【人間の上等・下等についての巻】
■三十年来の仲良し、アラカンの京女が
定年を待たずに退職する、という。
難関国立大卒の才媛だが、大人しく控えめで目立たない。
手堅い仕事ぶりでならしたが、そう出世したわけでもない。
ここ数年は、年下の上司・後輩らの害毒に消耗していた。
■昼飯のささやかな送別会を、二人だけで開いた。
「プロ棋士の通う昭和の定食屋さんがいい」
と言うので、少し足を延ばした。
この店、今年初めてだが、いつも通り混み合っている。
空いている席に腰掛けようとした瞬間、
ガシャーンと大きな音がした。
黒い液体が周囲に飛び散った。
アラフォーの女性店員が誤って
醤油の瓶を床に落としてしまい
派手に割れた。
■昨日朝は寒かったので、フランネルの
厚手のコートを、クローゼットの奥から出した。
醤油のしずくが、あちこちに“着弾”していた。
店員は平謝りだったが、コートはチャコールグレー。
わたしは「大丈夫、大丈夫、大したモノじゃないし」。
カッコつけた。
厨房の中から80代と思しき小柄の店主が飛び出してきて、
「エライ、スンマセン、エライ、スンマセン」
腰を曲げ、深々と頭を下げた。
「ホント、大丈夫ですから」とわたし。恐縮した。
■ふと、思った。
これが責任者の取るべき態度であるな、と。
そして、分裂野党を小バカにし、腕組みで薄笑いしている
「憂鬱なる多数党」の幹部連中を思い浮かべ、憐れに思った。
自らの疑惑、手下どもの不祥事や逮捕があっても、口先ばかりの謝罪。
頭を下げず、責任など絶対に取るものかと決め込んでいる輩。
偉そうにしたいだけで
あいつら本物のカスだな
大豆の搾りカス
腐れカスでも飼料ぐらいになるか
向かいの席の彼女に、それらしきことをささやいた。
キョトンとした後、破顔一笑。
というより、久しぶりに噴き出している。
彼女お気に入りのニラモヤ(ニラもやし炒め)を
小皿に取り分けて味噌汁の脇に置いた。
寒風の帰り道。少しはポカポカしただろうか。
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人生いろいろ
お楽しみはこれからだ
六段になるまでが
愉しみでありましょう
と、お伝えくださいませ
いいね
ありがとうございます
因みに、我旦那さん
アマ四段なり
ホンマか~ハハハハハハ