日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

私(A+B+C+D+E+F……)=芦屋歌会での歌

2005年10月18日 | 五行歌な日々
さて、芦屋歌会での私の歌です。


     海の上に
     高層ビルを建てれる程の
     技術を得たとしても
     禁じ手にできる
     人類でありますように


この歌には、前フリがある。
98年の7月に行った、
滋賀での歌会(きんきサロンだったか滋賀の歌会の立ち上げか忘れた)での、
即詠の歌だ。

微妙に違うだろうけど、確かこんな歌。


     あっちこっちに
     高層ビルを
     建てるようになっても
     湖(うみ)の上には
     手が出せないな


最初の三行は、特に違うかもしれない。
後の二行は怪しいところもあるけれど、かなり近い。

ある日、海のよこっちょを歩きながら、
思い出したのだ。

海の上には、何にも建っていない。

     ★

「だがこれからも、手を出さないとは限らないないんじゃないか」
と、(私A)が疑った。

もし、海の上に、高層ビルが建つとしたら、
その必要性はなんだろう、とさらに疑う。

「人口の増加とか、そういうのかな。」と(私B)が答える。

生存するために、今は奇想天外なことでも、
いつかは、やってのけそう……。
あぁ、そんなところまで、追い詰められなければいいなぁ、
とか、いろんな(私)が口々に言う。

すると、
「追い詰められたって、そんなの無理だよ」

と、鼻で笑う(私C)、出現。

「じゃあ、アンタは科学の進歩は、止まるって思うの?」

と、突き詰める(私D)。さらに、

「今だって、科学の恩恵に預かっている人が、
もう進歩しないでいいよ、って言える?

もしかしたら、今、私が受けている科学的な恩恵は、
私が生まれる前の人達が、
『これ以上発達しなくていいよ。空が汚くなる』っていう願いを
踏みにじった上に出来たものかもしれないよ。

今自分が歩きながら見る
なにもない海の景色に感動したからって、
科学を研究している人達に
『やめて』って声は聞こえると思う?

海の上にビルがあることが、
フツーに慣れていく未来の人達は、
知らず知らずに、今私が感動しているこの景色を
悪気もなく、踏みにじっていくし、
それは責められないだろうよ」

「……(うるうる)」口ごもる(私C)。

「技術が発達することと、
海の上に高層ビルを建てることが、
結びつかなかったらいいね」
と、(私E)がしんみりつぶやく。

「技術は発達していく。でも、
海の上に高層ビルを建てない。

作ってみたい、試したいという衝動に駆られても、
切羽詰らない限り、
無駄なことだとか、
大切なものを壊すことになるとか、
そういう、ブレーキがかかるの」
(私E)、思考が深まっていく。

「あ、それ、簡単な一言でいえるよ、
そんな、言葉があったよ、
なんだったかなぁ。なんだったかなぁ」
と(私F)が考え始め、
他の私の側面たちも考える。

しばらくして。

「あ!わかった!」と誰かが叫んだ。

「『タブー』だ!!!」とみんなが叫んだ。

そして、合唱が始まる。今までのニュアンスを詠っている。

家に帰って、すぐにメモ書きし、
推敲し、
数日後、提出できたのでした。

     ★

歌が出来るまでを、
まさか、戯曲調で書くとは……。
自分の自動筆記が恐ろしい(笑)

こんな数分のことに
長々と
時間とスペースを
費やしてしまった(笑)

で、歌会の反応も、
いろいろ考えさせられました。

ということで、それはまた明日。

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