『やめられない ギャンブル地獄からの生還』は、冒頭から延々と「ギャンブル依存症」患者とその家族たちの地獄のような末路が詳細に述べられており、そのすさまじさには息をのむ思いだ。(文章で読む者に吐き気をもよおさせるのはさすがの力量と言うべきか。)筆者の「ギャンブル国家・日本」の行政への憤懣は激烈だが、「ギャンブル依存症」がもたらす悲劇の大きさ、重さを考えると当然だろう。無類の文才をもつ精神科医が書いた解説書は完璧だ。
『僕らはそれに抵抗できない』は、依存症の罠が、ギャンブルのみならず、インターネットを活用したさまざまなサービスに潜んでいることを教えてくれる。筆者はこんな提案をしている。たとえば、18時~9時に、仕事用アカウントに送信されたメールは受信を拒否し、自動で、「メールは9時~18時のあいだのみ受信します」というリターン・メールを送信する。メール・サーバーで設定できないと無理だと思うが、それなら、「メールは平日18時~9時、日曜、祝祭日は開封しません」と別途ことわっておいて、実際に読まなければよい。わたしたちは、ネットにふりまわされるジャンキーから脱するべきだろう。狂った世界に同調する義務などないのだから。
田辺等,2002,ギャンブル依存症,日本放送出版協会.(11.9.2020)
パチンコ、パチスロ、競馬、競輪、マージャン、ポーカー、バカラ。サラリーマンや主婦、学生にとって日常生活に刺激を与えてくれるギャンブルも度を越せば「依存症」という病に落ちる。仕事からの逃避、多額の借金、度重なるウソ、家庭の崩壊、そして人生の転落。いつでも引き返せるという依存症者の心理の奥を探り、患者と家族で心身の回復を図る具体的治療法を紹介する渾身の問題作。
帚木蓬生,2019,やめられない ギャンブル地獄からの生還,集英社出版.(11.9.2020)
日本は世界屈指のギャンブル大国だ。パチンコ・スロット、競馬、競輪、競艇、そしてカジノ…ギャンブル症者は、国内推定320万人と目されている。親の貯金や年金、自宅がなくなってもやめられず、さらに借金が増え続けるというギャンブル依存。いかに地獄から這いあがるのか。文庫化に際し、カジノの危険性など最新情報を大幅加筆。現役精神科医の著者が、全国民に警鐘を鳴らす緊急レポート!
アダム・オルター(上原裕美子訳),2019,僕らはそれに抵抗できない──「依存症ビジネス」のつくられかた,ダイヤモンド社.(11.9.2020)
世界中が絶賛した話題の書、ついに上陸!スマホ、フェイスブック、インスタ、ネットフリックス、ゲーム、メール…。新時代の依存症「行動嗜癖」の衝撃。悪用厳禁!のめりこませる手口とその仕組みの全貌を暴く!!
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