時代に思う

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時代に思う:その111

2015-07-25 14:40:57 | 随筆
人口減少時代の新潮流:(No—11)
             東京圏から地方へ、高齢者移住≫
 
 民間の有識者会議の日本創成会議は、東京圏(1都3県)の医療や介護の10年先のことを想定するなら、今から手を打たなければならないとして、東京圏から高齢者の地方移住を提案されています。地方移住については、とり方によって「姥捨て山」「自治の放棄」など厳しい批判もあります。それを承知で最悪の状態にならないように、国や自治体は高齢者の尊厳を汲み上げて対処しなければならないと思います。
1.東京圏はパンク状態:地方へ負担押し付け?
 日本創成会議は、東京圏に住む75歳以上の高齢者の人口について、わずか10年にして(団塊の世代が75歳以上となる頃)比較的若い高齢者(65~74歳)の1.5倍に増加すると試算しています。医療や介護の施設や要因が不足するのは自明の理であります。努力しても不足する、そこをもう一つ新しい発想で工夫するのが、政策責任者の務めだと思います。地方の移住は最後の最後です。
●75歳以上の高齢者人口の見通し
 2025年、10年後の全国増加高齢者数のベスト5都道府県
◆ 1位:東京都:197.7万人・増加人口:50.5万人
◆ 2位:神奈川:148.5万人・増加人口:47.0万人
◆ 3位:大阪府:152.8万人・増加人口:45.8万人
◆ 4位:埼玉県:117.7万人・増加人口:41.2万人
◆ 5位:千葉県:108.2万人・増加人口:36.6万人
東京圏の1都3県が全国ベスト5に入り、その増加合計が175.2万人です。
要するに、10年間に1都3県で75歳以上の高齢者が175.2万人増加します。日本の高齢化のスピードを象徴する数字です。
●東京圏の高齢者移住:日本創成会議の提案
 2025年には東京圏で13万人分の介護施設が不足するとの、日本創成者会議の発表がありました。医療や介護で、その施設や人材の面で優れた国内各地を掲げ、そこに東京圏の高齢者の受け入れ先として候補地を挙げております。全国41地域は次の通りです。
 北海道:室蘭市、函館市、旭川市、帯広市、北見市
 東北:青森市、弘前市、秋田市、山形市、盛岡市
 中部:上越市、富山市、高岡市、福井市、金沢市
 近畿:福知山市、和歌山市
 中国:岡山市、鳥取市、米子市、松江市、宇部市、山口市、下関市
 四国:高松市、坂出市、三豊市、徳島市、新居浜市、松山市、高知市
 九州・沖縄:北九州市、大牟田市、鳥栖市、別府市、八代市、宮古島市、
       熊本市、長崎市、鹿児島市
一つ間違うと、押し付けにとられます。各都市はそれぞれの思惑があり、それに合致しないと大変な誤解を招きます。受け入れ態勢だけでなく受け入れ事情を精査し、その上での高齢者移住を検討すべきだと考えられます。
●杉並区が南伊豆町に「特養」を(全国初)
◆ 東京都杉並区が伊豆半島最南端の静岡県伊豆町に整備を進める、特別養護老人ホームがあります。昨年末に杉並区と静岡県、伊豆町が共同事業を行うことに合意しました。過密と急速な高齢化に悩む都市と、過疎化が進行する地方都市との全国初の介護に関する合同事業の例です。東京から約200キロ離れた「特養」の入所を杉並区民はどのように受け止めるか・・・。
◆ 2018年度に100床(区:50床、町:40床、ショートステイ:10床)の規模で、県が3億6千万円、区が4億7千万円、町は土地を無償提供して、健康福祉センターを併設してホールなどの共用施設とする。ショートステイなども含めて、70から80名の職員雇用が見込めます。「東京の人にきれいな空気を吸って元気になっていただける。地元の人には、介護の職場に就ける」理想的なパターンです。
◆ そもそもこの話は、2010年杉並区が伊豆町弓ヶ浜に所有していた、全寮制特別支援学校「南伊豆健康学園」の廃止を決めたのが発端でした。当初は、区内の高齢者を受け入れる施設と考えていました。区内には施設を作るにも土地が無く、建設するにしても高い費用がかかります。当時の区長が白羽の矢を立てたのは、弓ヶ浜の利用でした。しかし、海岸にあるということで津波の心配があるので、今回の役場に近い町有地に話がまとまったわけです。
◆ 地方移住は区民の理解がカギ
杉並区民がこの施設を利用するには、静岡県の高い医療費を払うことになります。この問題もクリアーする法改正にメドもつけました。残る問題は、区民が200キロはなれた場所をどのように捉えるかです。2013年に弓ヶ浜での入所アンケートをとったら「希望しない」が64%でした。現在、区には1400人の入所待機者が居ます。今回の区の割り当ては50床で、区全体から見ればわずかな比率です。

2. 地方創生と大都市住民の地方移住
 日本創成会議が消滅可能性都市を、政府と呼応しながらアピールしてから1年は過ぎました。その後、地方創生担当相も誕生して、地方創生が国民的関心事になり、政府の打ち出す政策と、各自治体の施策が相互作用しながら大きく羽ばたこうとしています。
●「改正地域再生法」が参院で可決
 9月末施行予定のこの法律は、本社機能を東京23区から地方へ移せば、移転費用の免税や法人税の軽減、雇用が増えた分の税額控除などの恩恵を与えるものです。また、既存の地方に本社のある税制も、同じような優遇が得られるとのことです。さらに、政府は定員超えの私大に対して、助成金を減額する方針を打ち出しました。都市部の私立大学に集中することを、地方創生の観点から是正するねらいです。
●高齢者の地方移住を後押し
 政府の「まち・ひと・しごと創生会議」にて、2016年度予算編成に向けて、地方創生の基本方針の素案を示しました。都市部の高齢者を地方へ移住させる計画です。2016年度からモデル地区を作りたいとの意向で、1県3市が先行して検討に入ったとのことです。その内容は大都市の高齢者を、元気なうちに地方へ移住させるというものです。
日本版CCRCというものです。アメリカで既に採用されて、2千ヵ所75万人が暮らしているとのことです。
●CCRCとは
 まず、退職したばかりの健康な高齢者に移住してもらいます。その彼らに共同生活をして頂き、共同住宅や戸建集落でのコミュニティ形成をして頂き、その上での生涯学習や社会貢献をして頂きます。具体的には、留学生や青少年の交流を通じての活動です。
自らも語学や社会学を研鑽し、留学生などに対してホームステイや下宿などのお世話をしてもらいます。
●日本版CCRCの構想
 日本創成会議の意向が反映されて、政府の「まち・ひと・しごと創生会議」の意向で、
高齢者が住みやすい大型施設や、コンパクトシティのような個人住宅を集めたりしての、小規模自治体を形成する街づくりなどを行います。そこには、元気な高齢者が中心になり、生活共同体をつくります。先行して行うのは、長崎県、茨城県笠間市、山梨県都留市、新潟県南魚沼市です。モデル事業としての1県3市が名乗りを挙げた次第です。
●新潟県南魚沼市の構想       
 市内に本部を置く国際大学と提携し、200世帯400人が住むCCRCを検討中だとのことです。国際大学の海外からの留学生と高齢者との交流を行います。さらに、日本語支援やホームステイなども行います。一種のボランティア活動です。高齢者が若いうちに出来る社会貢献です。地元の自治体もそのこと自体が雇用促進になり、街の発展や地方創生に大きく貢献できるとしています。その高齢者移住を東京に求め、東京の高齢者負担を軽減するという発想です。
●山梨県都留市の構想
 都留市と都留文科大学などが協力する構想を描いています。既存の団地なども活用して、約700世帯、1000人程度の住む街区を想定しています。「元気の良い高齢者を受け入れ、学生や若者との交流を通して、住み続けたくなる街のきっかけを作りたい」堀内富久市長はそんな構想を話しておられます。都留市全体が高齢者を歓迎する体制をつくるとのことです。(以上)                          
                      

110.時代に思う

2015-07-11 16:09:00 | 随筆
≪人口減少時代の新潮流(No-10)
            :働く年金世代の急増≫

1.まず「70歳まで現役」の共有できる社会を
「高齢者の定義を70歳に」すれば、経済成長の概念が大きく変わるといえます。現在の日本の経済成長を計算する上での「潜在成長力」が変わってきます。もちろん、経済成長そのものの目標値も変わってきます。日経新聞の試算によると、2040年比で900万人の生産年齢人口が増えるとしています。人口減少時代における生産年齢人口は、15歳から70歳までになります。増加した分は、国の経済発展の新しいエネルギーとなります。
●ポイントは70歳までの働ける環境を
 年金も70歳まで支給されないとして、勤労所得で生活するとします。その場合、個人の体力に合わせた職場環境をつくらなければなりません。定年制をなくして、50歳くらいから選択可能な職能・職場選びをしてもらい、70歳まで勤めることが可能なコースを選んでもらうことです。そのためには、年功序列賃金や勤務時間の短縮なども同時に選んでもらうことです。また、国がこの制度を後押しして、その企業で就労が困難な場合は、他の企業で70歳まで働けるように出来る制度化が必要です。
●70歳・80歳も現役制度の創設を
 最近の世相を見ていますと、70歳・80歳は、鼻たれ小僧といわんばかりの80代や90代の現役陣が沢山目に留まります。自営業や営業職、経営者、専門職などに多く見かけます。全体の比率としては小さいですが、私の周りに20氏以上の方が居られます。この80歳以上の働く方を制度化したら良いと思います。無病とはいいませんが、一病息災で元気に現役である方を、殿様とか上様、ミスターとかプレジデントとかの称号を与えるなど如何でしょうか?一騎当千とまでは行きませんが、「一騎当十」の役をこなせる人たちです。
●社会保障制度の抜本的改革の突破口に
 70歳までの現役になれば、60歳代後半からの人たちの社会保険収支が好転します。払わないで収める年金の事を考えれば、年金収支が好転の方向に向かいます。少なくとも、年金財政の悪化を緩和することが可能です。今年度から政府は年金の支給を毎年1%ずつ下げて、30年後には現在の2割減を目標とするそうですが、そんなケチなことをしないで、70歳現役を実行してそれを突破口にして、税と社会保障の一体化を図ればよいと考えられます。さらに、国と地方の「プライマリーバランス」の黒字化に加速がつき、実施後5年もすれば目標が達成すると期待できます。
●国の制度としての70歳現役
 70歳現役制度を実施する場合、働く側からみると大きな3の疑問があります。①働ける職場があるか?②働ける体力があるか?③健康寿命まで働いて後は病人生活か?①の場合は、公的機関で保障制度を設ける必要があります。企業に対する雇用の助成金、個人に対する職業訓練も含めた就業保障制度が必要です。②は生涯健康プログラムに基づき、計画的な健康管理を公的機関で行うものとします。③については、生涯生活プログラムの一環として、70歳現役ご褒美制度を創設して、老後の安心生活を保障する。以上のように安心して70歳まで働けるような社会を、みんなが意識することが肝要といえます。
2.60代後半の年金受給者:5人に2人が働く
 表記は、総務省の2014年度の調査の結果です。60代後半の男性は51%働き、女性は31%です。人数にすると374万人、前年度より10%増加、10年間で5割が増えたそうです。374万人の方が年金をもらいながら働いています。
●豪州やスウェーデンなどが高齢者改革を
 スウェーデンは3年前に75歳現役を、豪州は70歳からの年金支給を打ち出しています。2006年小泉内閣の官房長官だった安倍さんは、70歳まで働く企業の実現として「再チャレンジ推進会議」で提案しています。日本もいずれは遅かれ速かれ、年金支給は70歳になると予想されますので、海外の先進福祉国家の動向に見習う時期に来ていると思います。前項で述べましたが、70歳現役の方向にむかうべきです。そのことは、社会保障制度と雇用が連動する改革へと、自ずからそうなるものと思います。
●65歳以上の高齢者非正規社員、26万人増
 上記の総務省の調査で、前年同月比で65歳以上の高齢者の非正規社員就業が26万人増えました。その内訳は男性が16万人、女性が10万人です。全国での役員を除く雇用者は5294万人で、そのうちの2012万人が非正規社員です。非正規社員は全体で初めて2000万人台になり、38%を占めます。正規社員が減って非正規社員が増えるということは、年金などの財源が減るということです。そのこと自体に今後の問題が残りますが、高齢者の就業が増えるということに大きな意義があるといえます。
●年金を支える新制度をつくれ
 前項で述べましたが、年金などの財源が悪化しないようにしなければなりません。そのためには、非正規社員も年金などの社会保障制度に加入して欲しいものです。就労者は全員、少なくとも厚生年金には加入する制度をつくるべきです。2025年には、65~74歳までの若い高齢者より、75歳以上の高齢者が1.5倍になると予想されています。
その対策として、75歳までの就労や年金制度の加入が、経済学者間で説かれています。
● 平均寿命(A)―健康寿命(B)=病気で寝込む寿命(C)
(C)の理想とは、平均寿命が伸び続け、健康寿命がそれに肉薄する状態です。
日本の場合の(C)は83歳-71歳=12年です。この12年を限りなくゼロにアプローチすることが理想です。その度合いにより医療費が決まります。社会保障政策の要となる数字です。(A)と(B)をいかにコントロールできるか、長寿国家の政治力と国民の協力が問われています。別な表現をするなら、少子・高齢化社会や人口減少時代を生き抜く、日本人の英知と勇気ある行動が要求されているともいえます。
●まだまだ伸びる:働く年金受給者
 前述のように60代後半の就業者は、374万人で男性が51%、女性が31%です。女性が長寿なのに、少ないのは何故でしょうか?社会進出が少ない分だけ長生きしていると、誰かが言っていましたのを今でも印象に残っています。本来なら、女性が80歳になっても働く数が、男性より多くなっても不思議ではありません。ワープロをやらしても、ウエイトレスをさせても、料理をつくっても、保険の外交を行っても、その道の評論家や指導員などなど、どれをとっても80代の女性のほうが絵になる、スマートに思えるのはわたしだけでないと思います。女性の就業者数は男性を凌ぐのは、そう遠くはないと考えられ、その結果年金受給者の働く人はますます増えます。(以上)