2015年1月27日 東京新聞 29面
本音のコラム
隠された証拠 鎌田 慧
「いよいよはじまる感じです」と石川早智子さんは喜んでいる。夫の
一雄さん(76)は、「狭山事件」から52年たっても、まだ犯人の汚
名を着せられたまま。ふたりはいま裁判のやり直し(再審)を求めてい
る。
先週、東京高検はようやく、弁護団の要求に応じて、未開示証拠四十
四点の領置を明らかにした。どんな証拠が隠されているのか、明らかに
されないまま判決をだされるのは、暗黒裁判だ。
四十七年七ケ月も拘置されていた元死刑囚・袴田巌さんの再審開始が
決定されたのも、「布川事件」の桜井昌司、杉山卓男さんの無罪の証明
も、隠されていた証拠が開示された結果だった。検察側に不利な証拠が
隠されたままの裁判は、ジョーカーをはずしたトランプゲームのような
ものだ。
女子高校生殺しの「狭山事件」で、犯人は女子高生の家族に脅迫状を
送りつけ、身代金を取ろうとしたが、非識字者だった石川さんに文章で
人を脅そうなどと考えられないし、そうした能力もなかった。
いままで開示された筆跡鑑定でも別人と判定されているが、あらたに
開示された証拠リストには、事件直後のはがきもふくまれているので、
駄目押しを期待できる。
石川さんはまだ仮釈放中で、いまも「見えない手錠」をかけられてい
る。「もう一歩だ」と早智子さんは期待を強めている。
(ルポライター)
こちらは2006年5月6日から毎日更新しています。
◆ 平和とくらし 茨木市議*山下けいきの日々是好日
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隠された証拠 鎌田 慧
「いよいよはじまる感じです」と石川早智子さんは喜んでいる。夫の
一雄さん(76)は、「狭山事件」から52年たっても、まだ犯人の汚
名を着せられたまま。ふたりはいま裁判のやり直し(再審)を求めてい
る。
先週、東京高検はようやく、弁護団の要求に応じて、未開示証拠四十
四点の領置を明らかにした。どんな証拠が隠されているのか、明らかに
されないまま判決をだされるのは、暗黒裁判だ。
四十七年七ケ月も拘置されていた元死刑囚・袴田巌さんの再審開始が
決定されたのも、「布川事件」の桜井昌司、杉山卓男さんの無罪の証明
も、隠されていた証拠が開示された結果だった。検察側に不利な証拠が
隠されたままの裁判は、ジョーカーをはずしたトランプゲームのような
ものだ。
女子高校生殺しの「狭山事件」で、犯人は女子高生の家族に脅迫状を
送りつけ、身代金を取ろうとしたが、非識字者だった石川さんに文章で
人を脅そうなどと考えられないし、そうした能力もなかった。
いままで開示された筆跡鑑定でも別人と判定されているが、あらたに
開示された証拠リストには、事件直後のはがきもふくまれているので、
駄目押しを期待できる。
石川さんはまだ仮釈放中で、いまも「見えない手錠」をかけられてい
る。「もう一歩だ」と早智子さんは期待を強めている。
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