中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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シロヤシオが咲き始めた丹沢:塔ノ岳(今年22回目)

2011年05月26日 13時59分18秒 | 丹沢の山旅

                                    <塔ノ岳山頂直下のシロヤシオ>

       シロヤシオが咲き始めた丹沢:塔ノ岳(今年22回目)
               (単独山行)
           2011年5月25日(水)
 晴

■久々の丹沢:塔ノ岳
 5月2日に丹沢塔ノ岳に登った.しかし,あのときは,4月27日に発病した“クラクラ病”が,まだ,完全には治っていなかったために,危険を感じ,残念ながら花立山荘から引き返した.
 その後,私の“クラクラ”は,しつこく残り続けたが,医師の診断通り,時間が経つにつれて,少しずつ,少しずつ,まるで牛歩のようなスローテンポで回復した.生来,せっかちな私はイライラしながらクラクラ,クルクルの快癒を望んでいた.
 でも,歳月の経過とは偉いもので,医師の見立てよりは大分早く,3週間程度で,何とか元の状態に戻った.
 一方,5月17日から22日まで,私にとっては一大イベントである神奈川美術協会公募展が開催された.この展覧会に3枚の絵を出展した私は,知人・友人が30名ほど訪れて頂いたため,ほぼ毎日,展覧会場に通っていた.その間,もちろん山行はお預けである.
 今は風薫る5月.
 それにしては,このところ,梅雨の走りを思わせるような雨の日が連続する.その間,今日だけはぽっかりと晴の1日になるようである.そろそろ丹沢復帰を考えていた私は,今日も何時ものように4時に起床する.そして,丹沢へ出かけるか,それとも,もう少し慎重に体力の復帰状況を確認してから後日にするか迷いに迷うが,いつまで迷っていても仕方がないので,断固行くぞと決める.その途端に,絶対に行くぞと気分が高揚してくる.

■大混雑の1番バス
 5時10分に自宅を出発する.家から外へ出ると,雨上がりのぬったりとした空気が辺りを覆っている.湿っぽい空気が,新緑の青臭い香りを一杯に含んでいる.この香りを嗅いだ途端に.
 「うわあ~・・重たい梅雨時の空気だな・・」
と実感する.
 何時ものように,大船から東海道本線の電車で小田原へ,そして乗り換え時間わずか2分のところを猛ダッシュして小田原発6時24分の電車に飛び乗る.20日間のブランクがあるので,体力が弱っている.ハアハアと息が切れる.
 渋沢発大倉行1番バスに乗車する.平日にもかかわらず10人ほどの立ち席が出るほどバスは混雑している.韋駄天のTさん,Sさん,カメラマンのMさん,ローギヤー弟さん,三角髭のTさんなど沢山のご常連さんも乗車している.
 バスが大倉に到着すると,ご常連はいち早く歩き出す.
 私は例によって,全身のストレッチをやや丁寧に行う.というのも,何せ,クラクラから復帰して最初の山行だから,慎重である.
 そして,平素,ストックなど使わないが,今日は登りから2本ストックを使うことにする.

■ホトトギスの啼き声
 大倉付近の舗装道路の路面は良く乾いているが,登山道に入った途端に水気が多いのに気がつく.丹沢ベース辺りから,登山道に敷き詰められた石の表面がヌルヌルとしていて滑りやすい.私は一歩一歩慎重に歩き続ける.
 「今日は絶対に無理をしないぞ・・・」
と何度も何度も自分に言い聞かせる.
 とにかく,絶対に無理をしないで,楽に,楽に登ることだけに注意を集中させる.なぜならば,今日の山行の最大の目的は,塔ノ岳山頂まで安全に登ることに一点にあるからである.
 とはいえ,目の前に人が居ると,ついつい追い越したくなるし,追い抜かれれば腹が立つ・・昔から多少負けず嫌いな性分である私には,ここんところを達観するのが,実に大変である. 
 「絶対に脂汗はかかないぞ,ハアハア息はしないぞ・・」
と自分を窘めながら,特に登りはじめの30分ほどは注意する.
 それでも,観音茶屋付近までの間に,数珠つなぎの一見(いちげん)の登山客を何人も追い越す.
 見晴山荘を過ぎる頃から,周囲の森で啼くホトトギスの声が絶え間なく聞こえてくる.3週間ほど前に登ったときに比較すると,周囲の新緑が盛り上がるように濃くなっている.
 今日は,少々気温が高いけれども,すがすがしい新緑に囲まれながらの登山は実に心地よい.
 そよ風が吹き抜ける林の中から,可愛い声で,
 “シーチキン,シーチキン,・・”
と啼く小鳥がいる.何という名前の小鳥だろうか?

<心地よい緑陰と表尾根の山々>

■堀山の尾根
 8時15分に駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間08分経過している.元気なときに比較すると4分ほど余計に時間が掛かっているが,3週間のブランクがあることを考慮すれば,まあ,まあ,という所だろう.
 やがて堀山の尾根道に差し掛かる.新緑の木陰道である.新緑のおかげで,清々とした気分になる.
 今日の堀山の尾根からの富士山は,やや濃い霞に覆われていて茫洋としているが,6~7合目付近まで残雪に覆われている.ここで1分ほど写真タイム.
 私が写真を撮っていると,後ろから来た中年の男性が,
 「富士山の雪も大分溶けましたね・・・」
と私に話しかける.

<堀山の尾根からの富士山>

■萱場平
 11時04分,堀山の家を通過する.小草平のベンチでは数名の登山客が休憩を取っている.
 ここからが,いよいよ長い登り坂である.私は心してマイペースを維持しながら登り続ける.今のところ全く疲労感はない.この調子だと,今日は花立山荘で引き返すことにはならず,どうやら山頂まで行けそうである.
 登山道のすぐ近くの林の中で,ツツドリが盛んに啼いている.すぐ近くに居るようなので,立ち止まって声の方を見回すが,ガチャ目の私には見つけることができない.
 ゆっくり,ゆっくり登って,8時57分,萱場平を通過する.ベンチに1人登山客が居るだけで,萱場平は静まりかえっている.

<新緑の萱場平>

■花立山荘
 萱場平を通過して,階段道を登り続ける.その内に,山旅スクール6期のNさんとカメラマンのMさんの後ろ姿が見え出す.私は意識的に前の方との距離を保ちながら登り続ける.
 このとき,後ろから中年男性が,猛烈な勢いで,私を追い抜いていく.先ほど萱場平で休憩を取っていた男性である.私は男性に道を譲る.暫く登り続けると,この男性が道ばたにしゃがみこんで休憩を取っている.
 「バカだな・・お前さんは.もっとゆっくり歩けばバテないのに・・」
と心の中で言いながら,この男性を追い越す.その後,山頂まで,この男性を見かけることはなかった.
 9時10分,後7分坂に取り付く.後に疲労が残らないように細心の注意をしながら登り続ける.3分の2ほど登った所で,韋駄天組先頭の方とすれ違う.1~2分,立ち話.そして,またお一人とすれ違う.
 「・・ブログを拝見していたら,具合が悪かったんですって? もう大丈夫ですか・・」
 9時22分,ようやく花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間15分.体調が正常なときに比較すると15分ほど遅い.金冷シを通過して最初の階段を登り切っている頃のラップである.
 花立山荘から,相変わらず富士山が茫洋と見えている.ベンチには2名の先客が休憩を取っている.

■ヤマカガシさんにバッタリ
 花立山山頂に差し掛かる頃,可愛い子犬を道連れに下ってくるヤマカガシさんにバッタリ. 
 「やあ,暫く振りです・・」
 「ブログ見ていますよ・・ヤマカガシっていうあだ名,kiyomaさんからピッタリだって言われちゃいましたよ・・」
とヤマカガシさんが苦笑する.
 とはいえ,本名をブログで書くわけにもいかないので,このブログでは,このままヤマカガシさんにしておこう.ヤマカガシさんの了承を得て,可愛い犬の写真を披露することにしよう.



<ヤマカガシさんと愛犬>
※ご本人の承諾を得て,ブログに掲載する.
 それにしても,ワンくん,小さな身体で,良く大倉尾根を上れるなと感心する.

■下山してくるご常連とすれ違う
 金冷シ付近まで登ると,新緑がますます綺麗になる.私は,めったやたらに写真を撮り続ける.その内に,写真を撮っているカメラマンのMさんに追いついてしまう.暫くの間,Mさんと前後しながら登り続ける.
 9時43分,金冷シを通過する.すぐに,三角髭のTさんとすれ違う.さらに韋駄天のTさんとすれ違う.
 「FHさん,展覧会に絵を出されたそうですね.Y川さんから伺いましたよ.なかなか素晴らしい絵だったようですね・・今度,展覧会があったら,是非,教えてください・・」
 「お聞き及びでしたか・・実はたいした絵でもないので,あまり皆様にはお知らせしませんでした.次回からは,ご案内致します・・」
 私としては,いろいろな方に関心を持って頂くのが嬉しい.
 立ち話をしている内に,私の目の前を歩いていた山旅スクール6期のNさんとカメラマンのMさんの後ろ姿が見えなくなる.

<金冷シ付近にて>

■塔ノ岳山頂
 塔ノ岳山頂直下で,下山してくる山旅スクール6期のNさんとすれ違う.Nさんがビックリしたような顔をする.
 「今日は早く目が覚めたので1番バスに乗りました・・」
 どうやら,私が2番バスで来たのと勘違いされているようである.わざわざ訂正するまでもないので,また合いましょうでお別れする.
 10時02分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.逍遥時間は2時間55分.とんでもなく遅いラップだが,復帰第1回目の登山なので,無事,山頂に到着しただけで満足である.
 例によって,山頂からの風景を一回り写真を撮る.相変わらず少し茫洋としているが富士山が良く見える.

<塔ノ岳山頂からの眺望>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.先客はカメラマンのMさん,F田女史など常連だけ.山頂の気温は+16.8℃と暑い.
 小屋番はオーナーのHさん.例により300円也のお茶を所望する.
 「FHさん,何だか具合が悪かったんですか・・」
とHさんが私に質問する.
 「ええ,どうしてご存じなんですか? 目眩がして病院に飛び込んだんですが,医師から『よくあること・・』と診断され,薬も出なかったんです・・」
 「この前,T添さんが来て,FHさんのブログに,(具合が悪いって)書いてあったと言っていましたよ.T添さんは,谷川岳に行くつもりだったが,塔ノ岳へ来たと言っていましたよ・・」
 私の地味なブログをかなりの方が見てくださっていると知って嬉しい.
 Hさんが,
 「1番バスは混雑していましたか・・」
と私に聞く.平日にしては珍しく10人近くの立ち席が出たと伝える.
 「それにしては,誰も登ってきませんね・・」
と私が訝りながら独り言を言う.
 「たいていの人は,3時間半から4時間かけて登ってきますよ・・まだ,まだ,これからですよ」
とHさんが言う.
 「じゃあ・・私の2時間55分も,まだ,まだ,捨てたものではないですね・・」
 「そ
うですよ・・」
 とはいえ,私には,2時間55分は,当然,不満足.ゆっくり登って2時間20分台で登れるまで,体力を,なるべく早く回復したいものだと思っている.

<尊仏山荘>

■シロヤシオ
 とりとめもない雑談を暫くしてから,塔ノ岳の裏側に自生しているシロヤシオを見に行こうかと急に思い立つ.
 10時33分,一旦,尊仏山荘を出発して,丹沢山方面に向かう.塔ノ岳山頂から,暫く急坂を下る.この辺りの階段も綺麗に整備され,随分と歩きやすくなっている.キレットの手前まで下ってみる.
 途中,2本のシロヤシオが開花している.真っ白で清楚な花が目を和ませてくれる.そのほかのシロヤシオはまだ蕾のまま.来週辺りが丁度見頃だろうと思う.
 新緑とシロヤシオの蕾が何ともいえない美しい風景を醸し出している.この辺りの写真を何枚かデジカメに納める.来週辺り,少し足を延ばして,丹沢山まで往復したいなと思っている.
 なお,尊仏山荘の猫,ミー君が元気かどうか知りたかったが,今日の小屋番がHさんなので,聞くのは遠慮した.




■ノンビリ下山
 10時52分,再び尊仏山荘に戻る.2~3分立ち話をしてから,山荘から下山を開始する.何時の間にか,塔ノ岳山頂は登山客で賑わっている.
 今日は大倉発13時22分のバスに乗りたいと思う.時間はたっぷりあるので,下山途中で風景や草花の写真を撮ろうと思う.ほぼ同時に下山し始めたM田さんたちと前後しながら下り続ける.
 まだ,クラクラが完全には完治していないらしくて,急に止まったり,向きを変えたりすると,ちょっとクラッとすることがある.これはまずいなと思って,一層慎重になる.
 13時04分,観音茶屋を通過する.
 「まずいな,ちょっとノンビリしすぎたかな・・」
 ここから先は危険な所もないので,歩行速度を上げる.
 13時18分,登山口を通過する.後4分.私は駆け足で大倉を目指す.そして,13時21分,バスの発車時刻1分前に,バス停大倉に到着する.
 その後は小田原経由で順調に電車を乗り継いで,15時少し過ぎに,無事,帰宅する.
 復帰第1回の山行で,つつがなく塔ノ岳山頂を往復できた.こんなに嬉しいことはない.

<花立山山頂にて>


<賑わう花立山荘(下山時撮影)>

[ラップタイム]

 7:07  大倉歩き出し
 7:27  観音茶屋
 7:44  見晴茶屋
 8:15  駒止茶屋
 8:36  堀山の家
 9:22  花立山荘
 9:43  金冷シ
10:02  塔ノ岳山頂着
======================================
10:54  塔ノ岳山頂発(16.8℃)
11:12  金冷シ
11:25  花立山荘
12:04  堀山の家
12:24  駒止茶屋
12:52  見晴茶屋
13:04  観音茶屋
13:22  大倉 着

[山行記録]

■水平距離 
      7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉    発       7:07  
  花立山荘 着      10:02
 (所要時間)  2時間55分(2.92h)
 水平歩行速度  7km/2.92h=2.39km/h  
 登攀速度   1269m/2.92h=434.6m/h

■下降所要時間
  花立山荘 発       10:54
  大倉    着       13:22
 (所要時間)  2時間28分(2.47h)
 水平歩行速度    7.0km/2.47h=2.83km/h
 下降速度       1269m/2.47h=513.8m/h  
                                   (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6440b667a4aca5e67e1c591d67f81580
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c920994cf5abf7d2371b9275ef5f54c3



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2 コメント

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Unknown (ヤマカガシは愛称ぼんちゃん)
2011-05-31 08:02:12
山の魅力をたくさんの人に知ってもらい、
気の合う仲間が増えると嬉しいですね。
愛犬「チャイ」は背中に一本茶色い線が入って
おり、二女が【ゴッドマザー】となりインド
チャイテイーより命名。自分よりはるかに
礼節をわきまえており、登山道に入っての、
大小の排泄は一度もありません。
自分ひとりが山を汚しております。
写真掲載ありがとうございました。
返信する
コメントありがとうございます (FH)
2011-06-01 06:25:27
ぼんちゃん

コメント有り難うございます.
これからは,ヤマカガシをやめて“ぼんちゃん”の愛称で呼ばせて頂きます.
「チャイ」ちゃんは本当に可愛いですね.あの小さな身体で大倉尾根を登るんですから驚異です.
これからもよろしくお願いします.
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