不動産投資のセミナーを受けると、講師が「IRRがホニャララパーセントですから…」などということがあります。
不動産のIRRとは、不動産投資を行うことにより期待される儲かり具合をパーセントで表した指標であり、「投資用物件Aを購入しつつ開始した不動産投資のIRRは5%」、「投資用物件Bを購入しつつ開始した不動産投資のIRRは3%」などと表します。
不動産投資のIRRをわかりやすく簡単にご紹介しましょう。
不動産のIRRとは、利回りと同じく、不動産投資の収益性を表す指標
まずは、IRR自体の意味を簡単にご説明します。
IRRとはファイナンス用語であり、主に企業が投資を行う際に、その投資を行うことによりどの程度の収益を得られるか計算する際に用いる数値であり、パーセントで表す指標です。
よって、IRRは不動産投資に限らず、あらゆる投資の収益性、すなわち儲かり具合を計算する際に活用されます。
そして、不動産におけるIRRとは、不動産投資の収益性をパーセントで表した数値であり、どの程度儲かるかを表した指標です。
不動産投資の収益性をパーセントで表す指標といえば、一般には利回りが用いられ、「投資用物件Aの利回りは10%」「投資用物件Bの利回りは5%」などと表し、利率が高いほど儲かることを意味します。
IRRも同じであり、「投資用物件AのIRRは5%」「投資用物件BのIRRは3%」などと表し、利率が高いほど儲かることを表します。
そうであれば、IRRを用いる必要はないと考えますが、IRRは、利回りより多くのデータを用いて不動産投資の収益性を計算します。
利回りは、主に「物件価格」と「1年間の家賃収入」という2つの要素を用いて計算するのに対し、IRRは3つの要素を用いて計算します。
IRRを計算するために用いる3つの要素とは、「物件の購入するために必要となる総費用」「物件を所有する最中に得る、毎年の異なる純収益」「物件を売却することにより得る売却益」です。
試しに、以下の条件の不動産投資の利回りとIRRを計算すると、利回りは10%、IRRは3.14%となります。
- 物件価格：1億円
- 物件購入総費用：1億1,000万円
- 家賃収入：毎年平均1,000万円
- 1年目の純収益：500万円
- 2年目の純収益：800万円
- 3年目の純収益：800万円
- 4年目の純収益：800万円
- 5年目の純収益：800万円
- 6年目に物件を売却し、6年目の純収益と売却益の合計：9,200万円
- 利回り＝10%
- IRR＝3.14%
IRRは、利回りより多くの要素を用いて計算するため、利回りより具体的な収益性を予測できます。
ただし、小規模な不動産投資の収益性を計算するためにIRRを用いると、極めて低い利率が出ることがあります。
たとえば、はじめて不動産投資を行う場合、以下のような状況になることが珍しくありませんが、その利回りは先の例と同じく10%であるのに対し、IRRは-7.97%です。
- 物件価格：5,000万円
- 物件購入総費用：5,500万円
- 家賃収入：毎年平均500万円
- 1年目の純収益：50万円
- 2年目の純収益：100万円
- 3年目の純収益：100万円
- 4年目の純収益：90万円
- 5年目の純収益：90万円
- 6年目に物件を売却し、6年目の純収益と売却益の合計：3,000万円
- 利回り＝10%
- IRR＝-7.97%
私は知識不足のため、不動産投資を行う状況においてIRRがマイナスになることが絶対に悪いことであると断言できません。
しかし、あまりに利回りとかけ離れたIRRが出る場合は、不動産投資においてIRRは参考にならないのでは？と感じることがあります。
いや、ひょっとすると、不動産投資において利回りは参考にならず、IRRこそ参考になるのかもしれませんが…
不動産投資におけるIRRの詳細は、私が運営するサイト「誰でもわかる不動産売買」で公開するコンテンツ「不動産投資で役立つIRRとは？」にて詳しくご説明中です。
同コンテンツでは、Excelを用いて不動産投資のIRRを簡単に計算する方法をご紹介しています。
不動産投資のIRRにご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。
