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まるで「壁に耳あり障子に目あり」であった。そのため、夫が家に不在の時、耿和は夜でも通りに面した部屋の明かりをつけようともせず、子どもにも小声で話すよう言い含めた。また、他人を巻き込むのを恐れて、電話すらかけなかった。だが高智晟はその逆で、家に出入りする際、何ら気にもかけない。鍵を持ち歩くのを嫌がり、帰宅すると家のベルを「ピンポン、ピンポン」と鳴らす。警察に自分の行方を知ってもらわねば困るかのようだ。耿和が「こんなにたくさんの人に見張られているのに、何で静かに行動できないの」と問うと、高智晟は逆に「こそこそする必要があるのか。怖がるな。僕がいるから」と返した。
この家庭から愉快な笑い声が響くのは、高智晟が家にいる時だけであった。また、正義の気風を身にまとい、公明でさっぱりした夫が目の前にいる時だけ、耿和の心はようやく落ち着き、安心感を覚えるのだった。
不幸に見舞われたとしても妻が耐えられるようにと、高智晟はかつて耿和とこんな会話を交わしたことがある。
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