日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

夫の真の目的は③

2007年10月25日 | 五行歌な日々
お風呂から上がった頃には、
もう日付変更線を越えていた。

そういう夜遅くにお風呂に入ると、
なかなか寝付けないタイプの私。

思考がどんどん続いてしまった。

布団の中で考える。

「ひょっとすると、
私のための優しさからではなく、
自分の寂しさからでもなく、
もっと別な動機があるんじゃないか。
彼が空港まで送ってくれるというのは」

心は初心に戻っていく。

「空港……彼は空港へ行きたいんじゃないのか?」

彼は空港へなんて、普段行かないし、
出張だとかでも利用しない。
非日常な場所なのだ(私もだけど)。

「好奇心……か?」

今までの中で、一番しっくり来る答えのような気がした。

だとしたら、モノレールの駅ではダメだ。
例え、朝、少しでもゆっくり出来るとしても。

空港へ行きたいんだ!!夫は!!

わーいわーい、わかったぞ!!
なんて賢いんだ、私は!!
天才だわ!!天才だわ!!

と、真夜中にハイテンションになって、
アドレナリンが、眠気を遠ざける。

今すぐ夫を起こして、聞きたいところだったが、
さすがにそれは押さえて(そりゃそーだ)、
自分の布団の中で、
ゴロゴロゴロゴロ転がった。

なんだか、ヤクザの手を煩わさず、
自ら簀巻きになって、海に飛び込みそうになるくらい、
布団を巻きつけながら、転がって。

♪なんだ、Yさんは、空港に行ってみたいのね~
いいじゃないか、好奇心!大切だよ、好奇心!♪

と、
テキトーな節をつけて、歌いだしたりした。

そんな私を乗せているとも知らず、
地球は(日本は)太陽の裏側を通過中。

     ★

夫の起床は、朝5:30。

目覚ましが通用しない夫は、
私が「あと10分だよ」「あと5分だよ」と、
パンダ状態のからだをゆすって起こす。

冷静になるほど、起こせるか不安になってきた。

この調子だと、
眠くなるのは夜明けなんじゃないだろうか。
ってことは、
果たして夫を、
目覚まし代わりに起こせるんだろうか。

不安になれば、不安な気持ちに、
アドレナリンは反応す。

「寝なければ寝なければ……」という感情に支配され、
ますます寝れなくなってきた。

まだ、夫を見送った後、
二度寝が出来るならいいのだけれど、
この日は、美容院に朝一番に予約を入れて、
カラーリングをしたり、
実家に行って、
化粧品のセールスマンである母に、
ホームエステをしてもらう予定なのだ。

変な時間帯に、眠くなるのは、ヤバイ。が、しかし……。

仕方ないと開き直ったのは、午前3:00前。

「こういう時は、読書だわ!!
読書が眠気を呼ぶに決まってる!!」

と、『五行歌』10月号の作品を読み始めた。

思えば、
全国歌会前に少しでも読んでおこうと思ってたのに、
巻頭佳作ぐらいしか、ちゃんと読めていなかったのだ。

が、これもある意味、逆効果で、
「あ、……12月号の締切!!」と、気がついて、
真夜中の自分ならではのコンディションで、
『ここらへんの歌は、
(完成度とは別に)闇に葬るつもりでいたのにな』という歌を
セレクトし、
順番だとかを考えるのに、熱中し始めた。

すると、真夜中に必ず一回はトイレに行く夫が、
「なんで起きてるの?」と、
灯りのついているPCの部屋を覗き込んできて、
ボーっとした口調で聞いてきた。

「いや~なんか興奮して、眠れなくってさぁ」
と、五行歌に集中している頭で答えた。

夫はまた寝床に戻っていく。
私は、順番を決め、メールで歌を送付する。

……はっ!!

「あ!!聞けばよかったんだ!
そもそも、夫の『空港疑惑』(?)から、
眠れなくなっていたんだし!!!」

後悔遅し。眠気も遅し。

やることがなくなった気がして、
眠れないけど、寝床に戻る。

「朝起きたら、夫に聞こう。朝起きたら、夫に聞こう。
だから、朝起きるんだぞ、私!だから、朝起きるんだぞ、私!!」

と、今度は呪文を唱えながら。

     ★

目覚ましがなった時、
『もう鳴ったの!?』と、実に嫌な気持ちになった。

布団に入ってしばらくすると、咳き込み始めていた。
すごくヤバイ気持ちになった。

全国歌会は、明後日なのだ。
体調をここで崩すか!?とぞっとしたのだ。

ゾンビのように這って、夫の寝ているところへ。

「あと10分で、お~き~ろ~」と
「うらめしや~」に近い口調で言った。

「うん……」と言って、夫の意識は、
目覚めの岸辺までたどり着きつつ、
まだ目を開けない。

五分ごとにそれをして、
「もう、起きろ~!!!!ゴホゴホ」と言いながら、
最終的には布団をはがして、電気をつける。

「いいよなぁ、あんたは。
嵐が来ようと、何を考えていようとも、
絶対寝れるもんなぁ~」と、八つ当たりをする。

「……徹夜したんか?」ムニャムニャの声で夫が聞く。

「なぁ、聞きたいねんけどな、
私を空港まで送ってくれるのは、
空港に行ってみたいから?そういう好奇心?
だから、モノレールの駅ではダメなの?」

朝一番に聞くかよ(笑)

「ちゃうわ!俺をナメとんな。
そんなに空港なんか、めずらしくないわ!!」

そうなのかぁ~?ちゃうんかいな。

じゃあ、と、もうひとつ手前の結論を。

「んじゃ、ちょっとでも私と一緒にいようとしてるの?
旅行に行かれて、寂しいから?」
「全然違う」

んじゃ、さらにもうひとつ手前の結論。

「これはありえないと思うけど、私に優しくしようという気持ちから?」
……言って赤くなる自分が情けない。
「んなわけあれへん!!」
……力いっぱい否定しやがって、コノヤロー。

そんな会話を朝一番にして、
夫はいつもより、呂律が整うのがはやい。

で、理由を聞いた。

その理由は、6割分のところは、
彼の内面を思うと、ちょっとここでは書けない。

私個人は「そんな理由?」と思わないわけではないが、
一番の大枠部分で言うと「男の沽券」に関わることだと、
彼は感じ取って、意地になったようだった。

そして、あと4割は、
「絶対に高速は渋滞していない。準子ちゃん(ここでは仮名)の親も、
準子ちゃん自身も、俺の言ってること信じてないようやけど、
なにも俺は、阪神高速道路なんか使えへん。
高速道路は、近畿道もあるんじゃ!!絶対に早く着くったら着く!!」

近畿道でも、伊丹空港へいけるんだ……という、
知識がないので、ピンときていないっちゃあ、きてないが(笑)
まぁ、要するに、
すべての道はローマに続いているらしく(続いてへん!続いてへん!)。

ここまで言われたら、
付き合うしかないだろう。

証明してもらうしかないだろう。

腹をくくった。

あんたに熊本行きのチケットを賭けよう。

もしも私を、
伊丹空港や、熊本空港で見かけたら、
夫の賭けは勝ったのだと、思ってやってください(笑)
(って、いうか、勝ってもらわないと、シャレになってねー)。

そして、彼自身のためにも、
喫茶店に入る時間はなく、
コーラを飲ませなくて済むように、
私の賭けの勝ちを祈っててください(笑)

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