時代に思う

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人口減少時代:新しい都市計画法で

2015-11-30 10:26:20 | 随筆

人口減少時代の新潮流:NO-1

時代に思う:その119

≪人口減少時代の新潮流:新しい都市計画を≫

●今の都市計画法は古すぎる

1968年に制定された今の都市計画法は、経済の高度成長期を想定して制定されたものであります。半世紀前のもので、その後の社会変化を取り入れていない都市計画法です。経済成長とともに地方から大都市への人口移動が主眼の計画法であり、「イケイケドンドン」の都市部の基盤整備を促進するものです。これからの人口減少時代の住宅政策とは程遠いもので、土地利用の調整や規制などの概念とはかけ離れたものです。

現在、地方はもとより、都市部でも人口減少が起きはじめて、土地利用や住宅政策をどのように調整するかが問われています。それだけに、現行の都市計画法は形骸化したものといえます。欧州の主要国などの都市計画制度は国土全体を対象にしていますが、日本の都市計画は国土の26%しか網羅されていません。その中でも市街化区域や調整区域は国土のわずかに14%が対象区域となっている状態です。そこのところをカバーしているのが、自治体の条例です。土地利用条例や都市景観形成条例‥等の数おおくの地方色豊かな自治体の条例があります。

  • 新しい国土利用計画を活かせる工夫を

第5次国土利用計画が策定され、5年前の市街地面積から比較しますと若干ながら減少傾向にあり、増え続けた宅地面積も横ばい傾向にあるとのことです。国交省がまとめた新たなる国土形成のキャッチフレーズは、「対流促進型国土」と呼ぶそうです。人やモノ、情報が双方向の流れになり、地域間の特色ある交流を通して、人口減少時代を乗り切ろうという考え方です。気圧の高いところから低いところに空気は対流して風を起こすように、地域の特色の違いがお互いに関心を持ち交流します。その結果、人やモノ、情報が流れはじめ、地域の活発な交流が起こるという考え方です。

1940年代に英国で制定された「都市農村計画法」のように、中央省庁の縦割り行政を廃止して、国土全体に都市計画を10~20年計画で網羅できるような制度が必要です。その上で国と自治体と住民が目標を共有して、宅地や農地などの特色ある国土利用方法をつくる工夫が要求されています。元来、日本人は農耕民族として所有する土地に対して執着心が強く、保守性が強すぎます。特に、私権制限を嫌う傾向が強いと言われています。それだけに「対流促進型国土」の意向に沿えるかどうか疑問が残ります。

●人口減少は新しい都市計画のチャンスなり

 全国の自治体は、地方創生の一環として人口ビジョンを策定しています。地方の消滅可能性都市にならないために、各自治体は懸命の作業に取り組んでいます。国からのおおくの手が差しのべられています。今こそ全国の自治体は民意を汲み取り、国と共有の国土利用や都市計画を持つべきです。その前提として、道路やインフラなどの社会資本の変更・廃止・新設などを行うべきです。現状の街を見直し、その中から自治体の特色作りを致します。同じ自治体の中でも農業・工業・商業・文化事業などそれぞれの特色を活かし、違いを理解し合い、相互に利用できる地域興しをすることです。「拠点市街区域」「文京市街区域」「田園環境区域」など長期的な人口ビジョンを策定して、地域興しを実行すべきだと思います。

人口減少時代は、地方の過疎化・過密化に拍車をかけます。同じ都道府県内でも同じ市町村内でも、過疎もあれば過密地帯もあり渾然とする時代です。そこのところを新しい都市計画で整理してインフラ整備を行い、その地方の特色を生かした再配置で産業を興し、都市の密度を高めるべきです。大きな箱モノを作ったり、新しい産業を興す前に都市計画を見直すべきです。それがこれからの人口減少時代の「地方創生」の大きな潮流です。 (2015年11月29日)


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