。境内の蛇口のある場所が、地中からの波動エネルギーを受けてもっとも水が美味しくなるそうだ。遠方からも汲みに来ている。

 また、本殿の裏には樹齢千年以上との楠の大木「水屋の大楠」があり、神木としてあがめられている。社叢には、楠のほかにも杉の巨木、栴檀の大木、水屋の大サカキ、ケヤキなどあり、ムササビも住まっている。夏でもこの神社の森に入るとひんやりとする。境内の木陰で波動水を飲んでひと休みする。至福のときである。

                      後略

 

 



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