ヒマラヤ山脈は古来、修煉する者が多く集まる場所であり、人々は質素な生活を送り、歌や踊りを楽しむと同時に、佛法を崇拝していました。その中で、ミラレパ(密勒日巴)という修煉者がいました。佛、菩薩たちは多生曠劫(たしょうこうごう:繰り返し輪廻する長い時間)の修煉によって成就するものですが、ミラレパは一生の中でこれらの佛、菩薩と同等の功徳を成就し、後にチベット密教の始祖となりました。
ある日、ミラレパはヤルン地域(訳注:チベット東部のカム地方にある地域)の中腹の洞窟で大乗密教の教えを説きました。法会には彼の主要な弟子であるレチュンパ、寂光惹巴(じゃっこうじゃば)、ガンポパ、ブドパなどの登地(佛教用語:菩薩修行の「十地」の一つで「第八地」に相当する)の菩薩や、そして女弟子のライセペン、セントマらが登壇し、多くの男女信者たちが参加していました。さらに、長寿王の空行母(ダーキニー、女性の密教修行者)や虹光成就(訳注:チベット密教における修行の最高段階)を得た多くの空行母、ヨガ行者たちも参加していました。
その日の前日の夜、レチュンパは夢を見ました。夢の中で、彼は烏金空行浄土(訳注:悟りの境地に達した霊的な世界)にいるようでした。それは宝飾で飾り立てられた壮大な城で、城内は美しい天衣を着た人々や宝石で飾られた男女が空で飛んでいました。彼らは皆、レチュンパに微笑んで頭を下げますが、一人も彼と話すことはありませんでした。突然、赤い衣装を着た女性が親しげに彼に挨拶しました。「師弟、いつ来たの? ようこそ、ようこそ!」と。レチュンパが見上げると、それはかつてネパールのティプパ上師のもとで法を学んだバリマでした。
【続きはこちら】
ミラレパ佛の修煉物語(一)
ヒマラヤの聖者ミラレパが、厳しい修行の末に成し遂げた奇跡とは?夢と現実が交錯する不思議な物語を通じて、彼の波乱に満ちた生涯と深遠な智慧に触れてみませんか。
【関連記事】
八仙人の一人、呂洞賓
呂洞賓の不思議な人生と修行の物語。彼の試練と悟りの過程、仙人としての道を歩む姿に心が惹かれる。神秘的な人生をぜひご一読ください。
前世の記憶を語る9歳の少女 古代文明と繋がる驚きの発見
9歳のアナが語る前世の記憶が、消滅した古代文明の詳細と一致。家族は驚き、調査の結果、実際に海底に沈んだ町が発見されました。その真実に迫る物語です。
チベット地震でダム5つに亀裂 流域住民は避難
チベット地震でダム5つに亀裂? 届かない物資、消される被災地の声