仮タイトル

『超時空要塞マクロス』(初代)輝×未沙中心だが
美味しい所はミンメイが持って行く二次創作(SS)ブログ。

UMUI(55)

2016-03-30 | メガロード編3
なんだかんだ言いつつも時は過ぎ、未来は3歳になっていた。
もう一人で歩けるし、言葉も少し覚えた。
今一番お気に入りのおもちゃはピアノだった。

さて、航空護衛隊大隊長の士官室にいつになく真面目な顔をした男がひとり、ドアの前に立っていた。
男は勇気を出したようにドアのチャイムを鳴らした。
『誰だ?』
「イワン=レオノフです。相談があって来ました」
『ふ~ん、入っていいぞ』
「はい!」
ドアを開けて一歩入ると敬礼をした。
「なんだ?イワン、お前らしくもない」
「いえ、それがその…相談と言うのが、プライベートな事で申し訳ないのですが…」
「雅持か?」
「なんでそれをっ」
「最近休みが多いからな。これ以上休まれたらこっちも大変なんだ。少しは自重しろ、イワン」
「いや、それだけじゃなくてですね…あの~大隊長は艦長になんてプロポーズしたのかな~と、気になりまして…」
輝は素っ頓狂な顔をしたのかもしれない。
あまりの唐突さにしばらく声が出なかった」
「結婚するのか?雅持と」
「と、考えています」
へへへ、とイワンは照れ笑いをする。
「そーか、そーか、とうとうお前も年貢の納め時と来たか」
「ひどい言われような気がするんすけど、隊長…」
「プロポーズかー懐かしいなー」
「で、なんてプロポーズしたんすか?」
「……」
輝は腕を組みながら笑顔のまま固まった。
「なんだったかな?」
輝は照れ隠しをした。
「それ、艦長にチクりますよ」
「別に、ただ『結婚してくれ』って言っただけだし。特別な事はしてないよ」
「マジすか~?」
「でもそれが一番ストレートで一番伝わる言葉じゃないかな?よく『お前の味噌汁を毎日飲みたい!』って言っても『毎日飲んでるでしょ』とボケられることもある」
「それもそうかもしれないすけど…」
「まあ頑張れ」
と、輝はイワンの肩を叩いた。

一方雅持は、本当にここの所体調不良で休む事が多かった。
「ごほっ、ごほっ、けほっ」
今日も洗面所で何度吐いたであろう。
いや、吐き出すものは何もないのだが、吐き気ばかりが雅持を悩ませている。
そしてある事に気がつく。
―――私…いつ生理が来たっけ?
青白い顔のまま、雅持は病院へ行った。

「やっぱ花とか持って言った方がてき面すかね?」
「それ以前にお前、指輪買ったのか?」
「…やべ!」
輝ははああ~とため息をついた。
「残りの勤務時間は俺が代わりを務めるから、お前はさっさと指輪買ってこい。話はそれからだ」
「はっ!ありがとうございます!」
敬礼をしてイワンは急いで駐車場へ向かった。
入れ違いに雅持が輝の所へ相談に来た。

雅持は除隊届けを出しに来たのだ。
「雅持、これは何だ?」
「除隊届けです。これ以上、迷惑はかけられないので…」
「一体何があったんだ?イワンと喧嘩でもしたか?」
「いえ、違うんです。その…プライベートな事で大変申し訳ないのですが…先ほど、妊娠がわかりまして…」
輝は除隊届けをはらり、と落とした。

雅持は家に帰ってもネガティブな想像ばかりしていた。
妊娠がわかったらイワンはどう思うだろう?
もしかしたら捨てられるかもしれない、等と何故かそんな事ばかり考えてしまう。
夕食の準備をしていて、生肉の匂いが吐き気を呼んだ。
「はあ、はあ」
夕食の準備どころではない。
雅持はソファの上で横になった。
そこでようやっとイワンが帰って来た。
「ただいま雅持!」
雅持とはうらはらに上気した顔が見える。
しかしソファに横になっている雅持を見るや否や
「どうした雅持?!大丈夫か?!」
「あ、イワンお帰りなさい。ごめんなさい、夕食の準備、まだしてないの」
「馬鹿、具合の悪い時くらい俺がやる!お前はそこで眠ってろ、いいな?!」
イワンは着替えをしに寝室へと入って行った。
いつものTシャツにジーンズで出てきたイワンはちゃっちゃと夕食の準備を進める。
「さ、出来たぞ雅持!起き上がれるか?」
「…うん」
とは言うものの、雅持は気分が悪そうだ。
そこでイワンはひらめいた。
「雅持、今日はお前に言いたい事がある」
イワンはどっか、とソファの前に胡坐をかいて座った。
「雅持」
「なに?」
いざとなるとなかなか言い出せない。
「雅持」
「だから、なに?」
「その、俺達も一緒に暮らし始めて2年経つな」
「そうね」
「それでだな、その…そろそろだと思ってだな…」
イワンの顔は真っ赤になって、言葉を一生懸命選んでいる。
「―――――っ!雅持!俺と結婚してくれっ!」
雅持は目を見開いた。
このままだと別れるか、ずるずると同棲を続けるかのどちらかだと思っていたからだ。
そしてそのまま涙を流す。
「や、雅持、返事をっ」
「はい」
「!!いいやっほーーーーい!」
イワンは嬉しさから立ち上がった。
「あのね、イワン。私も話があるの…」
「ん?なんだ?」
「実はね―――」