どんな本でも本は本

短編&アンソロジーを中心に、私が読んだ本の感想をズバッと書いちゃう超不定期ブログです

胸の香り

2009年01月26日 | 文藝春秋&文春文庫
題名 胸の香り
著者 宮本輝
出版社 文藝春秋
価格 1200円(税別)


『月に浮かぶ』
 船の上で、自分の子を身ごもった美幸を待っている。そんな中、妻から母親の様子がおかしいと連絡が入る。自分のお腹の中に子どもがいると思い込んでいるらしいのだ。そして美幸は流産したと言い…。

『舟を焼く』
 珠恵と小さい旅館に来ている。ふたりの関係はここで終わる予定だった。滞在中、旅館を経営する若夫婦と出会う親しくなる。ふたりは小さい頃から一緒だったが、離婚することにしたと言い…

『さざなみ』
 一夜限りの関係だと思っていた真須美という女と、リスボンで再会した。彼女は亡き夫の両親の元へ、私を案内してくれて…。

『胸の香り』
 母が奇妙なことを言い出した。それはボケではなく、信念を持っていた。父がパンを買って帰ったこと、父の香りのこと、郵便局員だった女の奇異な態度と妊娠、病室で隣合わせたパン屋の嫁がその息子に嫁いでいたこと…。

『しぐれ屋の歴史』
 「しぐれ屋の歴史」の発行者がなぜか15歳の私になっていた。そもそもしぐれ屋とは何なのか…?母宛てに届いた手紙から、しだいに謎が解けてきて…。

『深海魚を釣る』
 「カバちゃんには二人の父親がいる」と、息子から聞かされる。家族ぐるみの付き合いがあった私たちだが、カバちゃんたちが引っ越してから数年後、ある事件が起きたのだ。

『道に舞う』
 幼いころ、近所に物乞いの母娘がいた。母親は盲目だった。数年後、母親が死んだらしい…では娘は?更に数年後、娘である春子を目撃したと聞き…


~感想~

私のなかで、主人公は40代~60代の男性です。
不倫をしている男性の話が続きましたが、「実際男ってこうなの?それともただの願望?」と、なぜか母と話し合いになりました…。私の父も浮気心はあるみたいだけど、行動に移す勇気は無いみたいだけど。

やはり表題作が一番ストーリーに意外性もあって面白かったですね。

気がつけば彼を見ている

2009年01月22日 | 中央公論新社
題名 気がつけば彼を見ている
著者 内田春菊
出版社 中央公論新社
価格 1500円(税別)


『ダイスを転がせ』
 あと3ヶ月で結婚するはずだったのに、春日部とホテルで寝てる!?しかも彼とは連絡がつかなくて…。

『あたしゃストアのパートのおばちゃん』
 パート先の店長がおしりを触ってくる。その行為を夫に話すが笑われて終わり。だけど、店長に誘われて子どもとラーメン屋にいたところを夫に見られていて…

『下克上希望!』
 同じライターである熊谷洋男とは二股をかけている同士だ。私は、この気持ちを小説にすることにした。

『あたしは穴を開ける』
 赤目くんがおねえさんから借りて持ってきたボディピアスの本。それを見てへそに穴を開けることにした私は、お店に赤目くんを連れて行くことにした。もしかしたらこれをきっかけに仲良くできるかも…

『産み付けられて』
 ほぼ強姦に近い形で妊娠させられた私。この男のことを好きなのかどうかもわからないのに、話はどんどん大きくなってしまい…

『重婚されて』
 男には私以外に妻がもう一人いる。家政婦扱いのわりには最高のセックスをするのだから、逃げ出すのも惜しい。しかしある日突然、妻が私を含め3人になり…

『あたしを使って』
 愛作が相手をしてくれない。疲れていたのもあったけど、ヘルプの蒔士くんと一緒に帰り、そのままホテルへ。しかしそれには理由があったのだ。

『ラブファイヤー』
 あなたを意識してしまった花火大会。あなたが陰毛焼きをしたと聞き、思わず写真を見てしまった。他の誰とも陰毛焼きをやってほしくないと思うようになり…

『恋だわなんて、言ったもん勝ち』
 彼氏がいるのに、彼女がいり百河くんのことが気になる。だって彼となら絶対良さそうなんだもん。


~感想~

男女の関係をただしく描いている本だと思います。
人の愛し方ってたくさんあるんだな…と、勉強になりました。

最後の『愛だわなんて…』の文章中に「まさか。いや。リトルマーメイド(ありえる)」というのがあって、めっちゃ笑いました(*^_^*)

使いたい…。さてわかる人はどれくらいいるんでしょうね。

女たちは二度遊ぶ

2009年01月17日 | 角川書店(角川文庫)
題名 女たちは二度遊ぶ
著者 吉田修一
出版社 角川書店
価格 1400円(税別)

『どしゃぶりの女』
 自称ユカが俺のアパートに居座るようになった。彼女がアパートで自分の帰りを待って居てくれるのが嬉しいはずなのに、いつまで待ってくれるのか試したくなった俺は、彼女を放置してしまい…

『公衆電話の女』
 あの日、俺の前に公衆電話に入りこんだ女が、中途入社の神野さんだと気付いた。彼女も俺と同じで“列運”がないと言っていた。

『自己破産の女』
 居酒屋で声を掛けてきた真理が、うちに居着くようになった。フリーターだった俺は、しょうがないからサラ金から金を借りた。いつのまにか借金が増えていたが、働いて返せばいいと思うようになる…。

『殺したい女』
 あかねが何も言わずにいなくなった。親父さんやお兄さん曰く、母親もそうだったらしい。

『夢の女』
 電車で見た美人の後を付けることにした俺と尾形。たどり着いたのは想像とはかけ離れた古いアパートだった。そんな美人に電車の中で再会。思わず声を掛けるが…

『平日公休の女』
 友達の彼女の友達として彼女と出会った。とにかく気前が良い女だった。なんとなくの関係が続いていたある日、元カノから連絡がきた。そして彼女に話を切り出した。

『泣かない女』
 智子は本当によく泣く女だった。なのに、俺との子どもを妊娠したと話した時は泣いていなかった…

『最初の妻』
 初めてデートと言われることをした彼女と、隣の市に来ている。突然、「私と結婚したらどんなところに住みたい?」と聞いてきて…

『CMの女』
 バイト先にいた田口果林が、オーナーのつてでデビューすることになった。俺は、彼女のデビューを心から祝っていた。

『十一人目の女』
 彼が裕美子の首を絞めたのは、彼が29歳の誕生日のことだった。

『ゴシップ雑誌を読む女』
 ゴシップ雑誌をよんでいる首藤さんには外国人の恋人がいるらしい。そんな首藤さんに、やりたいことがあるなら、やるべきだと諭されて…


~感想~

“女”にまつわるお話。

男の部屋に転がり込む、という行為をしたことがないので、すぐに男の部屋に居着く女の気持ちがわかりません。経験不足なだけですかね?好きならできる?いや、好きじゃなくてもできるんですよね、きっと。

一番良かったのは『最初の妻』。ふたりの初々しい感じが伝わってきました。結婚なんて遠い未来の話だからこそ、できることですよ。

蟋蟀(こおろぎ)

2009年01月12日 | 筑摩書房
題名 蟋蟀
著者 栗田有起
出版社 筑摩書房
価格 1500円(税別)


『サラブレッド』
 手を握るだけで相手の過去、未来が見える家系のわたしは、占い師をやっている。ある日、全盲の女性が占いに来たが、やはり何も見えなかった。しかし彼女が御礼に特別な声が聞こえるようにしてくれて…

『あほろーとる』
 秘書の木村京子に恋心を抱いて行く自分がいる。だから、仕事を休業したいという彼女が、あほろーとるを飼いたいと言っても、素直に許可した。しかし、プロポーズの言葉を口にした時から、彼女は仕事に来なくなってしまい…。

『鮫島夫人』
 大学で出会った鮫島君とは、形だけの結婚をした。なぜなら彼は、男の人が好きなのだ。

『猫語教室』
 夫の栄転で引っ越した先で、夫の嫌いな猫が現われた。退治に必死になる中、夫の部下の妻たちによる語学教室がおこなわれていることを知る。その中には猫語というのがあって…

『蛇口』
 「パパに恋人がいるみたいなの」と言って、1枚の写真を見せてきた。そこに写っていたのは、仲の良かった後輩のチカだった。でも、わたしは不思議と何も感じなくて…

『アリクイ』
 幼馴染みの杏子が出産のために帰省するらしく、なぜが俺の母親が興奮気味になっていた。しばらくすると、会社帰りに彼女の部屋に行くことが日課になってきた。

『さるのこしかけ』
 いつもそうだ。恋愛運が悪すぎる…。広和さんには婚約者がいた。こうなったら死ぬしかない。どうやって?雷に撃たれるのは?こうして山に入ることにした私は、見知らぬ生き物に遭遇する…

『いのしし年』
 ブスな自分は生きていてもしょうがない…。そう思って、睡眠薬を大量に飲み込んだ。でも、わたしはまだ生きている。病院のベッドで寝ていると、美人な人が現れ、わたしはあなただと言いだした。

『蟋蟀』
 あなたの子供を妊娠したと告げられた。でもおれは、ひとりの女に執着するのはイヤだった。ただひとり、タマコをのぞいては…。

『ユニコーン』
 自分の中に馬がいる。それに気付いてから、他人の中にいる何かを見るようになっていた。ある日、自分の中に、馬ではなくユニコーンが見えた。それは美しいものだった…


~感想~

メルヘンティックな話が多々ありました。

でも、そんなに非現実的というわけでもなく、ありそうだなぁ、居そうだなぁ、と思いながら読んでいました。

小説に出てくる主人公たちに比べて、自分は平凡な人生を送っているな、と思い知らされます…。

でも平凡な人生が一番幸せなのかもしれませんね。

今年も

2009年01月04日 | はじめに
あけましておめでとうございます。

去年は更新が多い月と少ない月の差が激しかったと思います。
読むときは集中して読むけど…って感じかな。

今年は、差が激しくならないように、平均週1で更新できたらなぁ~
と、思っているだけで、まだどの本にも手をつけていない状態です。

結局年50冊くらいなんだよね。

もっともっとたくさん読んで、知識や感情を増やしていきたいです!!