囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

プロの直覚/上手の心構え

2020年05月08日 | 【カベ突破道場】

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ハンディ戦は邪道か?

 

 

 

9子局から2子局まで、置かせた碁で上手(白番)はどう打つべきか の巻】

 

■藤沢秀行の私塾の様子を、動画サイトで見たことがあります。

参集するプロ棋士は20~30人ほどいて、

タイトル保持者や挑戦者クラスの一流どころも

多く、早々たる顔ぶれが揃います。

晩年の秀行先生は体力が落ちていますが、

参加者の棋譜に鋭い突っ込みを入れます。

わたしが印象的だったのは、

「中盤までは石が高い所に向かうべきである」

「盤全体をみて大きな構想でバランスよく打つ」

これをベランメエ口調で指摘された若手一流棋士が

神妙な面持ちで聴き入ります。

 

■置碁研究は市販本に少ないのですが、

わたしは古書がいくつか手元にあります。

秀行先生が「置かせた碁の上手の心構え」を説いたくだりがあり、

読んでからコツがつかめ、勝率が一気に上がりました。

これは黒番(下手)にも白番(上手)にも参考になります。

要旨を引用します。

 

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【9子局】

最初から黒の大模様の中の戦い

攻められれば、たちまち碁形が決まるので

できるだけ軽い形でサバく

攻められるぐらいなら捨てる

 

【8子局】

天元の石が消えるので

9子局と同じ気分で打ち進め

中央戦に持ち込みチャンスを狙う

立体的な作戦を展開する

 

【7子局】

一度にの置き石が減る

天元の石が働かないようにすれば

地合いでもある程度は戦える

 

【6子局】

置き石のあるでは戦わぬ

天元の石が消えたので

有利な辺で戦え

主導権を握ることも可能

 

【5子局】

の置き石が消えた

天元の石を働かせず

持久戦で細碁に持ち込む

 

【4子局】

の置き石は

地に甘い弱点を衝いて細碁に持ち込むか

に模様を築いて攻めを狙うか

作戦の自由度が生じている

 

【3子局】

に互先の定石が現れる

その定石と他のとの釣り合い

バランスを考えて布石し

下手の隙が生じるのを待つ

 

【2子局】

互先とそう変わらない

無理は禁物

部分的なヨミは互角とみて

大局観で勝負するような碁に

持ち込めば成功する

 

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世襲制最後の名人本因坊は

置かせ碁でも名人技を存分に発揮し

下手ごなしの名人と呼ばれた

「互先」でも「置かせ碁」でも力を出せる者が

真の王者なのである

 

▲藤沢秀行が子供の頃、雑誌の企画で秀哉名人に打ってもらった指導碁

名人は、あくまで本手を打ち、それで負けたなら黒の上達を認めよう

という態度・姿勢で打ち進める。

しかし途中、白は危険な手を連発し、ギリギリの攻防が続く。

最後は、黒が受け切り、148手で名人が投了した。

 

「本手本手と、動じない白の打ち回しは見習うべきでしょう」

と後年、藤沢秀行が語っている。

 

 

         ◇

 

 

理屈を熱く語っていても仕方がありません。

もう少しプロの指南(置碁の出題)を続けます。

 

 

 

 

 

 

 

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