乗り込んでからしばらくすると、
すぐに滑走路まで飛行機は移動した。
機長自らのアナウンスもあった。
「えー、先ほどまで降っていた雨も上がり、
まろやかな日差しが降り注いでまいりました」
ま、まろやかな日差し?
「熊本は、晴れと聞いております。
おそらく、妖精たちが舞い踊るように、
皆様をお迎えすることでしょう」
妖精たちが舞い踊る??
どうやら、キャラが濃そうな機長のようで。
そんなところに楽しさを見出しながら、
テイクオフを待っていた。
すると、
「お急ぎのところ、申し訳ございません。
ただいま、油圧系統の故障が発見されました。
急いで整備士が修理に当たっておりますので、
もうしばらくお待ちください」
へぇ~そんなことってあるんだなぁ。
みんな、そんなに気にせずに、
雑誌を見たりしながら、時間を過ごしていた。
しかし、
「みなさま、まことに申し訳ございません。
整備士が回復に向かって全力を尽くしていましたが、
残念ながら油圧系統が元に戻りません。
したがいまして、この飛行機を、
滑走路から一旦場所を移し、
人員を増やして、回復に努めたいと思います」
というところで、
斜め後ろの女性が、「えぇ?」と大きな声をあげた。
思わず振り向いて見てしまったけど、
その人は、通りがかったCA(キャビンアテンダント)さんに声をかけて、
お手洗いへ向かっていった。
私は通路を挟んでお隣の、
ほしかわさんと、
全国歌会の歌の冊子を広げてお話をし始める。
しばらくすると、前方に座っていた、
堺泉北の山下和美さんが、キャンディを差し入れに持ってきてくれた。
その様子を見て、
ほしかわさんの逆隣の
つまり、窓際のご婦人が、
「会社の方ですか?」
と私と山下さんとの関係を、
何か不思議に思ったらしく聞いてきた。
「いや、会社ではないんですけどね……」と、
ある歌の大会があって、
それに参加すべく知り合いが沢山この飛行機には乗っている、
と説明した。
……まぁ、結局、ヒマヒマだったので、
『五行歌』や『全国歌会』の話まで、
なんとなくテレながら、してしまったのだが(笑)。
そのご婦人は、阿蘇のほうまで同窓会で向かう予定のようだった。
「12:00に空港で待ち合わせなのだけど、間に合いそうもないですね」
と、少しため息混じりに言う。
学生の頃、少し短歌に興味をもたれて、
実際書いていたのだけれど、今は全然、と仰っていた。
お家を聞くと、京都と大阪の境目辺りに住んでいるのだそうで、
東大阪はちと遠そうだった。
私は、全国歌会の歌の冊子を見ながら、
ディープに説明したけれど、
名刺を作っていない。
そのことに、初めて歯がゆさを感じた。
「ネットで調べたら、出てきます?」
おぉ!なんと積極的なお言葉!
「はい。ネットでなら、必ず」
「じゃあ、また大阪に戻ってきたら、調べてみますね(笑)」
私がそんなほのぼの交流をして、
ひとときを有意義に使っていた時も、
妖精機長の心は曇っていたようで。
★
「お待たせいたしました。
あと5分で、出発いたします」
と、あの時、妖精機長は確かに言った。
が、5分経っても、滑走路にスタンバイすらしない。
CAさんのくれたのど飴も、口の中で消えていく。
気がつけば、もうじき11:30を過ぎようとしていた。
本来なら、熊本へ到着している時間だ。
じっと座って、お尻や太ももが痛いなぁと思った時、
妖精機長は、苦渋の決断をした。
「申し訳ございません。
整備員総動員で油圧系の修理に取りかかりましたが、
回復いたしませんでした」
えぇ!?
「別の飛行機で熊本へ向かうことに致します」
はぁ??
と、言ったって、従うしかない。
飛行機から降りて、
別の飛行機の搭乗口へ向かう。
ケータイの電源を入れて、
須賀知子さんが熊本の実行委員の人に電話をしている。
京都の小倉はじめさんが、歩きながら、
この飛行機に乗り合わせた五行歌の人の名を、
メールで送っている。
後で聞くと、13人。五行歌の人達立往生。
★
別の飛行機を準備し、フライトするのも、
荷物の移動をはじめいろいろあるから、
結構時間がかかるもののようで。
こうなるともう、お昼ご飯を熊本で食べる時間はない。
新たに指定された搭乗口の近くの売店で、
おにぎりとお茶を買い込んで待つ。
15分程は待ったか。
千円の入った封筒を手渡されながら(よく準備してあるなぁと感心した)、
もう一度同じ座席番号のところへ。
同窓会ご婦人も、やっぱりお隣で。
迎えに来る予定のお友達に連絡は入れましたか?
と聞くと、
「声がなんだか、遠くて、
わかってくれたかくれてないのか(笑)
しかも、『ケータイ使ったらだめなんでしょ!』って言われて、
すぐに切られてしまって……」
移動先の搭乗口でかけたのに、と苦笑い。
妖精機長も、アナウンスによれば、
「26年間で、このような経験は初めてでございます」
と言っていた。
席に着けば、すぐさまに、フライト。
かなり揺れたりもしたけど(こわかったー!!)、
飛び立てば、あっという間に熊本に着いた。
「待っている間は、あんなに長かったのにねぇ」と、
同窓会ご婦人に言うと、
「でも、いろいろお話が出来て、よかったわ」と、
答えてくださった。
28日(日)の夜には大阪の自宅へ、
新幹線で戻ったであろう、同窓会ご婦人。
五行歌のHPを開けて、
今頃誰かの歌を読んでいるかもしれないです(笑)
すぐに滑走路まで飛行機は移動した。
機長自らのアナウンスもあった。
「えー、先ほどまで降っていた雨も上がり、
まろやかな日差しが降り注いでまいりました」
ま、まろやかな日差し?
「熊本は、晴れと聞いております。
おそらく、妖精たちが舞い踊るように、
皆様をお迎えすることでしょう」
妖精たちが舞い踊る??
どうやら、キャラが濃そうな機長のようで。
そんなところに楽しさを見出しながら、
テイクオフを待っていた。
すると、
「お急ぎのところ、申し訳ございません。
ただいま、油圧系統の故障が発見されました。
急いで整備士が修理に当たっておりますので、
もうしばらくお待ちください」
へぇ~そんなことってあるんだなぁ。
みんな、そんなに気にせずに、
雑誌を見たりしながら、時間を過ごしていた。
しかし、
「みなさま、まことに申し訳ございません。
整備士が回復に向かって全力を尽くしていましたが、
残念ながら油圧系統が元に戻りません。
したがいまして、この飛行機を、
滑走路から一旦場所を移し、
人員を増やして、回復に努めたいと思います」
というところで、
斜め後ろの女性が、「えぇ?」と大きな声をあげた。
思わず振り向いて見てしまったけど、
その人は、通りがかったCA(キャビンアテンダント)さんに声をかけて、
お手洗いへ向かっていった。
私は通路を挟んでお隣の、
ほしかわさんと、
全国歌会の歌の冊子を広げてお話をし始める。
しばらくすると、前方に座っていた、
堺泉北の山下和美さんが、キャンディを差し入れに持ってきてくれた。
その様子を見て、
ほしかわさんの逆隣の
つまり、窓際のご婦人が、
「会社の方ですか?」
と私と山下さんとの関係を、
何か不思議に思ったらしく聞いてきた。
「いや、会社ではないんですけどね……」と、
ある歌の大会があって、
それに参加すべく知り合いが沢山この飛行機には乗っている、
と説明した。
……まぁ、結局、ヒマヒマだったので、
『五行歌』や『全国歌会』の話まで、
なんとなくテレながら、してしまったのだが(笑)。
そのご婦人は、阿蘇のほうまで同窓会で向かう予定のようだった。
「12:00に空港で待ち合わせなのだけど、間に合いそうもないですね」
と、少しため息混じりに言う。
学生の頃、少し短歌に興味をもたれて、
実際書いていたのだけれど、今は全然、と仰っていた。
お家を聞くと、京都と大阪の境目辺りに住んでいるのだそうで、
東大阪はちと遠そうだった。
私は、全国歌会の歌の冊子を見ながら、
ディープに説明したけれど、
名刺を作っていない。
そのことに、初めて歯がゆさを感じた。
「ネットで調べたら、出てきます?」
おぉ!なんと積極的なお言葉!
「はい。ネットでなら、必ず」
「じゃあ、また大阪に戻ってきたら、調べてみますね(笑)」
私がそんなほのぼの交流をして、
ひとときを有意義に使っていた時も、
妖精機長の心は曇っていたようで。
★
「お待たせいたしました。
あと5分で、出発いたします」
と、あの時、妖精機長は確かに言った。
が、5分経っても、滑走路にスタンバイすらしない。
CAさんのくれたのど飴も、口の中で消えていく。
気がつけば、もうじき11:30を過ぎようとしていた。
本来なら、熊本へ到着している時間だ。
じっと座って、お尻や太ももが痛いなぁと思った時、
妖精機長は、苦渋の決断をした。
「申し訳ございません。
整備員総動員で油圧系の修理に取りかかりましたが、
回復いたしませんでした」
えぇ!?
「別の飛行機で熊本へ向かうことに致します」
はぁ??
と、言ったって、従うしかない。
飛行機から降りて、
別の飛行機の搭乗口へ向かう。
ケータイの電源を入れて、
須賀知子さんが熊本の実行委員の人に電話をしている。
京都の小倉はじめさんが、歩きながら、
この飛行機に乗り合わせた五行歌の人の名を、
メールで送っている。
後で聞くと、13人。五行歌の人達立往生。
★
別の飛行機を準備し、フライトするのも、
荷物の移動をはじめいろいろあるから、
結構時間がかかるもののようで。
こうなるともう、お昼ご飯を熊本で食べる時間はない。
新たに指定された搭乗口の近くの売店で、
おにぎりとお茶を買い込んで待つ。
15分程は待ったか。
千円の入った封筒を手渡されながら(よく準備してあるなぁと感心した)、
もう一度同じ座席番号のところへ。
同窓会ご婦人も、やっぱりお隣で。
迎えに来る予定のお友達に連絡は入れましたか?
と聞くと、
「声がなんだか、遠くて、
わかってくれたかくれてないのか(笑)
しかも、『ケータイ使ったらだめなんでしょ!』って言われて、
すぐに切られてしまって……」
移動先の搭乗口でかけたのに、と苦笑い。
妖精機長も、アナウンスによれば、
「26年間で、このような経験は初めてでございます」
と言っていた。
席に着けば、すぐさまに、フライト。
かなり揺れたりもしたけど(こわかったー!!)、
飛び立てば、あっという間に熊本に着いた。
「待っている間は、あんなに長かったのにねぇ」と、
同窓会ご婦人に言うと、
「でも、いろいろお話が出来て、よかったわ」と、
答えてくださった。
28日(日)の夜には大阪の自宅へ、
新幹線で戻ったであろう、同窓会ご婦人。
五行歌のHPを開けて、
今頃誰かの歌を読んでいるかもしれないです(笑)