FO-29管制局からのお知らせ

「ふじ3号」(FO-29)の運用情報をこのブログを活用して提供していきます。

準天頂衛星システム(QZSS)とアマチュア無線

2012-12-14 10:27:11 | Weblog
平成22年9月11日に準天頂衛星(QZS=Quasi Zenith Satellite)の初号機
である「みちびき」(QZS-1)がH-IIAロケット18号機で打ち上げられ、現在
試験運用をおこなっています。
 準天頂衛星システム(QZSS=Quasi Zenith Satellites System)は、現在
使用している米国のGPS衛星システムの補完機能(測位可能時間の拡大)と
測位精度や信頼性を向上させる補強機能等を有する無線航行衛星システム
です。
 平成23年9月30日に「実用準天頂衛星システム事業の推進の基本的考え方」
が閣議決定され、その後は内閣府の主導により事業が推進されています(閣議
決定の内容やシステム整備の意義については下記のURLを参照してください)。

▽「準天頂衛星システムについて」(内閣府)


 準天頂衛星「みちびき」の測位信号等は6種類あり、それぞれの送信周波数
は、下表のとおりです。準天頂衛星とアマチュア無線の関わりですが、中心
周波数1278.75MHzのLEX(L6)と呼ばれる補強信号がアマチュア無線の周波数
とオーバーラップしていることです。この信号は42MHzの帯域幅を使用してい
て、1200MHz帯のアマチュアバンドの1260~1300MHzの全帯域と重なってしまい
ます。
 測位衛星からの送信電力は123W(EIRP)ですが広帯域に拡散していること
などから、アマチュア無線業務への実質的な干渉問題は、ほとんど発生しな
いと考えられます。
 しかし、LEX(L6)信号を使用した地上の測位システムが、アマチュア無線
の電波により影響を受けることが「みちびき」を使用した実証実験で判明して
います(下記URLの国土地理院の屋外実証実験報告書を参照)。

▽高精度測位補正等技術(精密測量向け)の実証実験(国土交通省国土地理院)


 測位システムのイミュニティー向上等の技術的な対策も進められているよう
ですが、国際的にも無線航行衛星の業務は一次業務であり、1200MHz帯のアマ
チュア業務は、二次の業務に位置づけられています。

 この周波数帯で運用する際は、優先される一次の業務に有害な影響を与え
ないことが前提となっていますので、その動向や関連の情報などに、十分に
注目していく必要があります。

<第1表>準天頂衛星「みちびき」の使用周波数
信号名   中心周波数
L1C/A    1575.42MHz
L1C     1575.42MHz
L1-SAIF   1575.42MHz
LEX(L6)  1278.75MHz
L2C     1227.60MHz
L5      1176.45MHz

JARLメールマガジン第167号(2012年12月5日号)抜粋