答えあわせ風に、全国歌会（福井）の歌①

さてさて。全国歌会での歌のことです。

以前、ここのブログで、
全国歌会の締切後に、この二首はいい！というのがあったと、
紹介したの、覚えてます？

詳細はこちら。

その二首をご紹介。

　　　　　★

一首目は、当ブログでも、よくコメントなども下さる、
井椎しづくさんの歌でした。


　　　　　満天の
　　　　　星をたどって
　　　　　星座が浮ぶように
　　　　　私の形も
　　　　　たくさんのムダな点から


グループ歌会前にＩと楽人さんらと、裏・全国歌会をしていた時、
私以外のふたりは、「ムダ」という言葉が気にかかる、と言っていた。

私は、最初この歌をとった時、
「人からはムダだと思われる点だとしても」
という思いが込められているのかな、と思っていた。

人からはムダだと思われているものでも、
自分ではムダだと思うことが出来ない。
自分がムダだとは思っていないものを、
人にもムダだとは思えないようにしていく……。

そういう力こぶを感じたのだ。

ただ、そう思えたのは、実は、
この歌一首のみの影響ではない。

補足の歌を自分の中に持っていた。

自分の過去作品の星座を詠う歌の中に、


　　　　　数々の偶然を
　　　　　星座として結ぶ
　　　　　この胸の闇に
　　　　　神話が
　　　　　灯る　　　　　　　（『透明な花』より）


と、いうのがあって、
その時の境地を、
一方的に重ねていたことも自覚してはいたのですが。

　　　　　★

で、もちろん偶然なのだが、
グループ歌会をする時、この歌が、
十九首の中に含まれていた。

つまり、もう一度
この歌を採点しなければならなくなった。

すると、どうしても、
バイアスというものはかかるもので、
自分の歌の境地を重ねるという影響は薄れ、
裏～の影響で、
「ムダ」という言葉が、気になって仕方なくなった。

なぜ、その「点」をムダと呼ぶのだろうか。

ひょっとしたら、
他人に突っ込まれることを恐れた、
自己防衛的な心理が働いたのかな？
と思うようになった。

客観視がさらに進んで、回避的、
謙虚がさらに進んで、卑下的、
そんな見方が目に付着した。

　　　　　★

時々、こんなことしませんか？

例えば、
自分では、内心、すごく好きなんだけれど、
それをいかにも好きそうに人に言ったら、
冷ややかな目で見られるだろうから、
そんなに好きではないというスタイルでその話をするということ。

例えば、
「お前、アホちゃう？」と、
突っ込まれるとダメージが激しいので、
「ま、あたし、どうせアホやし」と、
人に言われる前に自分を悪く言うことだとか。

そういう心理なのかも？と思い出したらもう止まらない（笑）

２点を入れたことは入れたけど、
グループ歌会での発言は、ちょっと（？）スバイシーになった。

結果、作者は、しづくさんで、
寛大なお心で、言葉を受け止めてもらったみたいだけれど。でへ！

作者の弁をここに書くべきだとは思うのだけれど、
的確に書けるか自信がないのでやめておきますが、
少なくとも、回避的・卑下的という訳ではなかったです。

ただ言えるのは、しづくさんは、
実際に満天の星を見たのだそうです。

その一言を聞いて、
ようやくバイアスの霧が晴れました。

実際に見たのなら、回避的・卑下的心情にはならないだろう、
と思えたので。
その景色からその歌に至るまでの回路の中に、
その心情は混じらないだろうと思えたので。

思うということは、どうしても揺れるもの。
なんとか、自分でコントロールしたいものなのですが。

ま、それでも、
私が揺れようが、揺れるまいが、どうでもいいことなのです（笑）
出来上がった歌の前では。

お！結構長く書いてしまった！

もう一首は、明日にさせてもらいます。