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見知らぬ人【ものがたり】

2023-06-01 | 感動ストーリー

ずっと寝たふりをしていた私は、鞄を握る手を緩めると同時に、心が熱くなりました・・・(時々雨 / PIXTA)

 

仕事で出張をする度に、「社会の治安がよくないから泥棒などに気をつけてね」と妻はいつも私に言います。

出張に出たある日の夜、私は地方のある宿泊所(一部屋に大人数が寝泊りする安い宿)に入りました。案内された部屋には、私の前にすでに1人の見知らぬ客がいました。

その客は体格がよく、テレビのサッカー中継を真剣に見ていました。彼と挨拶を交わし背広を脱ぎ、私はドアに近いベッドで横になって本を読み始めました。

しばらくすると、テレビの音が小さくなり、そして周りが明るくなりました。私は振り向くと、テレビを見ていたあの客が部屋の電気スタンドを私のほうに持ってきていました。そして、「よく見えますか?」と彼は河南省の方言混じりで私に尋ねました。

私は「いいですよ。よく見えます」と答えながら、なんだか心が暖かくなりました。しかし、すぐに妻の言葉が頭に浮かんできて、私は思わず会社のお金が入った鞄を手にし、「気を緩めない、気を緩めない」と考え直しました。

すると、私はいつの間にか眠りに入っていました。私は手元の鞄をなくした夢を見ました。それから、冷や汗をかき、私は目覚めました。

明け方ごろ、同室の人は静かに起きました。

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見知らぬ人【ものがたり】

仕事で出張をする度に、「社会の治安がよくないから泥棒などに気をつけてね」と妻はいつも私に言います。 出張に出たある日の夜、私は地方のある宿泊所(一部屋に大人数...

 

 


 

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