エッセイ

雑記

例えば、こんな夜

2019-06-09 06:55:45 | 日記
先日、数年ぶりに某街の某美容室に行った。
多分、十年以上のブランクがあったように思う。
その昔、金髪にリーゼントで街を闊歩し、ブイブイ言わせていたころによく通っていた美容室だ。
(ブイブイ言わせすぎて、後に弾かれる羽目になったが…。)
当方の顔を見るなり、ひとりの女が声を挙げた。
名前を呼ぼうとしながら、でも思いだ出なかったようで、「お久しぶりです」と来た。
当時ギャグでよくやっていたように、椅子に座るなり「とりあえず下(シモ)の世話をしてもらおうか」と、年齢を重ねているだけに単なるオヤジのセクハラみたいなマネをしていると、ゲラゲラ笑いながら迎い入れてくれた。
しまいに、「暑いですよね。チャック開けないでいいんですか?」と、当時、施術中にズボンのチャックが開いていることを指摘され、「暑いから開けている」とオレが言い放った言葉を、そのまま返してきた。
当時、確か入店間もない女だった。
訊けば今では店長になっているようで、結婚もしているとのことだった。
当時よくやってもらっていたようにフェイスマッサージをしてもらっていると、「随分、ご無沙汰でしたね。塀の中に隔離されていたとかですか?」と来たから噴出した。
「…(塀の中に)落ちそうになったことはあったが」
オレが言った。
「…覚えてます?」
と返ってきた。
一度だけ、その娘がオレの部屋に来たことがあった。
映画が好きな娘で、やはり映画好きで普段六畳一間のあばら家で百インチのスクリーンで映画を観ているオレの部屋に行きたい、と来た。
来るなり、科を造ってきた。
オレのフェチに合わせ、これ見よがしに脚線を強調してきた。
「売女」のイメージを感じ、タクシーを呼び、帰宅させた。
その話を思い出しながらも、毎度の調子で「単なる酔っ払い」を演じ、やり過ごした。
「優しいよね。ホントは、あなたと結婚したかったかもしれない」
と来た。
…齢50。
自慢じゃないが、「恋愛」だのなんだの、「駆け引き」がよくわからん。
「とりあえずヤらせろ」
カネを払おうと50円を出そうとしたら、平手打ちを喰らった。
確かに、50円は安い。
…500円はどう?






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