高断熱デザイン住宅お任せブログ

優れた環境性能と美しいデザインを併せ持つ家づくりに邁進する一設計者のつれづれ日記

黒川温泉の魅力

2015年09月09日 | 建築探偵団



熊本県に、今や全国にその名の知れた温泉郷、黒川温泉があります。

温泉旅館が20軒ほどあるだけの、とっても小さな、そしてとっても不便な山の中にある温泉郷が、
どうしてこれほど有名になったのでしょうか?

昔は、本当に小さな山中の湯治場に過ぎなかった黒川温泉。
60年代の九州横断道路の開通に合わせて、温泉観光旅館街に転換したのですが、
その効果も3年足らずで、湯布院や別府といった大型旅館を抱える温泉地に客を奪われ、
鳴かず飛ばずの状態が続いていました。

しかし、75年頃から、黒川へのUターンや婿入りが相次ぎ、
30代を中心とした旅館の二代目が集まって来ました。

彼らは都会生活の経験を活かし、観光客の立場から、新しい温泉観光の振興策を模索し始めます。
これまで統一性のなかった看板を作り替え、建物や街の施設の色を黒と茶を基本として、
町並み全体に統一性を持たせ、各旅館に露天風呂をつくり、
「入湯手形」をつくって、各旅館の露天風呂めぐりが楽しめるしくみをつくり、、、、

そんなこんなで、浴衣姿で散策するのが楽しい街づくりで、女性客の人気を集めはじめました。

黒川温泉のキャッチフレーズは、「黒川温泉一(いち)旅館」。
「街全体がひとつの宿、通りは廊下、旅館は客室」と見立てて、
全体の繁栄があってこそ、個が生きる、という理念が息づいているのです。

温泉街の通りは車一台がやっと通れるほどの狭さで、駐車場を確保するのも難しいのですが、
そんな不利な条件を、逆手にとって、団体客を誘致しない、
優良な個人客のリピーターを増やすことを目指し、
大資本による大型ホテル・旅館の進出も排除する、という徹底ぶり。

ナルホド、九州の観光地に来て中国人観光客の姿を見なかったのは、この黒川温泉がはじめてかもしれない。
私にとってはそれだけで、随分、街の雰囲気が落ち着いて見える。

写真は、通りを散策していた時に見た休憩所と、その隣に無料の足湯。休憩所には、囲炉裏があり、
浴衣姿の女性客が店先で買ったヤマメを焼いて食べていました。

皆さん、九州に行かれた時は、ぜひ一度、黒川温泉を訪れてみて下さい。
懐かしさが新鮮に感じられる居心地の良い空間が、そこにあります。




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