メガロードが地球を飛び立ち、長距離フォールド航行も無事に終え、なんだかんだとしているうちに10月になってしまった。
輝と未沙は、ようやっと婚姻届を出し、めでたく夫婦となったのでした。
最高責任者の結婚ともなると、艦に乗っている民間人にも知らせなければならないだろう、と軍広報課を通してマスメディアにも発表する事になった。
だが翌日の新聞やTVニュースで伝えられた内容と言えば…。
「我がメガロード艦長・早瀬未沙大佐(メガロードが長距離フォールドを終えた時に昇格)が結婚したと軍広報課より発表された。相手は”あの”護衛航空部隊隊長・一条輝中佐…」
輝は自分の士官室で新聞を広げ、不機嫌になっていた。
---”あの”ってなんだよ!
記事の書き方に他意を感じた。
その他意は数日後、無責任な週刊誌が明らかにする事になる。
「艦長!ご結婚おめでとうございます!」
メインブリッジではオペレーター達が未沙の結婚を祝福し、花束を渡していた。
「ありがとう…」
花束を受け取り、未沙ははにかんだ。
「今度なれそめとか聞かせてくださいよ!」
「そうそう、今後の参考にさせていただきます」
代わる代わるに囃したてられる。
「結婚したからには次はお子さんですね。いつ艦長が産休に入ってもいいように私たちも頑張らなきゃ!」
「さ、さん…っ」
気の早い言葉に未沙は顔を赤らめた。
「わー!艦長が照れてるー!」
今まで見た事の無い艦長の表情にメインブリッジが沸いた。
「すごいなー、艦長。仕事が出来て昇格も早く、それでも恋人とも上手く行ってゴールイン!なんて、女の幸せ街道まっしぐらですよねー!」
「そ、そうかしら…」
オペレーターの無邪気な一言に少し胸が痛んだ。
「いいなー。アタシも早く結婚したーい!」
「その前にアンタは彼氏作らなきゃ、でしょ?」
このツッコミに再び沸いたブリッジにコール音が響いた。
『ウィスキー1よりデルタ1へ。パトロールの為発進します。発進許可願います。…デルタ1?』
呼ばれて航空管制オペレーターのサラが急いでコンソールに取り付いた。
「ああ、ごめんなさい。了解しました。発進どうぞ」
「さ、あなた達も持ち場に戻りなさい」
これをきっかけに未沙は任務遂行を促した。
「は~い!」
「お花、ありがとう。艦長室にいますから、何かあったら連絡してちょうだい」
「了解!」
ブリッジのドアが閉まった後、艦内管制オペレーターのソフィアがもう一人の艦内管制オペレーターであるメグミにこそっと話しかけた。
「でも以外よね~。艦長の旦那さんが年下っての」
「そうそうそう!しかも”あの”一条中佐でしょー?」
「ミンメイとはマクロスが宇宙航行していた時から噂されていた人だし、もしかして艦長が奪っちゃったのかしら?」
「こら!あなた達!つまらない勘繰りしてないで仕事なさい!」
サラが二人を戒めた。
噂好きのオペレーターに真面目なオペレーター。
マクロスの伝統(?)はこんな所に引き継がれている。
そんな勘繰りをするのはこの二人だけに限った事では無い。
夫となった人間が有名アイドルと噂があった人物だけに、想像力を掻き立てられる。
未沙は艦長室に向かう途中、給湯室の前でふいに足を止めた。
女の子達の声が聞こえる。
「一条中佐って、”あの”一条中佐でしょお?」
「そうそう、ミンメイと噂のあった”あの”一条中佐。これってやっぱり艦長が奪っちゃったって事かしら?」
未沙は胸に痛みを覚えて目を細めた。
「あんな真面目なふりして女になると怖いのかもね~」
「上官であること利用して二人を別れさせたとか。『私と結婚しないと営倉入りよ!』とか言って!」
あはは!
勝手に想像して盛り上がる女性隊員達の言葉にショックを受け、未沙は走って給湯室の前を通り過ぎた。
心無い中傷に打ちのめされ、未沙は暗い気持ちで帰宅した。
「…ただいま」
帰宅を告げる声は小さかった。
だが、家の中に漂う匂いに気がつき、未沙はまっすぐキッチンに向かった。
「あ、おかえり未沙」
キッチンにはTシャツにジーンズの普段着にエプロンを掛けた輝の姿があった。
「輝?!その格好…何してるの?!」
「何って、メシ作ってたんだよ。ちょうど出来上がった所。早く着替えて来いよ」
輝は笑いながら未沙の問いに答えた。
「食事って…」
「いいから、ほら。俺も腹減ってんだから早く」
突然の輝の家事に驚きを隠せない。
未沙は急いで着替え、ダイニングに戻った。
テーブルの上にはオムライスが湯気を立てて並んでいた。
「どーだ!俺様特製オムライス!」
エプロンをつけたまま輝は胸を張った。
「輝…食事なら私が…」
「いいから座れよ。メシにしようぜ」
未沙にもの言わせず、輝は椅子に座り、手を合わせた。
「いただきます!」
その勢いに未沙は何も言えず、椅子に座り同じ様に手を合わせた。
「…いただきます」
輝が作ったオムライスは、火が強すぎたのか卵が少し焦げていた。
いわゆる「とろふわ」なオムレツとは程遠いもので、どちらかと言うと「ぱりぱり」と音のしそうな卵焼きだった。
「…今はこんなもんしか作れないけどさ、少しずつ出来るように頑張るよ」
「どうして?」
「お前は艦長で俺より忙しい。だから俺に出来る事はやろうと思ったんだ」
メガロードが宇宙に出て1ヶ月。
役所に婚姻届を出す前から一緒に生活していて、改めて艦長がどんな立場かを知った。
それでも未沙は主婦業にも手を抜こうとせず、遅番の時は輝の夕食と朝食をしっかり用意して仕事に向かっていた。
「だって、私は貴方の妻なのよ、そのくらい当たり前の事じゃない」
少しイラついた口調で未沙が反論した。
「…未沙。俺はお前に世話をしてもらう為に結婚したんじゃない」
輝はまっすぐに未沙を見据えて言った。
「お前を幸せにしたくて結婚したんだ」
そんなに気張らなくていい。せめて家の中では力を抜いてくれ。
「輝…っ」
涙が溢れ出た。
『幸せ街道まっしぐらですよねー!』
オペレーターの言葉が聞こえてきた。
---本当に私、幸せ者だ。
「泣くなよ、未沙」
自分の言葉に照れて輝は頬を染めている。
「うん」
返事しながらも涙は止まらない。
「…メシ冷めるぞ。早く食え」
「うん」
目をこすって未沙はオムライスを口に運んだ。
「美味しい」
目に涙を溜めながら未沙は笑った。
「だろ?!」
輝は褒められて喜ぶ子供のような笑顔を見せた。
『ミンメイから奪っちゃったとはねー』
---どんな風に思われても構わない。
私はずっと、輝の傍にいたい。
嵐の前の夜は、とても静かだった。

Image music「幸せになろう」Song by 沢田知可子
輝と未沙は、ようやっと婚姻届を出し、めでたく夫婦となったのでした。
最高責任者の結婚ともなると、艦に乗っている民間人にも知らせなければならないだろう、と軍広報課を通してマスメディアにも発表する事になった。
だが翌日の新聞やTVニュースで伝えられた内容と言えば…。
「我がメガロード艦長・早瀬未沙大佐(メガロードが長距離フォールドを終えた時に昇格)が結婚したと軍広報課より発表された。相手は”あの”護衛航空部隊隊長・一条輝中佐…」
輝は自分の士官室で新聞を広げ、不機嫌になっていた。
---”あの”ってなんだよ!
記事の書き方に他意を感じた。
その他意は数日後、無責任な週刊誌が明らかにする事になる。
「艦長!ご結婚おめでとうございます!」
メインブリッジではオペレーター達が未沙の結婚を祝福し、花束を渡していた。
「ありがとう…」
花束を受け取り、未沙ははにかんだ。
「今度なれそめとか聞かせてくださいよ!」
「そうそう、今後の参考にさせていただきます」
代わる代わるに囃したてられる。
「結婚したからには次はお子さんですね。いつ艦長が産休に入ってもいいように私たちも頑張らなきゃ!」
「さ、さん…っ」
気の早い言葉に未沙は顔を赤らめた。
「わー!艦長が照れてるー!」
今まで見た事の無い艦長の表情にメインブリッジが沸いた。
「すごいなー、艦長。仕事が出来て昇格も早く、それでも恋人とも上手く行ってゴールイン!なんて、女の幸せ街道まっしぐらですよねー!」
「そ、そうかしら…」
オペレーターの無邪気な一言に少し胸が痛んだ。
「いいなー。アタシも早く結婚したーい!」
「その前にアンタは彼氏作らなきゃ、でしょ?」
このツッコミに再び沸いたブリッジにコール音が響いた。
『ウィスキー1よりデルタ1へ。パトロールの為発進します。発進許可願います。…デルタ1?』
呼ばれて航空管制オペレーターのサラが急いでコンソールに取り付いた。
「ああ、ごめんなさい。了解しました。発進どうぞ」
「さ、あなた達も持ち場に戻りなさい」
これをきっかけに未沙は任務遂行を促した。
「は~い!」
「お花、ありがとう。艦長室にいますから、何かあったら連絡してちょうだい」
「了解!」
ブリッジのドアが閉まった後、艦内管制オペレーターのソフィアがもう一人の艦内管制オペレーターであるメグミにこそっと話しかけた。
「でも以外よね~。艦長の旦那さんが年下っての」
「そうそうそう!しかも”あの”一条中佐でしょー?」
「ミンメイとはマクロスが宇宙航行していた時から噂されていた人だし、もしかして艦長が奪っちゃったのかしら?」
「こら!あなた達!つまらない勘繰りしてないで仕事なさい!」
サラが二人を戒めた。
噂好きのオペレーターに真面目なオペレーター。
マクロスの伝統(?)はこんな所に引き継がれている。
そんな勘繰りをするのはこの二人だけに限った事では無い。
夫となった人間が有名アイドルと噂があった人物だけに、想像力を掻き立てられる。
未沙は艦長室に向かう途中、給湯室の前でふいに足を止めた。
女の子達の声が聞こえる。
「一条中佐って、”あの”一条中佐でしょお?」
「そうそう、ミンメイと噂のあった”あの”一条中佐。これってやっぱり艦長が奪っちゃったって事かしら?」
未沙は胸に痛みを覚えて目を細めた。
「あんな真面目なふりして女になると怖いのかもね~」
「上官であること利用して二人を別れさせたとか。『私と結婚しないと営倉入りよ!』とか言って!」
あはは!
勝手に想像して盛り上がる女性隊員達の言葉にショックを受け、未沙は走って給湯室の前を通り過ぎた。
心無い中傷に打ちのめされ、未沙は暗い気持ちで帰宅した。
「…ただいま」
帰宅を告げる声は小さかった。
だが、家の中に漂う匂いに気がつき、未沙はまっすぐキッチンに向かった。
「あ、おかえり未沙」
キッチンにはTシャツにジーンズの普段着にエプロンを掛けた輝の姿があった。
「輝?!その格好…何してるの?!」
「何って、メシ作ってたんだよ。ちょうど出来上がった所。早く着替えて来いよ」
輝は笑いながら未沙の問いに答えた。
「食事って…」
「いいから、ほら。俺も腹減ってんだから早く」
突然の輝の家事に驚きを隠せない。
未沙は急いで着替え、ダイニングに戻った。
テーブルの上にはオムライスが湯気を立てて並んでいた。
「どーだ!俺様特製オムライス!」
エプロンをつけたまま輝は胸を張った。
「輝…食事なら私が…」
「いいから座れよ。メシにしようぜ」
未沙にもの言わせず、輝は椅子に座り、手を合わせた。
「いただきます!」
その勢いに未沙は何も言えず、椅子に座り同じ様に手を合わせた。
「…いただきます」
輝が作ったオムライスは、火が強すぎたのか卵が少し焦げていた。
いわゆる「とろふわ」なオムレツとは程遠いもので、どちらかと言うと「ぱりぱり」と音のしそうな卵焼きだった。
「…今はこんなもんしか作れないけどさ、少しずつ出来るように頑張るよ」
「どうして?」
「お前は艦長で俺より忙しい。だから俺に出来る事はやろうと思ったんだ」
メガロードが宇宙に出て1ヶ月。
役所に婚姻届を出す前から一緒に生活していて、改めて艦長がどんな立場かを知った。
それでも未沙は主婦業にも手を抜こうとせず、遅番の時は輝の夕食と朝食をしっかり用意して仕事に向かっていた。
「だって、私は貴方の妻なのよ、そのくらい当たり前の事じゃない」
少しイラついた口調で未沙が反論した。
「…未沙。俺はお前に世話をしてもらう為に結婚したんじゃない」
輝はまっすぐに未沙を見据えて言った。
「お前を幸せにしたくて結婚したんだ」
そんなに気張らなくていい。せめて家の中では力を抜いてくれ。
「輝…っ」
涙が溢れ出た。
『幸せ街道まっしぐらですよねー!』
オペレーターの言葉が聞こえてきた。
---本当に私、幸せ者だ。
「泣くなよ、未沙」
自分の言葉に照れて輝は頬を染めている。
「うん」
返事しながらも涙は止まらない。
「…メシ冷めるぞ。早く食え」
「うん」
目をこすって未沙はオムライスを口に運んだ。
「美味しい」
目に涙を溜めながら未沙は笑った。
「だろ?!」
輝は褒められて喜ぶ子供のような笑顔を見せた。
『ミンメイから奪っちゃったとはねー』
---どんな風に思われても構わない。
私はずっと、輝の傍にいたい。
嵐の前の夜は、とても静かだった。

Image music「幸せになろう」Song by 沢田知可子
結局書き始めてしまいました。
いや、ネタは浮かべど文章に起こすこと出来なかったんで、これはもう更新終わりだな、と思ってたんですけどね。
来ましたよ、神様。
ただ、降りてきたのが暗い神様なんで「ラブラブ~♪」は期待しないでくださいね。あ、この話は序章ですから。
ええ
させてください してください
ええいっ うがーっ
↑
今日は めろめろに甘いのが食べたかったんです
甘いの食べた後は 苦いシロップも 辛い漬物も
なんでも美味しくたべますです はい
ご馳走様でした
ちなみに今、私の目の前にはおせんべいとチョコレートがあって、悪循環の準備万端になっております。
煮豆に緑茶みたいな そんなおはなしも素敵ですよね
そんな風にワタクシは
窓越しの冬空を見ながら先ほど思ったのでした まる
えと 気が向いた時にチェックしたりしておりますが
根本的に書きっぱなしが多くて
もし むかしなんか書いてくださって 返事が無くても
あんまし気にしないで下さいませ すんませんです
↑誰に何を謝っているのか自分でも謎ですが
重ね重ねすみません そんなかんじです はい