ダル中毒の科学ごっこ

絞り滓の知性を忘備と供養のために記します

【1分レシピ】二項係数の漸化式 Part 2

2021-06-26 07:00:00 | 定理・公式

 先日の記事では,"乗法公式" を用いて【二項係数の漸化式】を導きました:

 今回は,同じ恒等式を【組合せ】のアイディアに基づいて導いてみたいと思います:

 

 直感的なので個人的にはお気に入りの証明です.

 

 次回は,「二項展開における係数」という本来の【二項係数】の定義に従って,母関数の考え方で別証明を試みたいと思います!

 

注1.【組合せの総数】と【二項係数の関係】

(0) nCk は,「異なるn個のものからk個を選ぶ方法の総数」(k-組合せの総数)を表します.
(1) (1+ X)^n を二項展開した際の X^k の項の係数を「二項係数」と言い,nCkと一致します.
(2) したがって,組合せの総数と二項係数を同一視できます.

 

注2.(再掲)集合の考え方に基づく【組合せ】の定義

(3) S を濃度が n (⋖ ∞) の集合とします(つまり要素が n 個の有限集合とします).
(4) 組合せ論では, S の部分集合のうち濃度が k であるものを「S の k-組合せ」と呼びます.
(5) またS の k-組合せ全体から成る集合を P_k(S) と書くとき,この集合の濃度 |P_k(S)| を nCk と表記します.


折りと祈り

2021-06-25 17:45:00 | 日記

 電車でガタゴト揺られながら,コンビニで売っていた折り紙を折ってみました.

 子どものときは折り紙が大好きでたくさん遊びましたが,あまりに久しぶりなので何を折ろうとしても手順が不確かです.

 

 手が覚えている通りに任せて折ってみたところ,初めはただの紙風船を折ろうとしていたのに,結局このような羽付きの風船ができあがりました(笑)

※最後の数ステップを変えると,良く知られた普通の風船になります.

 

 羽付きの紙風船の折り方を教えて下さったのは,すでに亡くなられた幼稚園のおばあちゃん先生だったのを思い出しました.優しい先生でした.

 

 『川崎ローズ』の亜種(☞もなんとか折れました.

 

 童心を思い出して楽しかったです.再びハマりそうな予感...!?

 

注.先ほど調べて知ったのですが,このバラには『福山ローズ』という名前が与えられているそうです.川崎ローズをより折りやすいようにアレンジしたもので,福山県立福山工業高等学校による作品とのこと.次の同校ウェブサイトで折り方の非常に丁寧な解説が掲載されています:
http://www.fukuyama-th.hiroshima-c.ed.jp/link/oribara/index.html
僕自身も子どものとき,確かこのサイトを見て覚えたような気がします.


【1分レシピ】二項係数の漸化式 Part 1

2021-06-23 07:15:00 | 定理・公式

 おはようございます!

 昨日は【二項係数の漸化式】の証明に挑戦しました.3通りの方法で行ってみましたが,今朝はそのうちの1つをシェアさせていただきたいと思います.

 

 さて,ここで「二項係数の漸化式」と呼んでいるのは,次の恒等式のことです:

 nCkという表記は「異なるn個のものからk個を選ぶ方法の総数」を表します(☞).nCk は, (1 + x)^n を二項展開したときの x^k の項の係数(二項係数)と一致するので同一視できます.

 

 今回は次の "乗法公式” を用いて証明しましょう:

 

 証明は次の通りとなります:

 

 実は電車にガタゴト揺られながら証明していたのですが,夢中になりすぎていたあまり乗り過ごし,昨日は目的地までの終電を逃してしまいました(苦笑)

 皆さま良い一日を.

 

注.S を濃度が n (< ∞) の集合とします.組合せ論では, S の部分集合のうち濃度が k であるものを「S の k-組合せ」と呼びます.S の k-組合せ全体から成る集合を P_k(S) (⊂ 冪集合 P(S)) と書くとき,この集合の濃度 |P_k(S)| を nCk と表記します.


【動画化】 運転免許の試験に物理の問題!?

2021-06-19 22:45:00 | 日記

 先日の記事で,僕が自動車運転免許の学科試験を受けたときに出遭った問題をご紹介しました.

 せっかくスライドを作ったので,少し整えて "むかしばなし風"(?)の動画にしてみました.主人公の「おじいさん」というのは,僕のことです(笑):


※字幕も利用できます.画面が小さくて見づらい場合は,次のワイド版をお試しください:

 先日晴れて優良運転者になったので,見出し画像をゴールドにしてみました♪


フルーツ・ツリー🥑🍌🍇🍎🥝

2021-06-18 22:45:00 | 日記

 皆さんはふだん絵文字を使われますか?

 近年 【Unicode絵文字】がますます充実し,さまざまな場面・環境で絵文字を使えるようになってきました.日本発祥の絵文字文化がいまや世界中でEmojiとして親しみ使われているというのは,なんだか面白いです.

※皆さんのお手元のブラウザでも今,👍(いいね)や🍎(リンゴ)といった絵文字を表示できていますでしょうか❓

 

 さて,僕は果物の絵文字を使う機会が時々あるのですが,「へえ,こんな絵文字もあるのか!」と驚くことが多い一方で,「この果物もあればなあ...」と不足を感じてしまうこともあります.

 そこで先日,Unicodeで用意されている果物の絵文字一覧を調べてみたのです.

 想像はしていましたが,【Emoji化】されている果物の種類に大きく偏りがありました.(そしてこれは少し意外だったのですが)未だ日本で日常的に食べられている種に限られているようでした.

 

 また戯れに “実” の部分を食用とする植物のEmojiを見つけられる限り集め,目レベルで系統樹を描いてみたところ,次のような『フルーツ・ツリー』が得られました(☞):


※僕のアイコンに用いている画像です.

 

 すべての種が【被子植物】と呼ばれるグループに属しています.思っていたよりもEmojiの種類が豊富だったので,大雑把ながらも被子植物全体の系統樹の形状をちゃんと見てとれます

 果物として人類に利用されている種は,そもそも被子植物の系統の中で非常に偏って分布しています.そのため,食用の植物だけをサンプルとして被子植物全体の系統を見てとることは本質的に困難なことではあります.しかし,「Emoji化されている種がいない」という理由によって描けていない「進化の枝」が多いのもなお事実です.

 例えば次のような果物のEmojiがあると,もう少し賑やかな樹になって楽しそうです:ポポー(モクレン目)やドラゴンフルーツ(ナデシコ目),アケビ(キンポウゲ目),ザクロ・フェイジョア(フトモモ目),マンゴスチン・パッションフルーツ(キントラノオ目),ドリアン(アオイ目)

 

 どうやらユニコード協会(The Unicode Consortium)のウェブサイト https://home.unicode.org/ で,一般のユーザーからも新しい絵文字の提案を募っているようです...!! 果物の絵文字が系統的にもっと多様になると良いな~😁

 

注.生物たちの進化の系譜(すなわち系統)を描いた図を【系統樹】といいます.過去どのように生物たちが進化してきたのか,という過程を人類は直接観察することができないため,どんな系統樹が「真の系譜」なのか正確には判りません.そのため,科学者によって推定される系統樹は結局のところ,いずれも仮説に過ぎません.

 被子植物の系統に関する仮説は色々ありますが,上記の図を描くにあたってはDNA配列に基づいて推定されたAPG IVという仮説を用いました:
The Angiosperm Phylogeny Group. (2016). An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV. Botanical Journal of the Linnean Society, 181, 1–20. https://doi.org/10.1111/boj.12385

 また系統樹を描くにあたっては,iTOL v6.1.2 (https://itol.embl.de/) というツールを用いました:
Letunic, I., & Bork, P. (2021). Interactive Tree Of Life (iTOL) v5: an online tool for phylogenetic tree display and annotation. Nucleic Acids Research, gkab301. https://doi.org/10.1093/nar/gkab301