Das Mondlicht

月の光の天使の梯子。

断片創作(Ich bin hier)

2008-09-07 | 創作
 サイドボードの上のガラスビンには、睡眠薬。
 全部取り出して数えたことはないから分からないけど、たぶん300錠くらい。
 病院で「効かない」と繰り返して、強いのを処方してもらった。

 ペンケースの中には、新しいカッターナイフ。
 工作で使うような顔して、近所の文房具屋さんで平然と買ってきた。

「ハルちゃん……」

 後を追いたくなるのはいつものことで。
 でもそのたびに誰かが寸前で私の手を止める。

 あの夜、涙腺が壊れるほど泣いたのに、まだ涙は涸れていない。

 苦しいのに笑って名前を呼んでくれた彼の声が、まだ耳に残ってる。



 ――すず、すずね、鈴音。



 もう二度と聞こえない声が、死へ向かう私の手を狂わせる。

――――――――――――――――――――――

 鈴音はハルちゃんに相当依存していたようです。

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