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人の風景 emiko life 113話  雑記 セキセイインコ

『泥群』7号の山本源太さんのエッセイを昨日、読んでいただきました。

今日は、セキセイインコの話題です。
この雑記は、文章の書き方を学んでいる時に、書いたものです。拙い文章ですが、このときの思いが、今も私の心の根底にありますので、少し推敲して転載します。

====雑記 セキセイインコ====

 子供が、生き物を欲しがる年齢になって、捨てられた子犬や子猫を抱いて帰るようになった。社宅やアパート住まいといった住宅事情なので、飼うことのできない理由を話し、説得する繰り返しが続く。

 それでも、一つだけ子どもの要求を叶えて、昨年の5月にセキセイインコを二羽買った。一羽は、買うとき、元気がなかったので、
「大丈夫ですか?」
と店の人に尋ねたら、
「今、暑いから元気がないだけです」
という返事だったので、連れ帰った。

 その後も、元気がなく、常にお尻を糞で黒く汚していたので、病気だったのだと思う。夏の暑さに耐え切れず、ある日、遠くの空を見つめるように、静かに立ち竦んだまま、死を迎えた。

 剥製にされた鳥のように、羽根の付け根部分がはっきりと形を表わし、身体をその中に包み込むようにした、美しい姿だった。元気一杯生きる鳥は、羽根の付け根が体の毛と一体になっていて、凹凸なく、体全体が滑らかな一つの丸になるので、こちらの姿の方が美しいのだろうが、死を迎える姿も、穏やかで、荘厳な雰囲気があり美しく思った。

 一羽残ったインコは、買ったときに切られた羽根も、すっかり伸びている。羽根が伸びれば、逃げる心配もあるけれど、逃げることができたら、インコの”もうけもの”であり、その自由を認めてあげたい。逃げる機会が得られないなら、私達の身勝手さの償いに、我家の空間にまで、飛ぶ喜びを広げてあげたくて、羽根は切らない。

 今、私達の気まぐれに頼らなくてはならないけど、時々、部屋の中を飛びまわる。飛びまわるようになって解ったことは、インコにも感情があるらしいということだ。人間の感情とは少し違って、本能かもしれないが、本能と言い切れない部分を感じる。

 カゴの中に、小さなボールを入れている。人間がサッカーをするようにして、よく遊ぶ。気ままに遊んでいるように見えるときもあるけれど、怒りをぶつけているようなボールの追いかけ方をしているときもある。
「ずいぶん、ストレスがたまっているな」
とカゴから出して遊びの空間を広げてあげると落ちつく。
 カゴの中の止まり木から手に移る時、インコの足は冷たいが、飛び、私達の肩に乗った後の足は、体温を確実に持つ存在であることを示すほど暖かくなっている。

 愛情(?)の示し方もはっきりしている。
 子供は自分達が欲したものでありながら、全く気まぐれで、気のむく時々の可愛がり方をする。エサや水、ストレス解消の世話まで、全て私まかせだから、自由に飛べるようになった時、このインコの愛情は私のみに向けられていた。子供がカゴから出しても、すぐその手を離れて私の肩に乗る。私の姿は、常に感覚の中にとらえられているらしく、台所仕事など、どのような動きをしていても、肩に乗る。そして、愛を語るように、耳もとで鳴き、頬に口ばしをすり寄せる。カゴから出した者に、次回のことを期待して、愛嬌を振りまくことはしない。
 気まぐれでなく、毎日、エサを与える者の姿を覚え、その者だけに愛情を示す。八方美人型の感情は持たないらしい。これは、生命を支配されている弱い鳥にとって、感情というよりも、やはり生命を守る本能であるかもしれないけど。

 こんな風に、弱い者の生命を握る私も、また、自然界のより強い力に支配されている存在だと思うようになった。生命を支配され、生かされている私だと気がついてみれば、驕る心で生きることは、生命を失うことになるように思える。

 インコのように生命を守る研ぎ澄ました本能を保持しているか判断できないけど、可能なかぎり、生命を守る責任があるのだと思う。

 そして、私もインコのように美しい姿で、静かに、穏やかに死を迎えたいと、生きることに執着する心の狭間に思う。
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この文章を転載しながら、インコとの別れがどのようにして訪れたのか、記憶を辿りました。そして私の失敗が、別れの原因だったことを思い出しました。

インコのエサは粟でしたから、粟の殻が容器の上に溜まっていました。
ある日の私は、この粟がもう殻だけになっていることを、見逃してしまったのです。あの時の悲しみが、ふつふつと私の心に湧いてきました。

生命を握っていると自覚していながら、犯してしまった失敗です。目の前の大切な存在が、蘇らないことを実感する瞬間の深い悲しみは、心が裂けてしまいます。


       😌 もう、シュウメイギクが咲き始めていました。
        右の花は名前が? アオイではないようです。

   

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