本と音楽とねこと

シラバス作成というブルシット

 締め切りはまだ先なのだが、次年度シラバスを一気に仕上げる。
 わたしは、その作業が無味乾燥で、無意味なものであるほど、作業そのものよりも、いずれ作業をしなければいけないことの方を苦痛に感じてしまう。だから、締め切りよりもはるか前に作業を完了するわけだが、煩雑きわまりない作業自体も苦痛であることに変わりはない。
 おまけに、フォーマット上のフォントが、「背景がピンクで文字がオレンジ」という、ほぼいやがらせに近い仕様で、モニターに目をくっつけないと文字が読めず、目が疲れることこのうえない。
 作業を終えて、『大学改革の迷走』の著者、佐藤郁哉さん(というよりKamikaze bikerの著者といった方が英語圏では通じるだろうが)の論文を見つけた。

佐藤郁哉,2023,シラバスからSyllabus へ──「研究方法論(定性)」の事例を中心にして,同志社商学第74巻第4-5号,pp.757-781.
(クリックするとPDF文書がダウンロードされます。最新の論文をオンラインで入手できるのはとてもありがたいのだが、機関リポジトリにはインデックスページくらいは用意してもらいたいものだ。)

 日本の大学で流通しているシラバスは、Syllabusではなく「カタログ」である。しかも、「DPとの関連」など、およそ無意味な項目が多く、フォーマットはやたら煩雑で、教員を消耗させるだけの代物ときている。
 佐藤さんが論文で提示している「研究方法論(定性)」(の授業の)Syllabusが、まともなシラバスであろう。
 わたしは、勉強熱心な学生に資するまともなシラバスであれば、文献解題も含めて、喜んで、長大なペーパーを書くであろう。100分×14回の講義内容を、一冊の本をとりまとめるつもりで書き下せば良いのである。できが良ければ、商用コンテンツとして廉価で販売することもできるだろう。
 佐藤さんの論文は、デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』論で締められているが、そこに転載されているグレーバーの作図が、いま、日本全国の大学で行われているであろうシラバス作成というブルシットをまんま再現していて、笑ってしまった。

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