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空風

詩&小説や日常生活を書いたりしています。
只今短詩に挑戦中。
目標:一日一更新。

とある女子高生の羽―詩

2009年11月28日 15時35分37秒 | 





羽が生えていた

ことぐらいで、もう驚きもしない

生物としての進化でもしたんだろ

そう簡単に受け止めて

寒い世界へ飛び出した




ぱたぱた、羽が動く

可愛らしいと言えばそうだが

服を着るという行為をするには邪魔なだけだ

ごわごわとした感覚に苛立ちを覚えながら

そのまま着るのも大変なので

服の後ろを少し破った

何故だか少しすっきりする自分がいて、戸惑って

そんな時も羽はのんきに羽ばたいていた




もしかして飛んだりできるのか

などという馬鹿な期待は残念ながらもがれた

ぱたぱた、と動く羽は私の意思では動けない

という新事実に息を吐いた

何のために付いたんだかわからない

なぜこうなったか分からない

これじゃあ進化というより、退化だ

意味ない物を付けちゃって

なんて、蛇足

これはまぎれもなく羽だけど





羽を生やした女子高生、なんて可笑しな図だ

なのに誰ひとりそれを可笑しいと思わない


朝食をとるとき、羽を見て母は言った

「ずいぶん可愛らしい物をつけちゃって」


登校するときに使う道で、羽を見てサラリーマンが言った

「もっと可愛らしい子が付ければ良いのになあ」


校門を抜けるさいに、羽を見て先生が言った

「なんだお前、そんな物つけて目立ちたいのか?」


休み時間に教室で、羽を見て同級生が言った

「○○さんのそれ、羽?うわぁ~すっごくかわいいねぇ、いいな~」


昼食を食べている途中、羽を見てクラスメイトが言った

「あんなの付けてカワイ子ぶろうって?うわーキモい」


帰宅する中で、羽を見て道を塞ぐ男女が言った

「なんであんな可愛らしさの見えない奴が付けてるのかわからない」


家の中で紅茶を飲んでたら、羽を見て妹が言った

「その羽、私に頂戴よ。お姉ちゃんには似合わないよ」




散々な日々だ

好きでつけてるわけじゃないのに

似合わない、なんてことは自分が一番分かってる

なのに、何故他人にそんな事を指摘されるのか?

可笑しい可笑しいと頭を抱えてもこの世界は普通に回っている

本当はここにはまともな人間など、いないというのに

羽が欲しい?付けるな?いらない?

そう言うなら、取ってみなさいよ

布団にうずくまりながら私はこの羽が取れていることを明日に望んだ




どうして

ここまで汚くなったのか

私は何故可愛くないのか

わからないことだらけの中で

私は夜の空を見つめた

攫われたい、と思っても

可愛くなきゃ、攫われないこの時代




理不尽なのは、どっちだ!




日々が経つにつれ、羽に愛着を持つようになった

私の心にシンクロするように羽が動くようになってから

家族やペット、というより、自分自身だと思った

小言も視線も無視するのが日常となり

少しずつ私にも冷静さが戻ってくる

いまさら「可愛さ」なんて求めても、何にもならない

そう言いきって、生きていく







ビックリすることが起きた

羽を持った人間と出会ったのだ

一瞬「天使?」と思ったりもしたけど

姿が何処にでもいる冴えない少年で

まずこの世に天使などいないという結論で

私は一目散に少年へかけた





少年と私は案外早くなじめた

はじめは壁もあったのに何故かそれも潰れた

何故か、と考えれば、すぐに答えが戻ってくる



「僕たちは似ているのかもしれない」

「どこが?」

「さあ。僕はその答えを見つけたくないね」



眼鏡をかけた少年の羽はしゅんと垂れた

ということは、少年は答えを知っているのだ

だが私はその答えを掴もうとは思わなかった

薄々自分でも感じていたし

元々私はその答えを捕らえてやろうなど思ってもいない

答えなど見つけたところで、消えてしまうのがオチだ

羽がぱたぱたと動いた

まるで私を慰めてくれているようで

無性に、泣きたくなった

少年は、もう泣いていた







羽が生まれた訳はまだ分からない

私と言う人間が進化した、なんてまるっきり信じちゃいない

不思議だけど、まあいいやと振り切るための言葉なだけ

冷静で静かな夜に考えはするが結局わからずじまい




ぱたぱた

ぱたぱた

せわしなく動く羽は今日も元気

小言と悪口を今日も言うアイツらも元気

羽を付けた少年もどうやら元気

私はと、言えば






「どうだろうね?」


fin...



天使にはなれない羽付き少女

P.S.もしかしたら、続きか・・・かないわ。多分。

羽は一体何なのか?さあ、なんなのか?

あめうた―短詩集

2009年11月22日 15時37分45秒 | 



雨が花を遠慮なくぷっつんと切って

「非情」とも「日常」とも取れるねと心密かに笑う


***


雨降らすは鳥のどれ

雨宿りする謝鳥はどこのどいつだ


***


何時止むの?病まないの?で始まる会話の中で

私は必死に生きていける策を只今練り中


***


青い傘で花を描く

散った同志たちは天で今日も笑っているさ


***


潤んだ唇は何のためにあるか?

――陥れるためにあるのさ。


***


雨が街に川を張り巡らせて

浮かべよ何とかの箱舟


***


一目散に私は家に帰ろう

群れて喋って過ごすのは嫌いなの

ぐしゃぐしゃの靴がきゅるきゅると鳴いて

行くか?消えるか?見るか?そら、すぐそこなのだ

何処に、とは可笑しなことを言うね。そら、ほら、そこの




ごめん、迷った。



【あめうた】




P.S.雨ですね、ということで。

おはようのうた

2009年11月20日 23時10分41秒 | 



柔らかい風の向こうに君がいて

温かい日の光の先に未来があった


そんなこと、ずっと昔から知ってるのに

何故か僕は、何も知らないふりをして

君の手を振りほどいて、愚かにも

扉の向こうの世界へ足を進めようとした



君は、それを拒まなかった

手は思ったよりするりと離れていって

それが寂しい、と思った瞬間に理解する

別れることを一番怖がっていたのは、僕なんだと



「今更」は僕を連れ出して

「過去」は君と手をつないで

扉はパタンと音を立てて閉まった

奥から見えた君は涙を流していた

泣かなくていいのに、と言いかけて

僕たちは、はなればなれ



未来に何があるかも

ぬくもりの意味も、全部

知らないふりして

知ったふりして

結局、無知なだけ

だから僕は愚行をおかして

離れたくもないのに

僕ら、ひとりぼっち




ごめんね

僕のせいだよ

離れたからだよ

なんでだろうね

どうしてだろうね

何がいけなかったんだろうね




(何もいけなくなかった、から)

(僕は馬鹿になっちゃったんだ)






「今更」だけど、謝るよ

「過去」の君は、遠い場所だけど

「現在」の君は、きっとどこかにいる

何時か会えると信じている

その出会いが来るまで、僕は

ここで泣いたり笑ったりしてるよ

この感情が薄れて、錆びてしまうまで

その頃には会えるように、と





人はまた出会うことが出来るから夢があるんだ

って、君が言ってたんだ

僕は、信じるよ

「過去」の僕は信じなかったけど

「現在」の僕は、信じるよ

だって君が、そう自信たっぷりに言ったから







冷たい風が吹く中で

人だかりの奥から見覚えのある色が見えた





ほら、











信じたから、僕は今幸せになった 。

短223

2009年11月12日 22時32分46秒 | 



雨はやみそうにない、と誰かが言う

前日まで枯れていた池の底土はもう見えなくなっていた

今ならあの池に飛び込めば一日は気づかれなんだろうな、と

笑ってそんなことを言うソイツに怪訝な表情を見せれば

それを見て、苦笑いしながらソイツは言った


「じゃあお前は、一体今まで何に縋りついて生きてきたんだ?」


ぶっとんだ質問とも答えともとれるその言葉を

受け止めてそのまま返せるほど、僕は生きちゃいなかった。




ちょっとしか生きてない僕にもう少し、ヒントを。

短222

2009年10月29日 21時09分54秒 | 



何処か遠くで誰かが私を呼んでいる気がして

そんな訳がないことを私が一番知っていて

だから細い足をぶつける様に地面につけた

夢だけを語って、それ以上何も動こうとしなかった

そうじゃなきゃ何も始まらないことを知っていたから



結局は、そんなクッションをつくって事から逃げようとしたんだけど。



結局は、それ。答えは、そうじゃないのに。

P.S.222になりました。だからどうってことじゃないけれど。

明日文化祭なので、いっぱい食べれたらと思います

短221

2009年10月28日 22時59分54秒 | 



二つは全く違うのに

合わせて一つ、私たちで完成品

でも離れたらそれはそれで成り立っていて

どっち?どちら?どちらが本当?どちらも本当。

謎のシンクロに興奮するのは私だけじゃないみたい、よかった

それじゃあ、聴こうか。合わさってしまおう

そして、そしたら、きっと、何かわかる気がする



(結局何もわかんないんだけどね!)



二つが一つで二つは一つで、 だから?

P.S.(笑)動画のミクさん歌う現実逃避Pの「裏表(略)」「ずれていく」を聞いて

合わさった動画とかみて、興奮したので。

(余談ですが、自分はランキングに今上がってるやつより違う方が好みです。余談)

短218

2009年10月10日 21時55分26秒 | 


あの子は少々夢を見過ぎた

昨日見た世界に○○さんがいなかったの、と言ったきり

ここに顔を出せずにいる


きっとね、○○さんはここの世界しかいないんだと思うよ

(という前にあの子はこれはもう完全に独り言となってしまった、けれど)




答えを言うのが遅すぎたんだ