花弁に埋もれて窒息死しちゃえばよかったのに
けらけらと笑う命知らずの剥き出し胚珠
そうなのかなと何も考えず私という人は
落ちたものをたべることだけに専念した
がり、という音に舌を噛んだかと思ったけれど
嗚呼と気づくそれは胚珠のお子様でした
舐めて転がして噛んで砕いて飲み込む
その際にも花弁は私へと落ちてきて
けらけらと胚珠は雄蕊も揺らしながら
全てを胃から腸へと運ぶ処まできた時
どうも有り難うと花はお辞儀して
意味が分からず私はただ流し込んだ
花弁は尚も落ちる
落ちた一枚を手に取りふと考える
これは私をころそうとしてるのかもしれない
私の目か鼻か耳に入って詰まらせてやろうか、と
私の喉にすっと入って突然大きくなっちゃって
酸素二酸化炭素その他を閉じ込めてやるぞ、と
そっかあ、と私がけたけた笑うと
貴女に似合わないわと胚珠は嘲笑ったから
そっちに身体を向けて、微笑んで
たべさせてと了承を得る前に胴体とを
ぷっつり可愛い音を立ててちぎった
あ
もしかしたら
さっき飲み込んだ
あのまる裸胚珠
あれが私の喉を詰まらせるかもよ
それでもいいかと思ってしまう頃には
私はこの嘘はき植物を愛してしまったのかもしれない
(ああ、うん。もうそれでいい)
それで、いい。