goo blog サービス終了のお知らせ 

ネタは降る星の如く

とりとめもなく、2匹の愛猫(黒・勘九郎と黒白・七之助)やレシピなど日々の暮らしのあれこれを呟くブログ

『アール・デコの建築 合理性と官能性の造形』吉田鋼市(中公新書)

2005-04-04 20:41:21 | 読書
 私事だが、アール・デコという様式を意識したのは、湯布院を旅行した時に>湯布院アール・デコガラス美術館を見学した時からではないかと思う。アール・ヌーボーも好きなんだけど、自分の身の回りに置くものはアール・デコの方、という感じ。

 というわけで、書店で下記の新書が出ていたので手に取って軽く読んでみた。

『アール・デコの建築―合理性と官能性の造形』吉田鋼市(中公新書) amazon.co.jp

 建築学的なことは全くの素人ながら、1920年代から1930年代にかけて流行した建築や工芸美術などの様式を意味することを知って、自分のアール・デコ好きのルーツがわかるような気がした。つまり、大衆化社会、20世紀の都市文化の源がアール・デコ。ポストモダンの味気なさではなく、クラシックとモダニズムの境目にある表現形式で、インターナショナルであると同時に土着の文化とも繋がっている……と、ここは受け売り。

 銀座の和光や日本橋の三越の建物や内装が好き。ニューヨークで一番好きなビルはクライスラータワー。趣味で香水を集めまくった時期があったが、瓶のデザインでお気に入りは今にして思えばアール・デコ調のものが多かった。音楽の趣味を明かせば流行に関係なくアルゼンチンタンゴがお気に入りのジャンルだったりするのだけど、これもアール・デコ全盛の1930年代にパリやニューヨークでも流行したのだった(もっとも、この本によれば、アルゼンチンタンゴ発祥の地であるブエノスアイレスでは、すでに都市化が進んでいて、アール・デコ様式の建築はブエノスアイレスには少ないらしい)。

 本の腰帯には「モダンでキッチュ」「貴族的ながら大衆的」とある。その辺りのことはわからない。アール・デコが流行った時代に生まれた親を持つ自分には、レトロなのにどこか自分とつながりがあるような様式、という感じだ。