日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

ブドウ畑・梅田・死後に伝わる。

2007年05月03日 | 五行歌な日々
義父の命日が明日なので、
お姑さんと夫と一緒に、
お墓参りへ行く。

帰り。

河内ワインになるであろう、
ブドウ畑の中を下っていると、

「(死んだ)お父ちゃんが言ってたことやけどな」
と、夫が口を開いた。

「大阪の『梅田』っていう地名あるやろ。
あれ、なんで『梅田』っていうか知ってる?」

ぶどうはまだまだ青かったけど、
房ははっきりたくさん、
ぶら下がっていた。

そんな景色の中での出題。

「昔、そこらへんでは、梅を栽培してたんじゃないの?」

と、自然に連想して、答えた。

「ちゃうねんで」

夫の『ひっかかりよった。いひひ』という、
心の声が聞こえた。

「昔あそこらへんは、湿地帯やってんて。
そこを埋め立てて土地にしたから『うめた』『うめだ』『梅田』
ってことになったんやって」

へぇー!!

見事にひっかかったんだけど、
それ以上に、その謂れに感動したりして。

こういう
話し言葉を書き言葉にする時の
昔の人の当て字のセンスに、
私は時々唸ってしまう。

直接的に書けば『埋田』なのに、
『梅田』と、音だけをもらってしまうところ。

何故、『埋』ではなく『梅』にしたのか?
と考えると、
なんていうんだろう……こう……、
美しさを優先する心を感じる。
豊かさを願う心を感じる。

こういう、
二重構造になる日本語の面白さを感じる。

また、
義父が生きているときに得た雑学が、
義父が死んで14年ほど過ぎた頃、
ブドウ畑がきっかけで、
ふと私に伝わるという、
不思議さも感じる。

なにかちょっとしたいいことを、
誰かに話しておく。

やっぱそれって、大切なんだなぁ。
それなりに「重み」のあることなんだなぁ。

それだけでもう『伝承』だもんなぁ。

最新の画像もっと見る