入間川橋梁 JR東日本 八高線
八高線は、単線でありますが、素朴な鉄道路線である故か、秩父鉄道程ではないものの、開設当時の設備を残す歴史的な橋梁の宝庫でもあります。八高線関連の構造物は、秩父鉄道に匹敵するくらい、僕には興味をそそられるものが多くあり、すでにいくつか踏査してきましたが、まず、入間川橋梁を最初に紹介したいと思います。
といいますのも、隅田川に架かる橋のうち、「永代橋」、「清洲橋」を紹介するために少し勉強した際、両橋梁が高張力鋼を橋梁の一部に利用していることを知り(各橋梁の項ではその点も紹介しました)、しかも、これら新鋼材を導入した鉄製建造物が他にもあることがわかったからです。その鉄製建造物の一つが、この入間川橋梁らしいのです。橋梁に特殊鋼を採用しようとした意図を垣間見させてくれるものなので、既に何回も訪れているのですが、今回は、特殊鋼の橋梁の確認のために出かけてみました。
なお、当橋梁は、巷ではブロクやSNSで既に紹介されており、それほど目新しいトピックはありません。それでも、自分の備忘録としても記しておきたく、写真とともにここに紹介することにしました。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
2022年4月、何年かぶりに訪れました。まずは、全景から。13個の桁橋が橋脚上で繋がれています。
入間川とその河川敷に長ーく架けられた鉄道橋です。南側の先端あたりは、おそらく盛土をして、できるだけ橋梁部を短くしていたと思われます。それでもこの長さ。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
入間川橋梁
形式:鋼鈑橋(プレートガーダー橋)13径間
橋長:249.6m(支間19.2に13橋梁分をかけた単純計算値、正式な根拠はありません)
創架:1931(昭和6)年 一部の銘板に昭和6年の表記有
2022年4月撮影 OM-D E-M5+Makinon 28mm f2.8
ちょっと横道:今回は、小型で古いデジカメ2台で撮影です。中古で安かったため、OM-D E-M5(初代)に手を出してしまいました。ホントに散財大王ですよ僕は。でも専用レンズを持っていないので、昔、GF-1を使っていた頃に購入したマウントアダプターを付け、マニュアル使用のオールドレンズで撮影です。OM-D E-M5は、GF-1同様、ピーキング機能をもたないため、マニュアルピントは少し使いづらいです。画像を拡大して、よく見て合わせます。無限遠ですら回転の限界点より手前にピントが来てしまうので、注意が必要です。レンズは、あのマキナ光学のレンズ、マキノンです。戸越駅付近に本社があったマキナ光学、現在は、マンションになってしまっているようですが、近くに工場や生産協力工場もあったとのこと。僕は、マキノンのレンズの作りと形が大好きなのです。緑色に着色されたMAKINONの刻印もかっこいい。写りも好きですけど。
ニコン党の僕ですが、AFになり、本体がプラスチックになってしまってからのニコンのレンズは、外装がどうも気になります。Gレンズになって、少し溜飲が下がりましたけれど・・・。マキノンは数本、ズームレンズをオークションで手に入れていました。でも、ピントがまるで合わないものがあったりして・・・前の方が分解掃除した後、レンズの裏表を間違えて組んだのか????、この単焦点1本のみが事実上利用可です。
2022年4月撮影 OM-D E-M5+Makinon 28mm f2.8
13番橋梁 支間は、19m200
2022年4月撮影 OM-D E-M5+Makinon 28mm f2.8
永代橋について記載された文献(『鋼橋の技術史研究部会報告書』N0.55 )には、国産のデュコール鋼が入間川橋梁の橋桁に試験的に導入された旨が載っていました。
入間川橋梁は、昭和6年に設置された橋長257.2mの鉄道橋であり、12個の橋脚を支間19.2mで設置し、13連の短い桁橋をつないでいます。この13連の桁橋のうち、13連目を試作桁として、主材をドイツ規格St52と横構、対傾構に日本規格S39Aを使用しているとのこと。
桁は、St52の利用によって普通鋼に比べておよそ20%の鋼材の節減となったとされます。ちなみに、特殊鋼を採用した例として、最も古いものの例だそうです。(「埼玉県内の歴史的橋梁の実態調査とデータベース化」『土木史研究』第15号 1995年)
高張力鋼であるSt52は、ドイツで開発されたもので、艦艇用の鋼として現在も利用される鋼の原型です。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
高張力鋼が実験的に利用されているとされる13連目の桁。外観を見ただけでは、他の桁との違いはよく解りませんね。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
試験的なSt52の桁である13連部分だけは、河川部ではなく、陸上に架橋され、事実上は跨道橋となっています。何か不具合が生じた際にも、修復が河川上の橋桁よりも安易に作業ができるようにしたため、あえてこの部分に使用したということでしょうか。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
子供の頃は、鉄道とか車とかが好きなことが多い。なぜだろう?
2022年4月撮影
跨道橋の部分は、アンダーガード付き。アンダーガードだと、車のような言い方なので、正式名称は別にあると思う。ガードしているのは、橋梁の方ではなくて、真下にいる通行者であるから。落下防止カバーとでも言った方がよいかもしれません。
2022年4月撮影
錆はありますねえ。塗装を周期的に繰り返さないといけない理由がわかりました。自動車のブレーキローターなんて、1日で錆が出てきますしね。ちっこい穴が見えるけれど、水抜き穴でしょうかね。錆で穴あいたのでしょうか。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
13番には銘板が残っています。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
オートフォーカスはやはり便利で、結局、ニコ1でばかり撮影してしまいました。
2022年4月撮影 Nikon1V2+Topman 80-205mm f:4.5
銘板の撮影は、拡大撮影が必要なため、これまた格安オールドレンズ、トップマンを装着し、およそ、550mm望遠となったレンズで行います。レンズが細長いので、ニコ1には使いやすい。ただ、あまりきれいに撮れません。やはり、レンズの性能でしょうか。
13番橋梁の銘板は、以下のような記述です。わかる範囲で記します。
鐵 道 省
K S 15
横河 工場製作
昭和六年( 1485)
_____________
材 料
L: 八幡
?. G.H.R ? ?
鋲. G.H.R ? ?
2022年4月撮影 Nikon1V2 Nikkor10-30mm PD-ZOOM
小さい頃、英国のTV SFドラマ、「サンダーバード」が大好きでした。各号機に番号が付いているのがかっこよかった。このように数字が付いているモノを見ると、サンダーバードを思い出します。サンダーバードの数字フォントが欲しいです。
2022年4月撮影
2022年4月撮影
12、11と八王子方面に向かって番号が小さくなります。
2022年4月撮影 落ち着いた感じの河川
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
さて、橋梁の東側に向かい、お隣の道路橋、阿岩橋から撮影。ちょうど列車が走ってきました。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
川越行きでしょうか?行ってしまいました。
ちょっと「撮り鉄(列車)」の方の気持ちがわかりました。僕は基本「撮り鉄橋」ですが。
2022年4月撮影 Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM
よく見るとすごいガーダ橋ですね。鉄道橋梁、特に単線の橋梁は、道路橋と違って幅が狭いので、独特な魅力があります。
今回、小型のNikon1V2も持ち込んで、結局メインで撮りましたけれど、どうもニコ1は、僕には難しいカメラです。高速シャッターを用いて野鳥などをとても美しく撮られる方の技量がうらやましいですね。また、このカメラはノイズがとても気になります。小さいのが魅力なので、登山などでもずいぶん携行したのですが、これからはどう持ち出すか悩むところです。実際、クールピクスの方をよく利用してしまっています。今回は、レンズ交換が必要だったので、あえて持ち込みましたが、小型カメラでの撮影は、メインをオリンパスに変えようかな。愛用していたD40だと画素数や暗いところでの撮影に気を遣いますし。他マウントのオールドレンズを使いづらいし。
以上です。
と言いながら、探索は、ここで終わらず、この後、「トーベヤンソン あけぼの子供の森公園」を見に行きました。
あけぼの子供の森公園
2022年4月撮影 入園時間はありますが、無料です。
2022年4月撮影
ただ、建物内の入場人数制限を行っていて、整理券などが必要でした。さすがに子供たちを優先させたかったので、僕は、周りを見て、撮影しただけです。
2022年4月撮影 結構よくできていますね。
2022年4月撮影 ムーミンの世界です。
子供のころ、ムーミンってカバだと思っていたのですが、なんと、妖精だったのでした。最近知りました。恥ずかしい。
2022年4月撮影 なかなかです。
2022年4月撮影 この橋梁は、ちょっと気になります。
2022年4月撮影 撮影は、すべて Nikon1V2+10-30mm PD-ZOOM です。
これをみたら、近くにある有料の「ムーミンバレーパーク」も訪れたくなりましたが、入園料がちょっと・・・高くはありませんか・・・・・」。むかーし、宮沢湖って異様に寂しいところだったので、ムーミンで盛り上がって、うれしいといえばうれしいのですが・・・・
終わりです。
追補:2022年8月
入間川橋梁の桁橋1から10までは、2018年6月に訪問していました。そのときの写真が出てきましたので、掲載いたします。
2018年6月撮影
右の崖にかかる橋梁が1です。跨道橋の部分が2、左端が3ですね。
2のアップです。桁の左端に銘板がありますが、望遠レンズでの撮影でないと判別できませんね。
3と4を飛ばして、右から5,6,7,8、9です。
右から6、7,8です。
ちょっと振り返りまして、左の桁から8,7,6、5,4,3,2まで見えるかな。
右から、9,10、11,12です。
13径間、13の桁橋で繋がる長い鉄道橋梁でした。2018年6月撮影
このときは、13は撮影しておらず、しかも、その第13橋梁が特殊鋼の橋梁だとは知りませんでした。
以上