こっちは大丈夫なんですよね、基本的に。
近くに第一級河川がありますが、氾濫とか在りません。
水量は増えるんですが溢れるまではいかないんです。
今年は自然災害が多発して怖いですね。次から次へとまぁ、よくも立て続けにくるなぁ。
大丈夫か、地球!?
本日はアザゼルさん。です。
よんでますよ、アザゼルさん。
二期は無いのかな? どうなのかな?
内容がアレなのでアニメ化が大変だったとはきいたけどね。
面白いのに。
悪魔は悪魔という話。
素通りのメメント・モリ
三十分後に呼び出します。都合は良いですか?
素っ気も色気も無い、簡素なメール。
絵文字の一つも無いそれに、アザゼルはほんまに年頃の女かいと呟いた。
しかし、三十分。
微妙だ。
これではエロDVDだって観れないではないか。
いや見たっていいけど、真っ最中に召喚されたりしたら自分の身が危ない。
ただでさえ佐隈は自分に容赦が無いのだから。
――いらんとこばっかりアクタベのアホに似てきよってからに!
胸中で毒づき、さてどうするかと考えて適当にぶらつくことにした。
どうせ時間になれば何処にいようと、頭上に魔方陣は現れる。
目的地も定めず飛び出して、よく人間が迷い込む深い森へと自然向かった。
流石に逢魔ヶ刻では無いけれど。
いたとしても楽しめないだろうなーとぼんやり思っていたら、なにやら騒がしい。
暗い木々の間から見える、魔界には馴染みの薄い鮮やかな色彩。
捩くれた樹上に降り立ち、眼下を眺めてみればそれは数人の、人間の男女。
周囲の茂みには既に低級の魔物や魔獣が潜み、飛び掛る瞬間を待ち侘びている。
なぜ逢魔ヶ刻でもないのに人間がいるのか?
その疑問は横からかけられた声により、解決した。
「よぉ、アザゼル。お前も来たのか」
下肢が蛇となったその悪魔はアザゼルとも顔見知りだ。
「おう。なぁなんで人間がおんねん? まだ逢魔ヶ刻やないやろ」
「ああ? あー、心霊スポットだかなんだかに肝試しに行ったみたいだぜ」
「あー、それでか」
その言葉に、アザゼルも納得し眼下を眺めた。
確かに、よくよく見ればまるで武器のように懐中電灯を握っている者もいる。
心霊スポットや曰くつきの場所。
全てが全てそうと言うわけではないが、中には魔界に繋がり易い、磁場の狂った所があるのだ。
どうやら彼らの行った場所がその一つだったようだ。
――ご愁傷様。
アザゼルは口の中だけで呟きはしたが、別に同情などしていない。
悪魔には人間に対する優しさや慈悲など欠片もなく、彼らにとって見れば人間など玩具にしか過ぎないのだ。
「どうする、混ざっていくか?」
悪魔はくいっと顎で差す。
既に何人かは、アザゼルよりも更に格下の悪魔に襲われていた。
女は泣き叫びながら組み敷かれ、男は汚い悲鳴を上げつつ生きながら喰われている。
逃げた奴もいるようだが、どうせすぐに捕まるだろう。
それを眺めて、アザゼルは軽く肩をすくめた。
「止めとくわ。ワシ、人間喰うよりも人間で遊ぶ方が好きやねん。
それに、お呼びがかかっとるからな」
言って、見上げた頭上には既に見慣れた魔法陣。
「そうか、じゃあな」
「はな、またなー」
軽く手を振りアザゼルはひらりと羽ばたいた。
相変わらず事務的なメールだと思った。
だが無駄にごてごてとした、一体何語を使っているか分からない文面よりはずっと好感が持てる。
ベルゼブブはそう思う。
三十分。
身嗜みは完璧だ。それは貴族として、また紳士として当然のこと。
ただ待つのも趣味ではない。無為な時間というものは好きではないのだ。
メイドに紅茶――本当は黄金水が良かったが仕事前にそれを嗜んだことがばれれば佐隈に仕置きを受けてしまう――を、持ってくるように命じた。
まだ読んでない本があった。
それを読みながら待つことにした。
芳醇な香りとページを捲る小さな音だけが、豪奢な部屋を満たしていた。
ベルゼブブの優美な外見に相応しい静寂が、不意に破られた。
一体何事かと、少しばかり不機嫌の滲む双眸で窓外を見やれば、何やら騒がしい。
下級の悪魔たちが騒がしいのはいつものことだが、ここは魔界最強を名乗るベルゼブブの居城。
恐れて近付くことは無いというのに。
あまりの騒がしさに読書に集中できず、何事かと窓辺に寄れば森の方、魔物たちが沸き立っている。
「坊ちゃま、どうやら人間が数名迷い込んだようです」
控えていた爺が、主人の疑問を察し答えた。
「ほう、そうか」
なるほど、と一つ頷く。
ベルゼブブの様な上級悪魔やグリモアを持つ悪魔は別として、下級悪魔や魔物は人間界に行くことなど出来ない。
そんな連中にとって迷い込んできた人間は、最上の玩具であり餌である。
それも複数ともなればそれは沸き立つだろう。
もともと悪魔は血の気が多いのだし。
ふっと、逸らした視線に小さな影が映った。
森からほうほうの体で逃げてくる人間の男だ。
目は虚ろで腕からは血を流し服もぼろぼろ。片足には小さな魔物が噛み付いているが気付いている様子は無い。
死に掛けた魚の様に口をパクパクさせて、必死に何かを訴えている。
恐らくは助けてくれや死にたくないという類のことを叫んでいるのだろうけれど。
背後からはわざとゆっくり追い掛ける下級悪魔たち。
捕まるのは時間の問題だろう。
ベルゼブブは興味を無くし、視線を外した。
時計を確認する。
もうそろそろ時間だ。
頭上に魔方陣の光。ふわりと身体を浮かせたベルベブブに、爺が頭を垂れた。
「留守は任せた」
「行ってらっしゃいませ、坊っちゃま」
言葉の終わりと共に、ベルゼブブの姿は光の中へと消えて行った。
「こんにちわ、ベルゼブブさん」
魔法陣から出れば、見飽きた女の気の抜けた顔。
その足元には先に呼ばれた同僚が纏わりついている。
「こんにちわ、さくまさん。
今日は一体何の用ですか?」
「はい、えっとですね今日は浮気調査です」
「やれやれ、この私をその様な下らない仕事に使うとは・・・。
ま、いいでしょう。呼ばれたからにはしっかりとやるべきことは果たしましょう。
ところでさくまさん、今日のイケニエは何ですか?」
「今日はシーフードカレーやで、べーやん!
さくちゃん、ワシのカレーは海老ぎょうさん入れてぇな!」
「ほう、シーフードですか。
は!? まさかてめぇ、海老入れただけでシーフードと言い張るんじゃねぇだろうな!」
「違いますよ。ちゃんとイカも帆立も入ってますよ」
「ならいいでしょう。私は大盛りでお願いしますよ」
はいはい、と。
悪魔たちとのいつものやり取りに苦笑を浮かべつつ、佐隈は躊躇い無く彼らの手を引いて事務所へと降りてゆく。
閉じた開かずの間の中、役目を終えた魔方陣が断末魔の様に幽かに明滅したけれど、見る者など誰もいなかった。
暗澹閑静クライシス! 自業自得と言うけれど、そんな言葉で済まされる程度の命だったと言うことです!!
近くに第一級河川がありますが、氾濫とか在りません。
水量は増えるんですが溢れるまではいかないんです。
今年は自然災害が多発して怖いですね。次から次へとまぁ、よくも立て続けにくるなぁ。
大丈夫か、地球!?
本日はアザゼルさん。です。
よんでますよ、アザゼルさん。
二期は無いのかな? どうなのかな?
内容がアレなのでアニメ化が大変だったとはきいたけどね。
面白いのに。
悪魔は悪魔という話。
素通りのメメント・モリ
三十分後に呼び出します。都合は良いですか?
素っ気も色気も無い、簡素なメール。
絵文字の一つも無いそれに、アザゼルはほんまに年頃の女かいと呟いた。
しかし、三十分。
微妙だ。
これではエロDVDだって観れないではないか。
いや見たっていいけど、真っ最中に召喚されたりしたら自分の身が危ない。
ただでさえ佐隈は自分に容赦が無いのだから。
――いらんとこばっかりアクタベのアホに似てきよってからに!
胸中で毒づき、さてどうするかと考えて適当にぶらつくことにした。
どうせ時間になれば何処にいようと、頭上に魔方陣は現れる。
目的地も定めず飛び出して、よく人間が迷い込む深い森へと自然向かった。
流石に逢魔ヶ刻では無いけれど。
いたとしても楽しめないだろうなーとぼんやり思っていたら、なにやら騒がしい。
暗い木々の間から見える、魔界には馴染みの薄い鮮やかな色彩。
捩くれた樹上に降り立ち、眼下を眺めてみればそれは数人の、人間の男女。
周囲の茂みには既に低級の魔物や魔獣が潜み、飛び掛る瞬間を待ち侘びている。
なぜ逢魔ヶ刻でもないのに人間がいるのか?
その疑問は横からかけられた声により、解決した。
「よぉ、アザゼル。お前も来たのか」
下肢が蛇となったその悪魔はアザゼルとも顔見知りだ。
「おう。なぁなんで人間がおんねん? まだ逢魔ヶ刻やないやろ」
「ああ? あー、心霊スポットだかなんだかに肝試しに行ったみたいだぜ」
「あー、それでか」
その言葉に、アザゼルも納得し眼下を眺めた。
確かに、よくよく見ればまるで武器のように懐中電灯を握っている者もいる。
心霊スポットや曰くつきの場所。
全てが全てそうと言うわけではないが、中には魔界に繋がり易い、磁場の狂った所があるのだ。
どうやら彼らの行った場所がその一つだったようだ。
――ご愁傷様。
アザゼルは口の中だけで呟きはしたが、別に同情などしていない。
悪魔には人間に対する優しさや慈悲など欠片もなく、彼らにとって見れば人間など玩具にしか過ぎないのだ。
「どうする、混ざっていくか?」
悪魔はくいっと顎で差す。
既に何人かは、アザゼルよりも更に格下の悪魔に襲われていた。
女は泣き叫びながら組み敷かれ、男は汚い悲鳴を上げつつ生きながら喰われている。
逃げた奴もいるようだが、どうせすぐに捕まるだろう。
それを眺めて、アザゼルは軽く肩をすくめた。
「止めとくわ。ワシ、人間喰うよりも人間で遊ぶ方が好きやねん。
それに、お呼びがかかっとるからな」
言って、見上げた頭上には既に見慣れた魔法陣。
「そうか、じゃあな」
「はな、またなー」
軽く手を振りアザゼルはひらりと羽ばたいた。
相変わらず事務的なメールだと思った。
だが無駄にごてごてとした、一体何語を使っているか分からない文面よりはずっと好感が持てる。
ベルゼブブはそう思う。
三十分。
身嗜みは完璧だ。それは貴族として、また紳士として当然のこと。
ただ待つのも趣味ではない。無為な時間というものは好きではないのだ。
メイドに紅茶――本当は黄金水が良かったが仕事前にそれを嗜んだことがばれれば佐隈に仕置きを受けてしまう――を、持ってくるように命じた。
まだ読んでない本があった。
それを読みながら待つことにした。
芳醇な香りとページを捲る小さな音だけが、豪奢な部屋を満たしていた。
ベルゼブブの優美な外見に相応しい静寂が、不意に破られた。
一体何事かと、少しばかり不機嫌の滲む双眸で窓外を見やれば、何やら騒がしい。
下級の悪魔たちが騒がしいのはいつものことだが、ここは魔界最強を名乗るベルゼブブの居城。
恐れて近付くことは無いというのに。
あまりの騒がしさに読書に集中できず、何事かと窓辺に寄れば森の方、魔物たちが沸き立っている。
「坊ちゃま、どうやら人間が数名迷い込んだようです」
控えていた爺が、主人の疑問を察し答えた。
「ほう、そうか」
なるほど、と一つ頷く。
ベルゼブブの様な上級悪魔やグリモアを持つ悪魔は別として、下級悪魔や魔物は人間界に行くことなど出来ない。
そんな連中にとって迷い込んできた人間は、最上の玩具であり餌である。
それも複数ともなればそれは沸き立つだろう。
もともと悪魔は血の気が多いのだし。
ふっと、逸らした視線に小さな影が映った。
森からほうほうの体で逃げてくる人間の男だ。
目は虚ろで腕からは血を流し服もぼろぼろ。片足には小さな魔物が噛み付いているが気付いている様子は無い。
死に掛けた魚の様に口をパクパクさせて、必死に何かを訴えている。
恐らくは助けてくれや死にたくないという類のことを叫んでいるのだろうけれど。
背後からはわざとゆっくり追い掛ける下級悪魔たち。
捕まるのは時間の問題だろう。
ベルゼブブは興味を無くし、視線を外した。
時計を確認する。
もうそろそろ時間だ。
頭上に魔方陣の光。ふわりと身体を浮かせたベルベブブに、爺が頭を垂れた。
「留守は任せた」
「行ってらっしゃいませ、坊っちゃま」
言葉の終わりと共に、ベルゼブブの姿は光の中へと消えて行った。
「こんにちわ、ベルゼブブさん」
魔法陣から出れば、見飽きた女の気の抜けた顔。
その足元には先に呼ばれた同僚が纏わりついている。
「こんにちわ、さくまさん。
今日は一体何の用ですか?」
「はい、えっとですね今日は浮気調査です」
「やれやれ、この私をその様な下らない仕事に使うとは・・・。
ま、いいでしょう。呼ばれたからにはしっかりとやるべきことは果たしましょう。
ところでさくまさん、今日のイケニエは何ですか?」
「今日はシーフードカレーやで、べーやん!
さくちゃん、ワシのカレーは海老ぎょうさん入れてぇな!」
「ほう、シーフードですか。
は!? まさかてめぇ、海老入れただけでシーフードと言い張るんじゃねぇだろうな!」
「違いますよ。ちゃんとイカも帆立も入ってますよ」
「ならいいでしょう。私は大盛りでお願いしますよ」
はいはい、と。
悪魔たちとのいつものやり取りに苦笑を浮かべつつ、佐隈は躊躇い無く彼らの手を引いて事務所へと降りてゆく。
閉じた開かずの間の中、役目を終えた魔方陣が断末魔の様に幽かに明滅したけれど、見る者など誰もいなかった。
暗澹閑静クライシス! 自業自得と言うけれど、そんな言葉で済まされる程度の命だったと言うことです!!
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