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「警察に届ける?」
「もしお腹の子の事聞かれたら…。」
「困る。じゃあ、止める。」
……沈黙の後、康太が話します。
「この前の葬式の時に詳しい同級生に聞いたんだけど、捕まったヤツ、薬物の常用は否定してるって。運び屋みたいに利用されたって、本人は言ってるらしい。」
「?何で知ってるの?」
「その陸の友達、死ぬ2日前に陸と話したらしい。」
「えっ?」
「宮子よりも前に。」
「あっ、そ、そっか。」
………また、長い沈黙。
「コーヒーどうぞ。冷めちゃう。ケーキも。」
「あっ、じゃあ、頂きます。」
康太はテーブルの上のカップに手を伸ばしました。
宮子は写真の袋を机の引き出しにしまいました。
「宮子」
「ん?」
「今日ここに泊まって、明日、一緒に俺の家に行くから」
「あー、もうどうしよう。すっごい気が重たい。」
「俺も」
なんだか二人で気が抜けたように笑いました。
「…写真?」
晴海が聞き返しました。
「うん。お母さんが亡くなる前に言ってた。実家の自分の机の引き出しの中に、円山陸さんの写真があるって。」
美帆が、自分のバッグの中を探しながら答えます。
「あった。これ引き出しの鍵。」
「おばさんの机って、そのまま部屋にあるけど。」
と晴海。
「えっ?この部屋?じゃあ、今使ってるこの机?」
「ああ。」
(うわぁ、ちょっとドキドキ……。)
「……開けてみる?」
鍵穴に恐る恐る鍵を入れて回して見ると………。
ガチッ。
「開いた。」
引き出しを開けてみると、カメラ屋の写真袋が入ってました。
「本当にあった。」
美帆が手に取り、中から写真を出しました。
「3枚しかない。」
3枚ともホテルのロビーで写したような写真です。
「男の人二人いるけど、どっちが円山陸さんなのかな?」
「うーん。分からん。おじさんはこの写真知らないの?」
「お母さんが言うには、知ってるけど完全に忘れてるって。」
「あれ?何か一緒に入ってる。新聞記事だ。」
「1997年8月15日。お盆の帰省時に高速で事故。」
「この人!!」
「あっ、本当だ。亡くなった星河勲夫さん。」
「この写真のこの人!」
「じゃあ、こっちの男性が円山陸さんか。」
「でも……。」
「ああ……。」
「確か円山陸さんもバイクの事故で…。偶然にしては、ちょっと。何か怖いね。」
「うん。」
「この写真と記事、引き出しにしまえ。」
「分かった。」
「で、鍵を閉めて…。美帆、この鍵、俺が持つわ。」
「は?何で?」
「何かすごい危ない感じがする。よく分かんないけど。」
「えー!無くさないでよ。」
「俺の机の鍵のかかる引き出しに入れて置くよ。……まあでも、木製の机の引き出しの鍵なんて、強く引っ張れば壊れちゃうけどね。」
二人は晴海の机の引き出しに鍵をしまいました。
「眠っていた殺人事件か。」
晴海がふと呟きました。
「何それ。」
「推理小説。」
「えー!あんた推理小説読むの?意外。」
「俺は2時間ドラマも好きなミステリーファンなんだぞ。」
「あー、そーなんだー。()」
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