■刀はサムライの命。大声で言えませんが、歩く時には「邪魔」です。もし町人などと接触でもすれば、場合によっては「無礼打ち」しなければなりません。それなり正当な理由がなければ、本人も「切腹」。お家断絶の危険さえあります。
■用もないのにボーと外を出歩く、つまり「散歩」という習慣は、この国にありませんでした。明治・大正期でも、作家先生か詩人か哲学者か、あるいは少しおかしな連中か、と相場が決まっていました。
【定石本にない変化球「囲碁版・大リーグボール」の巻】
■元祖人間コンピューター、石田芳夫九段はむちゃなことを平然といってのけます。
「たった二百の定石を覚えるだけで三段になれる」
たった、ですか。
■定石を覚えると三つのことがよくなると言います。
1 自信を持って打てる
2 筋に明るくなる
3 作戦の幅が広くなる
■そして、こう続けます。
「ためらう理由は、なに一つない。明日といわず、今日から、定石の本を開こう」
「持っていない人は、本屋さんに走ろう」
「いい本を選ぶのも、あなたの実力のうちである」
◇
■では、定石本に載っていない裏定石を一つ。
(201番目の定石?としますか)
変な手ですが、ハメ手ではありません。
9月29日(日)の別の同好会(通称・別荘)で試したものです。
詳しくは前々回の投稿「190929別荘」の項をご覧ください。
▼テーマ図
黒17とケイマにかかり、白18と受ける
普通の進行です
▼この瞬間、星の上ツケ!
あなたならどうする?
▼以前は、ケイマに滑りでした
AI出現で、星下にツケから二段バネが大流行中です
▼白は部分的には、こう受けますよね
しかし、出来上がりの図は、いかにもキカサレで不満
黒がいいでしょう
▼白3とノビると、キカされは避けることができます
しかし、黒はスミにめり込んで、不満はありません
これの白3は、昨日のK1級が打った手です
▼互角の進行(つまり定石手順)
▼黒はシチョウがよければ、これも成立する
ちょっと複雑な手順ですが、これでも黒は勢力を得て悪くはありません
つまり、どうやっても黒が悪くなる図ができないのです
「ハメ手」ではない、という根拠はここにあります
もう少し研究の余地ありですが……
最善手の応酬で、もっといい図があったら、ご教示ください
【やはりアイルランドは世界トップであるの巻】
■アイルランドチームの清々しさを見てください。
つい先日まで、世界ランキング1位。
現在は2位ですが、優勝候補筆頭であることは間違いありません。
■囲碁高段者でも、こういうヒトはなかなかいません。
棋力だけでは、ダメです。
「真に強い」とは、こういうことをいうのでしょう。
■一夜明け、日本が勝った勝ったとばかり報じるTVに食傷気味です。
もちろん、これからも日本チームを応援しますが……。
■あ、今、ウェールズがいきなり先制しました。
世界3位と世界6位のゲームは開始3分が経過しました。
【別の同好会(別荘)で実験碁の巻】
■K級と1勝1敗(4子局)
初戦は16目勝ち、2戦目は9目負け
平和な「打ち分け」でした
■初戦の流れをご覧ください。
▼白番のわたしは、右下スミの星の黒石に上ツケ
黒が受けたところです
わたしは次に、星の石の下にハサミツケます
これがなかなか相手にとっては厄介です
さて黒は上手く対応できるかどうか
▼左下スミにも、同じ手をやってみました
▼下辺に「大海原」ができちゃいました
かたじけない
白石の弱点といえば、左辺が少し薄いぐらいです
他の石は全部生きていますので、あとは消しに回って、白が勝勢でしょう
▼黒に中央を囲わせたうえでチリチリと消して小さくし、地合いで大差になりました
■このあとは、M五段とS3級の7子局を観戦。
前者は好敵手、後者はカベ突破道場高弟で本拠地同好会1級。
当然、ココロの中では後者を応援していましたが、大差で負けです。
7子局ですから、地合い換算で80~90目のハンディがあるのですから、
序盤は圧倒的に有利でした。ところが……。
要所要所で1路ズレた着点に石が置かれ、わたしはココロの中で
「そこじゃない。隣です、隣!」と叫びましたが、もちろん届きません。
■M五段は、おしゃべり碁。
「これでいこうか」「ここは我慢か」「やってくれるな」
とヤカマシイ。ちょっと、苦手です。
わたしはいつも返事せず、無視して黙って打ちます。
きょうも級位者相手にやっているので、「口だけは高段者ですね」とイヤミをチクリ。相手はニヤニヤしているだけで、とてもつける薬がありません。
「マナーは有段者ではありませんね」とまで言うと、さすがにケンカになりそうなので、ココロの中だけにしておきました。
でもSさん、これも修業のうちですよ。
【ラグビー代表選手は何故「居住地主義」なのかの巻】
【勝っちゃいました!の巻】
■本当にいいゲームでした。
日本チーム、清々しく強いです。
▼今日の例会は「早退」。このゲームは見逃せません。
数あるチームスポーツでも珍しい「国籍不問の居住地優先主義」。
22世紀のゲームの在り方を示していると思います。
元々は帝国主義の矛盾から出来た苦肉の策ですが、いい雰囲気になりましたね。
ノーサイド文化も含め、他のゲームでもいいものはマネてほしいです。
この件は、また別の機会に。
▼例会は1勝2敗。
対局者の緊張感を削ぐ「マナー違反」が多く、楽しめませんでした。
同好会なのでストレートに「ヤカマシイ!」とも言えませんしね。
観戦者はくれぐれも心してください。
【「休眠関係を見直し」させていただきますの巻】
いつも当ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
おかげ様を持ちまして、
フォロワー数およびフォロー数が増えてまいりました。
特にフォロー数はいつの間にか「上限近く」に達しつつあります。
こうした事情もあり「休眠状態の関係」を整理させていただくことにしました。
「年賀状住所録の見直し」のようなもので他意はありません。
◇
具体的には、
①フォロワーさんのブログは全て残し、継続してのお付き合いをお願いする
②フォローを返していただいていないブログは原則的に解除させていただく
――という方向です。まもなく作業を始めます。
なお、フォロワーさんや、よく閲覧いただいている読者の方々を、
誤って解除してしまう可能性がゼロではありません。
ご無礼をお許しいただき、再度フォローボタンを押していただくよう、お願いいたします。
【狙いを秘めた一撃の巻】
▼第7図 70~80 (以下、割愛)
白70のオシの意味は何か?
アルファ碁は、この一手に最も長い「2分4秒」を投じた
中央の黒を追求するのではなく、黒陣営に侵入する手段を選択したのだ
中央の白2子は囮(おとり)だったのか
白は76まで決めて、白78
これは地に換算すると30目近い大きな手
ここでイ・セドルは相手をせず、黒79
アルファ碁は中央の嫌味を解消する本手白80
互いに手抜き、手抜きの応酬で、盤全体を俯瞰した主導権争いが続く
この時点で、検討陣の判定は「全局的に白がやや打ちやすい」
◇
■この後、アルファ碁の細かいミス(開発責任者デミス・ハサビスはバグと認めている)が出ますが、逆転には至りません。
186手まで打ち、イ・セドル投了。盤面でほぼイーブンで、コミ7目半が出せず、投了はやむを得ません。
■シリーズは5局打って1勝4敗。まさかの結果に囲碁界は騒然となりました。
しかし、これはAIによる碁界制圧の序章に過ぎませんでした。アルファ碁はバージョンアップを繰り返し、トッププロに5子置かせるほどになり、そしてグーグルは「囲碁での実験は終わった」として引退させました。同時に、進化過程の自己対局を公開し、わたしたちにプレゼントしてくれました。
プロは今、AIソフトを活用し、さまざまな新しい手を試しています。「ハンマーパンチ」でトップ棋士を次々撃破している上野愛咲美二段(17)も、熱心なAI研究でランキングを急上昇させています。
◇
■「AIの碁」あるいは「AI研究による専門家の碁」を、これからも断続的に紹介します。わたしの感想を添えて、です。同時並行的に古碁も鑑賞しましょう。棋譜を50手100手あるいは最後まで並べると、必ず何かが見えてきます。
徳川家康と本因坊算砂が開いた碁将棋の世界は、幕府の庇護を受けて地歩を確かなものとしていきます。17世紀に実力十三段といわれた本因坊道策の出現によって、近代化がさらに進みます。そして大衆化へ。幕末に最初の大きな山が訪れ、昭和に再びブームが湧き起こりました。
碁の考え方や流行は、循環しています。
「AIの新手と思っていたら、実は江戸時代の名人が打っていた」ということも少なくありません。
■古碁を鑑賞する時、定石が古くて役に立たないとか、コミがなかったから参考にならない、という声が聞かれます。確かに序盤は大きく変わりましたが、中終盤は古碁に分があるといわれます。
■いずれにしても、現代の価値観で歴史を語り尽くせるものでしょうか? わたしは疑問に思います。美しい布石、鮮やかな手筋の応酬、演舞のような手順の妙、ヨミの入った死活がらみのヨセ合い。それが感じられ、わたしたちの棋力向上にも参考になるなら、なにもいうべきことなどない、と思います。
■呉清源は晩年、古碁の価値について、こう話しました。
「古い碁を研究することは、プロなら当然のことです」
「最近の若い人は、海外の碁ばかり傾倒していて、大事な基礎となる古碁をなかなか並べないようです」
「古きも、新しきも、両方学んでこそです。なげかわしいことです」
この昭和の棋聖は「秀策全集」を片手に並べ続け、ついには持つ「手が歪んでしまった」ことでも知られています。
大三冠、趙治勲も「秀策全集」がボロボロになり「買い直した」といいます。
■新しいものも、古いものも、鑑賞と研究の対象とし、ぜひ楽しみましょう。
【狙いを秘めた一撃の巻】
▼第6図 56~69
白58のツケコシ
絶好の応手打診である
黒61はひねった受け方
相手のヨミ筋を外すのがイ・セドル流だ
石が絡み合って難解な戦いだが、白が争いの主導権を握っている
次の白70はどこか?