住宅ローンアドバイザーの役割第3回
生涯収支で考える
住宅取得のあとに老後資金の必要が迫ってきます。ですから,住宅取得に資金を使いすぎてしまうと老後資金が不足しますので,注意が必要です。
住宅が買えればそれでいいのかという話になります。住宅を買って,なおかつ,老後資金も足りますというのが一番いいですね。そういうふうにトータルで相談に乗れるアドバイザーがいいですね。
最近FPとして,生涯収支を考えた住宅取得計画という話をしています。今までは,どれだけ借りられるかを教え,そして,「できるだけ借りましょう。収入も上がるし,貨幣価値も変わるから」と言ってきました。しかし,今は「返済可能額の範囲内で借りましょう。それで住宅を買っても,ローンは返せるのだけれども老後資金が不足してしまうかもしれません」と言っています。払い終わったら何も残っていない,というのでは困ります。
そこで,どれくらい生涯に収入があって,教育費や生活費にどれくらいかかって,住宅にこれだけかけたら,あとはこれだけ残るけれど,それで老後資金が足りるのかどうか,というところまで見ていかなければなりません。
住宅販売の現場では,返済可能額で話をする人が多いのですが,FPの立場からいうと,生涯収支が問題になります。
実際にその話をすると,もう少し住宅取得価格を下げようとなさる方もいますし,当初35年ローンで組めばいいと思っていた方が,定年までに返し終わるようにしましょう,というふうに変わる場合もあります。
なかには,無理な住宅取得だからやめようとなさる方もいます。住宅販売業のなかにいたら,そのようなアドバイスはしにくいかと思います。これだけ大変になりますが,どうしますか,という形で消費者に判断材料を提供していきます。
都心のマンションを売り出すと,半分は中高年の方がキャッシュで買っていくといいます。その場合も,借りたほうがいいのかも考えたほうがいいと思います。団塊の世代が定年を迎えるので,これからそういう話は多くなると思っています。
住宅ローン・アドバイザーの課題
見た目は立派でも,大変な問題のある物件をつかむ恐れがある時代なのかと思います。
顧客のなかに4階なのに結露がひどくて,買戻しせよという話になって,結局,買戻しになりましたが,それまでの精神的な苦痛は何ものでも償いがたいと言っていました。
そういう意味で,物件調査のアドバイザーが必要になってきています。お金を払ってでも第三者に購入する物件を見てほしいというのが最近の流れです。
資金面では住宅ローン・アドバイザーがどれだけ役割を担っていけるか,というところが重要だと思うのです。
世の中が変わってしまって,生産業者が利益を追求するという流れのなかで,それに逆らうならリストラされてしまいます。残念なことに物づくりの業者を信頼できない世の中になってきていると思います。大手の業者のなかでさえ,不祥事が起こります。どんなことがあっても不思議ではない世の中になっています。
それぞれの利益が厳しいなかで,できたものの見た目は立派でも,住んでみたらあちこちおかしいということが起こり得ます。
住宅ローン・アドバイザーが成功するには,監督するところがアドバイザーの質を高めて維持することが大切です。簡単に名乗れるようになっていて,相談した人がとんでもないアドバイスを受けるというようなことが続けば信頼されません。やるならばきちんと一定の水準でなければいけない,また,倫理規定もキチンと守っていただくという形で,監督するところがないと難しいと思います。
まだ資格ではありませんが,初めのうちは認定されやすいという面もあって受講生が集まっています。そういう状況でどれだけ質を高めるかがこれからの課題です。
(不動産受験新報5月号より)
生涯収支で考える
住宅取得のあとに老後資金の必要が迫ってきます。ですから,住宅取得に資金を使いすぎてしまうと老後資金が不足しますので,注意が必要です。
住宅が買えればそれでいいのかという話になります。住宅を買って,なおかつ,老後資金も足りますというのが一番いいですね。そういうふうにトータルで相談に乗れるアドバイザーがいいですね。
最近FPとして,生涯収支を考えた住宅取得計画という話をしています。今までは,どれだけ借りられるかを教え,そして,「できるだけ借りましょう。収入も上がるし,貨幣価値も変わるから」と言ってきました。しかし,今は「返済可能額の範囲内で借りましょう。それで住宅を買っても,ローンは返せるのだけれども老後資金が不足してしまうかもしれません」と言っています。払い終わったら何も残っていない,というのでは困ります。
そこで,どれくらい生涯に収入があって,教育費や生活費にどれくらいかかって,住宅にこれだけかけたら,あとはこれだけ残るけれど,それで老後資金が足りるのかどうか,というところまで見ていかなければなりません。
住宅販売の現場では,返済可能額で話をする人が多いのですが,FPの立場からいうと,生涯収支が問題になります。
実際にその話をすると,もう少し住宅取得価格を下げようとなさる方もいますし,当初35年ローンで組めばいいと思っていた方が,定年までに返し終わるようにしましょう,というふうに変わる場合もあります。
なかには,無理な住宅取得だからやめようとなさる方もいます。住宅販売業のなかにいたら,そのようなアドバイスはしにくいかと思います。これだけ大変になりますが,どうしますか,という形で消費者に判断材料を提供していきます。
都心のマンションを売り出すと,半分は中高年の方がキャッシュで買っていくといいます。その場合も,借りたほうがいいのかも考えたほうがいいと思います。団塊の世代が定年を迎えるので,これからそういう話は多くなると思っています。
住宅ローン・アドバイザーの課題
見た目は立派でも,大変な問題のある物件をつかむ恐れがある時代なのかと思います。
顧客のなかに4階なのに結露がひどくて,買戻しせよという話になって,結局,買戻しになりましたが,それまでの精神的な苦痛は何ものでも償いがたいと言っていました。
そういう意味で,物件調査のアドバイザーが必要になってきています。お金を払ってでも第三者に購入する物件を見てほしいというのが最近の流れです。
資金面では住宅ローン・アドバイザーがどれだけ役割を担っていけるか,というところが重要だと思うのです。
世の中が変わってしまって,生産業者が利益を追求するという流れのなかで,それに逆らうならリストラされてしまいます。残念なことに物づくりの業者を信頼できない世の中になってきていると思います。大手の業者のなかでさえ,不祥事が起こります。どんなことがあっても不思議ではない世の中になっています。
それぞれの利益が厳しいなかで,できたものの見た目は立派でも,住んでみたらあちこちおかしいということが起こり得ます。
住宅ローン・アドバイザーが成功するには,監督するところがアドバイザーの質を高めて維持することが大切です。簡単に名乗れるようになっていて,相談した人がとんでもないアドバイスを受けるというようなことが続けば信頼されません。やるならばきちんと一定の水準でなければいけない,また,倫理規定もキチンと守っていただくという形で,監督するところがないと難しいと思います。
まだ資格ではありませんが,初めのうちは認定されやすいという面もあって受講生が集まっています。そういう状況でどれだけ質を高めるかがこれからの課題です。
(不動産受験新報5月号より)