◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
南アルプス:光岳・聖岳縦走(7)
(アルパインツアーサービス)
光小屋から茶臼小屋へ
2007年9月1日(土)~5日(水)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
←引き続き南アルプス:光岳・聖岳の記事をご覧になる場合は,
左の『CATEGORY』欄から,
「南アルプスの山旅」を選んでクリックして下さい。
※9月8日(土)の「鎌っこ倉ぶ例会」の様子,
および9月9日(日)の「東海道五十三次宿場巡り」の様子は,
この「光岳・聖岳」の連載が終わった後,掲載します。
第3日目:9月3日(日)(つづき) 快晴
<易老岳から茶臼岳へ>
■易老岳を出発
光小屋を出発した私達は,昨日通った往路をそのまま戻って,9時59分に易老岳に到着する。ここで10分ほど休憩。10時10分に易老岳を出発して,まずは茶臼岳へ向かう。いよいよ,ここからが初めて経験する新しい登山道である。
易老岳を出発すると,直ぐにやや急な下り坂になる。樹林帯の中の下り坂を,標高差で40メートルほど下る。そこから暫くの間は細かい上り下りがあるものの,ほぼ平らな尾根道が続く。シダやシラビソ類が繁茂する樹林帯の尾根道をひたすら進む。そして,10時28分,ヌタ場(2,305m)と思われる場所を通過する。小さな泥地が点在する。ここからも細かい上り下りが続く。

<ヌタ場>
私達は,尾根から少し外れたトラバース道を辿る。途中,どこの山か山座同定する時間がないが,梢の上に綺麗な山が見え始める。そして,11時00分,標高2,340メートル付近の小さな空き地で,10分ほど休憩を取る。
■喜望峰山頂で昼食
11時11分に再び歩き出す。11時16分頃,鞍部付近で小さな沼の畔を通過する。そこから,かなり長い登り坂になる。鞍部から,標高差で200メートルほど,やっとの思いで登る。そして,11時53分に,喜望峰山頂(2,490m)に到着する。辺りは樹林帯に覆われたなだらかな丘になっている。ここで昼食。私は,栄養不足かなと思いながら,飯田市内のコンビニで購入したパンとキュウリ1本で昼食を済ませてしまう。
昼食を終えて,12時19分に喜望峰を出発する。ここからは緩やかな下り坂が続く。遙か前方には,これから登る茶臼岳(2,604m)が大きく聳えているのが見える。内心,
「まだ,随分と歩かなければならないな・・・」
と億劫になってくる。

<喜望峰山頂>
■茶臼山山頂
12時31分に小さな岩稜の脇をトラバース気味に通過してから,ほんの少しの間,やや急な坂を下り,再び登り返す。そして,12時33分に,やや際だっている小ピーク(2,510m)を通過する。この小ピークから坂を下ると木道になる。やがて進行方向右手にある仁田池(2,500m)を通過する。小さな池は樹木に囲まれて静まりかえっている。

<仁田池>

<茶臼岳を目指して>
池を通過すると,やや急な坂道になる。この坂道を標高差で100メートルほど登り詰めて,13時07分に茶臼山山頂(2,604m)に到着する。山頂は森林限界を超えているためか,礫混じりの岩稜帯になっている。山頂からの眺望は素晴らしい。明日登る上河内岳や聖岳に連なる尾根が良く見えている。

<茶臼岳山頂>

<上河内岳遠望>
<茶臼小屋>
■茶臼小屋へ到着
13時16分,私達は茶臼山を出発する。ここから標高差200メートルほどの坂を下れば,今日の宿泊地である茶臼小屋に到着である。内心,「やれやれ,やっとここまで来たか」という安堵感で,多少気が抜けた状態になる。
ときどき森林の中に入るが,広くて見晴らしの良い稜線を下る。そして,13時33分に稜線の鞍部(2,520m)に到着する。

<鞍部近くの三角点> <茶臼小屋へ下る鞍部>
ここから東側,つまり静岡県側のカールに沿って,やや急な下り坂を進む。登山道の所々に木製の階段が現れる。階段を見ると,いよいよ山小屋に近付いたなと実感する。
13時44分,私達は,無事に,赤石小屋(2,420m)に到着する。今降りてきた道を振り返ると,先ほどの鞍部が随分と高いところに見えている。明日は,ここを登り返すのかと思うと,こんなに下まで降りてしまったのが残念になる。

<もうすぐ茶臼小屋>
■茶臼小屋寸景
赤石小屋は,かなり急な斜面にある狭い空間一杯に作られた2階建ての小屋である。小屋を回り込むようにして,建物の反対側に出ると,10数人ほどが座れる木製のテーブルとイスが並んでいる。ここが外の休憩所である。トイレはその先を少し下ったところにある。水場は休憩所の脇に2箇所ある。樋から冷たい水が絶え間なく流れ出ている。洗い場には1個300円也のトマトや缶ビールが冷やしてある。
私達が宛われた部屋は小屋の2階である。外階段をトントンと登って中に入ると,中央に通路がある。その両側に蚕棚のように2階建ての寝床が並ぶ。私は最年長組に属するだろう。そこで遠慮なく出入りの楽な階下の隅っこに席を取る。早速,寝袋を出して,宿泊の準備をする。
夕食まで,まだ時間がある。私は,プロフィールマップを取りだして,明日の行程を眺める。明日は上河内岳に登った後,標高差で約500メートルも下ってから,再び800メートルも登って,漸く聖岳山頂に到着。その後,聖岳から同じ道を下って,聖平小屋で宿泊する強行軍の行程である。果たして体力が持つのか心配になる。
少々退屈になる。そこで気晴らしに外へ出てみる。休憩所では,ガイドが紅茶を沸かして私達に振る舞っている。何人かの同行者が集まって,雑談に花を咲かせている。私も早速紅茶を頂戴する。そういえば,私の通う登山学校のガイドが,
「疲労回復には紅茶が一番良い飲み物です・・」
と言っていたのを思い出す。社会保険庁OBの方と某社現役の会長さんが中心になって,座が盛り上がっている。
その内に,東京毎日主催の大きな団体が茶臼小屋に到着する。途端に小屋の中が騒がしくなる。そして,いつの間にか,休憩所は東京毎日の方々に占有されてしまう。 16時30分から夕食である。今朝までは自炊。自分の食器を使って食事をしていたので,山小屋提供の食事を頂くとなると,何となく落ち着かない気分になる。

<茶臼小屋の夕食>
夕食後は手持ちぶさたである。夕景は,先ほどの峠まで登り返さないと拝むことができない。私の隣に陣取った仲間と,
「夕日も見られないし・・・もう,寝ますか・・・」
と雑談していると,それを小耳に挟んだ同行者の一人が,
「峠まで登れば見えますよ・・」
と無責任な茶々を入れる。私は少しばかり「ムッ」と来たが,黙って不愉快な塊を飲み込む。
19時頃,就寝。
例によって暑いので,固いゴザの上にそのまま寝ころんで,寝袋を身体の上に掛ける。寝袋の中で,ヘッドランプを出して点灯したまま,暫くの間,地図やらノートやらを眺めながら長い夜を過ごす。
(つづく)
南アルプス:光岳・聖岳縦走(7)
(アルパインツアーサービス)
光小屋から茶臼小屋へ
2007年9月1日(土)~5日(水)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
←引き続き南アルプス:光岳・聖岳の記事をご覧になる場合は,
左の『CATEGORY』欄から,
「南アルプスの山旅」を選んでクリックして下さい。
※9月8日(土)の「鎌っこ倉ぶ例会」の様子,
および9月9日(日)の「東海道五十三次宿場巡り」の様子は,
この「光岳・聖岳」の連載が終わった後,掲載します。
第3日目:9月3日(日)(つづき) 快晴
<易老岳から茶臼岳へ>
■易老岳を出発
光小屋を出発した私達は,昨日通った往路をそのまま戻って,9時59分に易老岳に到着する。ここで10分ほど休憩。10時10分に易老岳を出発して,まずは茶臼岳へ向かう。いよいよ,ここからが初めて経験する新しい登山道である。
易老岳を出発すると,直ぐにやや急な下り坂になる。樹林帯の中の下り坂を,標高差で40メートルほど下る。そこから暫くの間は細かい上り下りがあるものの,ほぼ平らな尾根道が続く。シダやシラビソ類が繁茂する樹林帯の尾根道をひたすら進む。そして,10時28分,ヌタ場(2,305m)と思われる場所を通過する。小さな泥地が点在する。ここからも細かい上り下りが続く。

<ヌタ場>
私達は,尾根から少し外れたトラバース道を辿る。途中,どこの山か山座同定する時間がないが,梢の上に綺麗な山が見え始める。そして,11時00分,標高2,340メートル付近の小さな空き地で,10分ほど休憩を取る。
■喜望峰山頂で昼食
11時11分に再び歩き出す。11時16分頃,鞍部付近で小さな沼の畔を通過する。そこから,かなり長い登り坂になる。鞍部から,標高差で200メートルほど,やっとの思いで登る。そして,11時53分に,喜望峰山頂(2,490m)に到着する。辺りは樹林帯に覆われたなだらかな丘になっている。ここで昼食。私は,栄養不足かなと思いながら,飯田市内のコンビニで購入したパンとキュウリ1本で昼食を済ませてしまう。
昼食を終えて,12時19分に喜望峰を出発する。ここからは緩やかな下り坂が続く。遙か前方には,これから登る茶臼岳(2,604m)が大きく聳えているのが見える。内心,
「まだ,随分と歩かなければならないな・・・」
と億劫になってくる。

<喜望峰山頂>
■茶臼山山頂
12時31分に小さな岩稜の脇をトラバース気味に通過してから,ほんの少しの間,やや急な坂を下り,再び登り返す。そして,12時33分に,やや際だっている小ピーク(2,510m)を通過する。この小ピークから坂を下ると木道になる。やがて進行方向右手にある仁田池(2,500m)を通過する。小さな池は樹木に囲まれて静まりかえっている。

<仁田池>

<茶臼岳を目指して>
池を通過すると,やや急な坂道になる。この坂道を標高差で100メートルほど登り詰めて,13時07分に茶臼山山頂(2,604m)に到着する。山頂は森林限界を超えているためか,礫混じりの岩稜帯になっている。山頂からの眺望は素晴らしい。明日登る上河内岳や聖岳に連なる尾根が良く見えている。

<茶臼岳山頂>

<上河内岳遠望>
<茶臼小屋>
■茶臼小屋へ到着
13時16分,私達は茶臼山を出発する。ここから標高差200メートルほどの坂を下れば,今日の宿泊地である茶臼小屋に到着である。内心,「やれやれ,やっとここまで来たか」という安堵感で,多少気が抜けた状態になる。
ときどき森林の中に入るが,広くて見晴らしの良い稜線を下る。そして,13時33分に稜線の鞍部(2,520m)に到着する。

<鞍部近くの三角点> <茶臼小屋へ下る鞍部>
ここから東側,つまり静岡県側のカールに沿って,やや急な下り坂を進む。登山道の所々に木製の階段が現れる。階段を見ると,いよいよ山小屋に近付いたなと実感する。
13時44分,私達は,無事に,赤石小屋(2,420m)に到着する。今降りてきた道を振り返ると,先ほどの鞍部が随分と高いところに見えている。明日は,ここを登り返すのかと思うと,こんなに下まで降りてしまったのが残念になる。

<もうすぐ茶臼小屋>
■茶臼小屋寸景
赤石小屋は,かなり急な斜面にある狭い空間一杯に作られた2階建ての小屋である。小屋を回り込むようにして,建物の反対側に出ると,10数人ほどが座れる木製のテーブルとイスが並んでいる。ここが外の休憩所である。トイレはその先を少し下ったところにある。水場は休憩所の脇に2箇所ある。樋から冷たい水が絶え間なく流れ出ている。洗い場には1個300円也のトマトや缶ビールが冷やしてある。
私達が宛われた部屋は小屋の2階である。外階段をトントンと登って中に入ると,中央に通路がある。その両側に蚕棚のように2階建ての寝床が並ぶ。私は最年長組に属するだろう。そこで遠慮なく出入りの楽な階下の隅っこに席を取る。早速,寝袋を出して,宿泊の準備をする。
夕食まで,まだ時間がある。私は,プロフィールマップを取りだして,明日の行程を眺める。明日は上河内岳に登った後,標高差で約500メートルも下ってから,再び800メートルも登って,漸く聖岳山頂に到着。その後,聖岳から同じ道を下って,聖平小屋で宿泊する強行軍の行程である。果たして体力が持つのか心配になる。
少々退屈になる。そこで気晴らしに外へ出てみる。休憩所では,ガイドが紅茶を沸かして私達に振る舞っている。何人かの同行者が集まって,雑談に花を咲かせている。私も早速紅茶を頂戴する。そういえば,私の通う登山学校のガイドが,
「疲労回復には紅茶が一番良い飲み物です・・」
と言っていたのを思い出す。社会保険庁OBの方と某社現役の会長さんが中心になって,座が盛り上がっている。
その内に,東京毎日主催の大きな団体が茶臼小屋に到着する。途端に小屋の中が騒がしくなる。そして,いつの間にか,休憩所は東京毎日の方々に占有されてしまう。 16時30分から夕食である。今朝までは自炊。自分の食器を使って食事をしていたので,山小屋提供の食事を頂くとなると,何となく落ち着かない気分になる。

<茶臼小屋の夕食>
夕食後は手持ちぶさたである。夕景は,先ほどの峠まで登り返さないと拝むことができない。私の隣に陣取った仲間と,
「夕日も見られないし・・・もう,寝ますか・・・」
と雑談していると,それを小耳に挟んだ同行者の一人が,
「峠まで登れば見えますよ・・」
と無責任な茶々を入れる。私は少しばかり「ムッ」と来たが,黙って不愉快な塊を飲み込む。
19時頃,就寝。
例によって暑いので,固いゴザの上にそのまま寝ころんで,寝袋を身体の上に掛ける。寝袋の中で,ヘッドランプを出して点灯したまま,暫くの間,地図やらノートやらを眺めながら長い夜を過ごす。
(つづく)

