日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

夫の真の目的は②

2007年10月24日 | 五行歌な日々
実家の両親から連絡があり、
一緒に市役所へ行く。

全国歌会旅行中の28(日)に、
市長のリコール選挙があるので、
不在者投票へ行こうってことで。

実は両親も、私と同じ日、
九州へ旅立つ。
私のいとこにあたる人の
結婚式に出席するため、福岡に。新幹線で。

私はまぁ、遠縁より、
ある意味近しい
五行歌の皆様に会うほうを選んだってことなのだが(笑)

その市役所へ行く車の中で、
運転手の父に、

「この前さぁ、熊本へは8:30フライトって言ってたけど、
10:25フライトだった。大分違うよね。ははは」

と、他愛ない気持ちで訂正した。

「あぁ、それやったら、朝楽でよかったねぇ~」と、
原付バイクの免許しか持っていない母は、
ニコニコと横から返してきた。

が、

「そしたら、ますます混む時間帯に車を出すことになるんとちゃうか?」

と、父。はっ……。

「モノレールで行くって言うたか?モノレールの時間は調べたんか?」

几帳面なA型の父は、
とても計画を持って行動することに重きを置く。

大雑把なO型の私は、
『念の為』という考え方が乏しい。

「それが、あの、Yさんが、なんかいい人になっててさぁ~、
『空港まで送る!』って言ってくれててさぁ。なんか嬉しくなってさぁ~」

と、もごもごと答えると、

「あほちゃうか。ガソリン代はもったいないし、
渋滞を避けるなら、朝早く出んとあかんからしんどいし。
電車のほうが確実なのに。
荷物ったって、電車の中やったらそんな大変じゃないやん。
自分ちのすぐ横に阪神高速があるから、安心しているんかも知れへんけど、
おまえんとこの一番近くの高速の入り口、
渋滞でいつも閉鎖してるねんで。ラジオとか聞いてへんのか。
そうでなくても、飛行機は、早めに行っとかなあかんやろ」

と、返されて、
心はすっかりビビりまくりブー。

なんせ、私が当日、
券売機で、空港のチケットを発行する手はずになっているからだ。

責任重大女王様なのだ。

あっけなくまた揺れて、
その日の晩、夫にもう一度掛け合う。

     ★

「あのね、ほら、最初ね、私8:30フライトだと
思ってたやんか。
だからまぁ、それに間に合わせようと思ったら、
早よ出なあかんけど、渋滞には巻き込まれないと
思ったりしたんで、空港までいけるのならと思ってたんだけど、
やっぱり、その、どうかなぁ。
実際は10:25やったやんか。
どうなんだろう、そこんとこ。
やっぱり、気持ちはありがたいけど、モノレールまでが無難じゃないかな」

と、そこらへんは装いながら、夫にシタテにシタテに言った。

「大丈夫や。間に合うから」
ご飯を食べながら、TVを見ながら、
夫は、一言で言い返す。

踏ん張れ、私。責任重大女王様。

「だけどね、私が飛行機のチケットを取り仕切ってるのね。
私が遅れると、私だけじゃなく、他の人々もパニックになるのよ。
とするとね、ギャンブルなことはしたくないわけよ。
そういうの、わかるよね?
だから、モノレールまでで十分いいんだよ」

「大丈夫やって。……うーん。空港には何時に着きたいの?」

「9:45に待ち合わせやけど、
私は責任上それより早くは着いていたい。
……Yさんは、何時に出ようと思ってた?」

「それやったら、う~ん……。8:00かな。
めちゃくちゃ早く着くと思うけど」

モノレールなら、門真に8:53でいいので、
まぁ家から車で8:20ぐらいに出ても、
十分間に合うと思うのだけど……。

女の朝の身支度が出来る時間は、
あればあるほどいいということを、
きっと彼はいくら言っても理解できないだろう。

言葉を飲み込んでいたら、

「多分、9:00前には着くと思うで。
んでもって、多分、めちゃくちゃ待つ状態になると思うで」

そうなんだろうかそうなんだろうか。

「空港の喫茶は開いてるんか?
はよ着いたら、奢ってくれる?コーラがええな。コーラ」

「ええっ!?コーラ!?」話が逸れたところについ反応した。

「喫茶はどっかは開いてると思うけど、コーラって……」

夫は、仕事の現場から退いて、
精神的にきつかった神戸での管理職から楽な部署に異動して、
見る見るうちにおデブちゃんになった。

彼の最近の一番似ているモノマネは、
ほっぺたを両手で押してつくった、
朝青龍(または高砂親方)の顔マネなのだ。

『永遠の妊娠十ヶ月』体型になった夫に、
「コーラは買ってあげない!!」と、何度叱ってきたことか。

が、ギャンブラーの血もざわめいてきた。

私は渋滞するという考えを支持している。

8:00に出たとしても、ギリギリで、
喫茶店に立ち寄る余裕など、ないんじゃないだろうか。

そして、その賭けたい気持ちの前に、
ガソリン代が、どーのこーのとか、そういうのは、吹き飛ぶ。

「いいよ。コーラで。
もしも喫茶店に入る余裕があったらね。
丁度いい時間につくような気がするから」

ギリギリという言葉は、縁起でもないので避けた。

「んじゃ、一緒にオチャしてや。しかも奢りでな!」

ルン♪といった感じで、夫は晩御飯を終え、
フローリングに転がってた
クッションを抱きながら、
『らんま1/2』のパンダのお父さんみたいに、
程よい角度で背を丸め、いよいよTVに集中しだした。

私は洗い物をしてから、お風呂に入り、
「これでよかったんだろうか……」とつぶやく。

そして、
洗顔料を手で泡立てながら、
「はて?クレンジングしたっけ……?」と、
我に返ったり、
リンスをしようとしては、
「あれ?これひょっとして2度目なんでは……?」
と、混乱するほど、物思いにふけってしまった
(まぁ、よくあることなんですけどね……)。

まず、
「ひょっとして、彼は、
三泊四日のしばしのお別れを、惜しんでいるんじゃないだろうか。
ちょっとでも長く、私と一緒にいたいってことなんだろうか」

と、思いだし、
「ふふふ。なんてかわいい奴なんだ。
寂しがりやのパンダかよ。水かけたら痩せねーのかよ」とかふくらませ、
風呂場でニヤニヤしてきた。

それから、
「こーいうのを見抜くあたしって、賢いな」と、
この前の『優しくされてじわじわ感』よりも、
ガッツポーズな気分になった。
こっちのほうが、ランクが上(笑)

しかし、学習済み。

この前よりも速攻で、
「いやいや、そんな訳はない。そんな関係じゃないはずや」と、
一度勝ち誇った思いを打ち消す、
慎重な否定形の波が押し寄せた。

この否定形の波は間違いない。
自分で自分の五行歌を見たときに感じる、
未完成感と同じ。

真実を見たという思いを味わいつくした後に、
尚もまた押し寄せてくる新しい考え方の予兆。
まだ結論付けてはいけないというシグナル。

この考えに着地してはいけない。
まだ私は、別の何かを感じ取っている。

そして、その結論は、寝る前に訪れた。

というのは、25日(木)の日記で。

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