ねこ☆にゃらーず

猫と暮らしながら感じること、動物ボランティアの日々のつぶやき

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多頭飼育崩壊のこと(2)

2009-09-11 01:46:43 | ボランティア活動
多頭飼育崩壊のこと(1)のつづきです。
掃除中、犬に噛まれた私が、病院に行った後の現場・・・

私がいなくなった後、「犬が人を噛んでしまった!」
という事で、保健所の人たちは慌てていました。
保健所の人たちは、老婆に
「おばあさん、大変なことになったよ。わかってる?
あんたの犬が、人を噛んじゃったんだよ。謝らないといけないよ。
もし、あの人が、あんたと噛んだ犬の事を訴えたら、
犬は、犬たちは処分されるかもしれないよ。
あの人が訴えたら、あんたの犬は処分されるんだよ。」

保健所の人たちは、私が訴えたら、
老婆の犬が処分されてしまうかもしれない・・・と、
事実ですが、ショックを与える事で、
老婆が少なからず罪の意識を感じ、悪いと思い、
これを機に、犬たちに対する態度を、改善するようになることを
期待したんだと思います。

ところが、老婆から出たのは、次の言葉でした。
「なんで謝らなきゃならないの?私は悪いなんて思ってないよ。
訴える?犬が処分される?訴えればいい。
犬が処分されても、私は構わない。」

処分されても構わない。犬が処分されても構わない・・・
おばあさん、あなたにとって、犬ってなんなの?
本気じゃないよね?強がりだよね?
どうして犬を飼ってるの?


たぶん老婆は、私が訴えないと踏んでいたんだと思います。
現に、私は訴えませんでした。
そして、老婆から、謝罪の言葉はありませんでした。

私は、自分が納得してやってる事だから、
それが汚れ仕事でも(犬の糞尿にまみれようと)、
犬に噛まれても(犬は噛むもんだと思ってる)、
それはいい。それは苦じゃない。
でも、この老婆の言葉には、もうどうしていいのか、わからなくなった。
どんなに自分を殺して、どんなに訴えかけても、
老婆は何も理解しない。老婆と私たちは、延々、平行線のまま。
ずっとずっと、犬たちの里親探しをさせて欲しいと言ってきた事、
せめて子犬だけでもと訴えた事。(老婆は里親探しを許さなかった)
避妊去勢手術の事・・・。

老婆も、何十頭もの犬の世話が、自分ひとりではできない事はわかってる。
なのに、ボランティアをもてあそぶ様に、クルクルと言動を変え、
里親探しも許さず、避妊去勢手術も消極的。
どうしたいの?犬もろともに滅びたいの?
そして、何も出来ない自分。
この状況を前にして、『所有権』て言葉になにも出来ないボランティア。
行き詰まりました。私は完全に行き詰まりました。

現場には、犬が大好きなボランティアが沢山いました。
でも、みんな次々と現場を去っていきました。
「僕は犬が好きだし、ここの仕事が辛いわけじゃない。
続けるのが、犬のためだとわかってる。でも、
でも、今の活動は犬のためじゃなく、
あの老婆のためにやってるみたいだ。
あの老婆のために何かするのは嫌なんだ。」

ボランティアが抜けていく中、ある先輩ボラが私に
「みんな声をかけても手伝ってくれないのよ。
日頃、犬が好きなんて言ってるのに、この程度の気持ちなのね・・・」
と、ボソッと言った。

そうじゃない。私は、そうじゃないと思う。

私は辞めて行くボラの気持ちが、痛いほどわかりました。
犬が好きだから、好きな気持ちが強いほど、このどうにもならない、
どうする事もできない状況に、耐えられなくなってしまうんだと。
犬を救う方法は、老婆を説得し、懐柔する事。
でも、老婆の態度は、だんだんボランティアを都合のいい召使、
話し相手かのように思っていて、犬がいる限りは、この人たちは
私を構ってくれる・・・そんな気配がしました。
彼女は、孤独な人でした。
でも、だからといって、犬が犠牲になっていいわけじゃない。

犬を救いたい、犬が大好きだ。という人ほど、辛かったと思います。
理想に燃える新しいボランティアさんほど、
理想と現実の板ばさみになり、老婆を深く憎み、
そして、ボランティアってなんなんだ!と思ったと思います。

ほどなく、私も現場を去りました。
あれから6年くらい経ちますが、今も先輩ボラさんたちが、
あの老婆の元に通っています。
依然として、老婆は里親探しを認めていないようで、
時々、盗むようにして子犬を抱えて、
先輩ボラが老婆のところからやって来ます。
「あの時よりは、犬の数も減ったのよ(笑)」と笑って。

多頭飼育崩壊には、様々なケースがあります。
飼い主の対応が、協力的であるかないか。
しかし、犬や猫を自分のエゴで増やしに増やした人に、
一般的な常識を持ち合わせた人はなく、
たぶん、どこのボランティアさんも宇宙人を相手にしているような、
(言葉が通じない)そんなご苦労をされていると思います。

そして、多頭飼育崩壊は、珍しい事ではないんです。
インターネットやニュースで報道されないけど、
全国で大なり小なり、起こっています。
あなたの街の、もしかしたら近所のマンションの一室で、
起こっているかもしれません。

そして、多頭崩壊は、終わるまでにとても時間がかかります。
インターネットなどで話題になり、飼い主了承後、
急速に里親探しが進むケースがありますが、
ブリーダー崩壊や、純血種なんちゃらでないと、
雑種の場合は、他の里親探しの犬・猫同様、時間がかかります。
何年もかかると、私は思います。

多頭崩壊が起きた直後は、支援も集まるし、一時的にボランティアも来ます。
でも、長い活動のスパンの中で、いったい何人の人が
その活動を最期まで、見守っていけるでしょうか?
続けていけるでしょうか?

ボランティアの仕事は、実際はドラマのようではなく、
単調で、事務仕事もし、力仕事で、人とのやり取りに苦労する。
動物との感動ドラマなんかじゃないです。
悔しくて、泣きたくなる事の方が多い。
でも、必要なのは、そんな現場のボランティアです。
そして、一瞬の高揚で応援するだけでなく、長く、最期まで
そういうボランティアたちを、支援の人は支えてあげて欲しいのです。

巷にあふれ続ける多頭飼育崩壊、捨て犬や猫、動物虐待・・・
世間は空前のペットブームだと言うけれど・・・
疲れた。疲れてきました。・・・って、いかんいかん、ドリンク飲んで
がんばらにゃーーーーー

こんな風に、考えてるボラもいますが、
すべてのボラさんが、同じ考えではないです。
なので、決して私の意見を押し付けるものではありません。
ぜひ、ボラやって、自分なりの考えを探してください

岐阜県で、猫の多頭飼育崩壊がありました
現場のボランティアが必要です。
1時間でもお時間があれば、お手伝いしてあげて欲しいのです
岐阜県の方、お近くの方いらっしゃいましたらお願いします。
現場ボラは、なかなか集まらないんです。または、続かない。
なので1時間でも、誰かがボランティアで、猫の世話を代わってくれると、
常勤ボラが休めますし、したかったけど出来なかった他のことが出来るんです。
よろしくお願いします

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
にゃんママさん♪ (にゃーも)
2009-09-13 01:42:11
里親さんに名乗り出てくださったんですね
にゃんママさんのところも、大変なのに・・・うううぅ~~~

にゃんママさんはじめ、早く沢山の里親さんと、猫がみ~んな幸せに暮らせるといいなぁ
こんな悲しい事が、もう起こらないといいなぁ。
そのために、啓蒙がんばるぞ~~~

あ、マンガもがんばるぞ~~~
返信する
にゃんごろさん♪ (にゃーも)
2009-09-13 01:30:46
リンクはウェルカムですよ~

そして、にゃんごろさん今日もお疲れ様でした。
飼い主、所有権を完全譲渡してくれたんですね。良かった
にゃんごろさんの肩に、猫たちの未来が託されて、本当に良かった。

今も、これからも、まだまだ大変かと思います。
猫の世話だけじゃなく、やることはいっぱいあるし、早く現場ボラがひとりでも多く参加してくれますように・・・。

少しでも身体を休めて欲しいけど、いま自分が休んだら、代わってくれる人もいないし、休めないよというのが現状だと思います。
倒れたら、元も子もないから、栄養ドリンクやサプリ採って、今は気力で乗り切って
あ~役に立たなくて、本当に申し訳ない
返信する
宝塚坊主マッチョ猫さ~ん♪ (にゃーも)
2009-09-13 01:08:52
うわ~~~マッチョ猫さ~ん
こちらこそ、ご無沙汰でごめんなさい
でも、うわ~~うれしいな~~~

説教臭くなってあれなんですけど、ホントに「人」ですよね。
ボラの心と、一般の人の心。
どうやって噛み合せていけるのかなって・・・。
動物に対する心の比重が違うもの同士だから、感じ方、考え方が違うのは、もう当たり前だと思ってるんですけど、どこまで行っても平行線のときは、もうね~連日やけ酒ですよ
って、毎日飲んでるっておいっ

でも、マッチョ猫さんみたいに、分かってくれる人がいると、本当に救われます。
これ、ホントにそう思うんです。
あ~大丈夫だ。分かってくれてる人がいるぞって。
ホントに、ありがとうございます
返信する
たまこさん♪ (にゃーも)
2009-09-13 00:54:25
ごめんね、そうでした。
ボラは辛いだけじゃない。

色んな瞬間瞬間に、たくさん、うれしい事がありました。
おびえっ子が遊ぶようになって・・・、ホントにそういううれしさが、たまらないですもんね
何があってもやっぱり、猫と一緒にいられる事に幸せを感じますもんね
そうだった、だからボラ止められないんだったあはははは


きっと誰より、預りっ子のボラさんたちは、この岐阜の件を聞いて、辛いと思います。
預りっ子も、残りの子達に早く家族が出来ますように。
そして岐阜は、沢山ボラさんが集まって、なんとか現場の目どが立つようになりますように・・・。



返信する
50匹猫 (にゃんママ)
2009-09-11 19:33:50
にゃんごろさんのコメントを読んでびっくりしました。昨日里親に名乗り出た者です。名古屋まで猫さんに会いに行くので待っててくださいね。私もこのブログが大好きです。皆それぞれ違った考えを持ってボランティアをしていると思いますが1匹でも多くのネコさんを助けたい。それが基本じゃないでしょうか。にゃーもさん。また素敵な漫画を楽しみにしていますよ。お体をご自愛くださいね。
返信する
涙でました・・・ (にゃんごろ)
2009-09-11 17:05:04
勝手にこちらのプログにリンクしちゃいました・・・すみません。
でも、本当の意味で、動物たちへの思いを知っていただきたいです。私は、にゃーもさんのこのプログが大好きです。ここをみて、がんばろう!と、いつも思ってます。
今回の飼い主は、猫が好きです・・・馬鹿ですが、猫は好きです。本日、所有権放棄の話がまとまり、私にすべての猫の将来がうつりました。この子達だけじゃないです・・幸せにしたいのは・・・
でも、いまは全力で、この猫たちの未来をつくります。

ある人に言われました
「ボランティアさんは、いつも泣きながらやっているのよ。全部の子を救いたい、でも・できない・・・だから、いま目の前にいる子だけでも、幸せにしようと心に誓うの!」と
返信する
お久し振りっす(=^・・^=)ノ (宝塚坊主マッチョ猫)
2009-09-11 16:33:12
元気ですか?
って、元気じゃないですよね。
心身共に疲れ切っているボラさんの姿がヒシヒシと伝わってきます。
以前から言っていた“対動物”ではなく“対人間”、
この関係はこれから先も変わらないってこと、
ボラの方は痛い程分かっているんですよね。
そんな中での活動、ホント頭が上りません。

朝晩涼しくなってきました。
体調崩されませんように!
返信する
Unknown (たまこ)
2009-09-11 10:23:11
岐阜のネコたち、近くの協力者さんが増えますように。

ネコは助けたいが、避けられないのが人間同士の問題。
お世話よりもなによりも、これに疲れてしまいます。
それでも、顔に表情が出てきたり、おもちゃに興味を持ったり、
そういった変化が見られた時は、とても嬉しかった。
ああ、やっぱりネコなんだな~って。

どうすれば不適切飼育の飼い主が減るのか、難しすぎて
私にはわからないけれど、イヌがイヌらしく、ネコがネコらしく
暮らせる社会になりますように。

にゃーもさん、ボランティアの皆さん、
いつもありがとうございます。そして、お疲れ様です。
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