久しぶりに、かつての舎弟から連絡が来た。
その昔、某組織団体に在籍していた時分の舎弟だ。
相変わらずバカな生活をしているようだ。
人を脅し巻き上げたカネで生活し、罪の意識は当然あるようだが、ソレに耐えられる神経が理解できない。
だから、オレは足を洗った。
…で、なんの話かと思ったら、「引っ越した部屋に霊が出て困っている」という話だった。
いきなりの話で何が何だかわけが分からず改めて訊いてみると、「最近、引っ越しした。…で、そこに霊が出る」
という話だった。
「お前が殺ったやつが枕元にでも立っている、という話か? だったら、出頭すりゃ、出なくなるぞ」
「そんな冗談言ってる場合じゃないんすよ、アニキ。こんな話わかってくれるの、オレの知っている人間でアニキしかいないんで、電話をかけさせて貰ったんすが…」
過去に、「もう、電話してくるな」と拒否したことがあった。
オレはもう、組の人間じゃない。
にも関わらず、ヤバイ内容まで踏み込み、ヘルプを求めてくることがある。
だから拒否した。
今や、単なる派遣社員のオレだ。
「頼れるのオレしかいないって、確かにそうだわな」
その舎弟は、オレの「霊感」を知っている。
自慢じゃないが、これまで、テレビに出てくるどの「霊媒師」みたいな奴よりも、オレの方が凄いことを知っている。
「そいつには見えない奴」と、よく話し込んでいた。
その弟分にしてみれば、単にシャブが切れてぶっ飛んでいると当初は思っていたようだが…。
「頼みます。助けて下さい。こうして土下座しますんで」
「お前が土下座してんの、こっちから見えるわけねぇだろう。SKYPE辺りで話してるんじゃねぇんだ。いつもの調子で、顔面の工事失敗したような女にポコチンしゃぶらせながら話しているかも知れねぇじゃねーか」
「勘弁して下さいよ、アニキ。オレがこうしてアニキに頼んだことありますか? ましてや、今やアニキは堅気じゃねぇっすか。恥を偲んで、こうして頼んでるんすよ」
「しょうがねーな」
そう返し、とりあえず迎いに越させた。
毎度のごとくしこたま酒を飲んでおり、運転はできない。
四輪ならまだしも、二輪の免許しかない。
しかも、原付きだ。
「身分証明」のために取得した。
よく考えたら、そんなモンなくとも、指紋やDNAを検索すれば、身分証明は一発なのだが…。
とにかく舎弟のヤサまで行った。
こっちも酔っているため何が何だか分からないが、とにかく普通のヤサじゃないことはわかった。
「この部屋、ガキの霊が出ねーか?」
舎弟に訊いた。
恨みに満ちたガキの霊を感じた。
一瞬、驚いた顔の後舎弟が、「実は…」と来た。
「よく、ガキの笑い声が聞こえるんすわ。座敷童? 縁起がいいんすよね?」
思わずため息が出た。
どこで何をどう取り違えられているのか…。
「座敷童」…ガキがはしゃいでいれば微笑ましいという問題じゃない。
中には、「無理心中」の上に殺されたガキもいる。
だいたい、ガキがどうやって笑えるような死に方するんだ?
「座敷童」など、微笑ましいモンじゃない。
「出会った奴は出世する」など、ガキに、どうやって現世の人間を出世させる力があるのか。
単なる妄想だ。
ガキの死ほど、悲惨なモノはない。
その昔、某組織団体に在籍していた時分の舎弟だ。
相変わらずバカな生活をしているようだ。
人を脅し巻き上げたカネで生活し、罪の意識は当然あるようだが、ソレに耐えられる神経が理解できない。
だから、オレは足を洗った。
…で、なんの話かと思ったら、「引っ越した部屋に霊が出て困っている」という話だった。
いきなりの話で何が何だかわけが分からず改めて訊いてみると、「最近、引っ越しした。…で、そこに霊が出る」
という話だった。
「お前が殺ったやつが枕元にでも立っている、という話か? だったら、出頭すりゃ、出なくなるぞ」
「そんな冗談言ってる場合じゃないんすよ、アニキ。こんな話わかってくれるの、オレの知っている人間でアニキしかいないんで、電話をかけさせて貰ったんすが…」
過去に、「もう、電話してくるな」と拒否したことがあった。
オレはもう、組の人間じゃない。
にも関わらず、ヤバイ内容まで踏み込み、ヘルプを求めてくることがある。
だから拒否した。
今や、単なる派遣社員のオレだ。
「頼れるのオレしかいないって、確かにそうだわな」
その舎弟は、オレの「霊感」を知っている。
自慢じゃないが、これまで、テレビに出てくるどの「霊媒師」みたいな奴よりも、オレの方が凄いことを知っている。
「そいつには見えない奴」と、よく話し込んでいた。
その弟分にしてみれば、単にシャブが切れてぶっ飛んでいると当初は思っていたようだが…。
「頼みます。助けて下さい。こうして土下座しますんで」
「お前が土下座してんの、こっちから見えるわけねぇだろう。SKYPE辺りで話してるんじゃねぇんだ。いつもの調子で、顔面の工事失敗したような女にポコチンしゃぶらせながら話しているかも知れねぇじゃねーか」
「勘弁して下さいよ、アニキ。オレがこうしてアニキに頼んだことありますか? ましてや、今やアニキは堅気じゃねぇっすか。恥を偲んで、こうして頼んでるんすよ」
「しょうがねーな」
そう返し、とりあえず迎いに越させた。
毎度のごとくしこたま酒を飲んでおり、運転はできない。
四輪ならまだしも、二輪の免許しかない。
しかも、原付きだ。
「身分証明」のために取得した。
よく考えたら、そんなモンなくとも、指紋やDNAを検索すれば、身分証明は一発なのだが…。
とにかく舎弟のヤサまで行った。
こっちも酔っているため何が何だか分からないが、とにかく普通のヤサじゃないことはわかった。
「この部屋、ガキの霊が出ねーか?」
舎弟に訊いた。
恨みに満ちたガキの霊を感じた。
一瞬、驚いた顔の後舎弟が、「実は…」と来た。
「よく、ガキの笑い声が聞こえるんすわ。座敷童? 縁起がいいんすよね?」
思わずため息が出た。
どこで何をどう取り違えられているのか…。
「座敷童」…ガキがはしゃいでいれば微笑ましいという問題じゃない。
中には、「無理心中」の上に殺されたガキもいる。
だいたい、ガキがどうやって笑えるような死に方するんだ?
「座敷童」など、微笑ましいモンじゃない。
「出会った奴は出世する」など、ガキに、どうやって現世の人間を出世させる力があるのか。
単なる妄想だ。
ガキの死ほど、悲惨なモノはない。
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