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本と音楽とねこと

コンビニ人間

村田沙耶香,2018,コンビニ人間 ,文藝春秋.(2.1.2021)

 36歳未婚、子どもなしの女が、コンビニのアルバイトやっててなにが悪い?
 そもそもこのように「アルバイト」という言葉を使うことがおかしい。アルバイトの語源はドイツ語の'arbeit'で「勤労」の意味だから、パートタイマーと呼ぶべき。アルバイトは、学生が自由になる時間を使って行うパートタイムの仕事をそう呼んでいたにすぎないわけだから、既卒の、36歳の女の勤労は、アルバイトではなく、パートタイム労働である。
 わたしは、コンビニは、というよりコンビニもあまり利用しないが、これだけ店舗が増えているのは、それだけニーズがあるということだ。そのコンビニの店員が天職のごとくなじんでいる36歳の女がいて、なにがおかしい?パートタイム労働では生活していけないというのなら、生活していけないほどの最低賃金しか保障していない国が悪い。
 それから、36歳で未婚、子なしというのはおかしいなんて、いまどき言う人がいるのか?既婚だろうが未婚だろうが、子どもがいようがいまいが、性体験がゼロだろうが不特定多数とやっていようが、個人の勝手、よけーなお世話である。
 以上のような、わたしからするとあたりまえじゃんという価値観をもたない人や、そうした人に辟易している人には、おもしろい小説なのかもしれない。わたしには、なにをいまさらこのネタ?という感じで、あまり響かなかったな。

「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。

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